臨床的には,切除ひと胃癌1,540例のうち,男性対女性の比は,ほぼ2.5:1であるのに,全切除胃癌のうちBorrmann4型の占める割合は女性において高率で,男性では3.1%であるのに対し,女性では7.4%であつた.また,組織型では,por, sig等の低分化な腺癌の占める割合は,それぞれの切除胃癌のうち,男性26.3%に対し,女性は47.8%と,女性において高かつた.
実験的には,雌ラットに発癌剤であるNGを投与すると,雄ラットに投与したのに比較して胃癌の発生率は低下し,発生した癌は低分化腺癌が多かつた.さらに,雄ラットにNGを投与して発癌させる際に,エストラジオール等女性ホルモンを注射すると,雌ラット同様に発癌率は低下し,低分化な腺癌が生じた.このことから女性ホルモンは癌の発生,進展に影響を与えると推定した.
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