日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ラジオイムノアッセイ法による,肝疾患々者血中の肝細胞膜抗原に対する抗体の検出とその意義に関する研究
荒川 洋一郷治 広達矢田 和秋各務 伸一
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1979 年 76 巻 2 号 p. 175-183

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抄録

肝炎における抗肝細胞膜抗体(anti-LSP)の出現とその臨床的意義を解明すべく,ラジオイムノアッセイ(RIA)法を用いて,種々の肝疾患々者の血清中のanti-LSPの検出を試みた.正常ラット肝より抽出した肝細胞膜抗原(LSP)に125Iを標識して行なつたassayは特異的で再現性も良好であつた.anti-LSPの陽性率とその濃度は,HBs抗原の有無とは無関係であり,慢性活動性肝炎に最も顕著であつた.また,経過の良好な急性肝炎では,20例中7例においてanti-LSPが急性期,一過性に陽性であるにすぎなかつたが,慢性肝炎へ移行した症例では10例中6例に慢性化を確認した時点で,anti-LSPが陽性であつた.
これらの成績はLSPに対する自己免疫反応がウイルス性肝炎の急性期に惹起され,その持続が慢性肝炎の発症に密接に関連していることを示している.

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