慢性肝疾患140例についてクリオグロブリン(Cg)を中心に検討した.Cgは慢性肝炎18%,肝硬変症40%,原発性肝癌40%にみとめられ,HBs抗原および性差とは関係がみられなかつた.Cgの型分類では,単クローン性混合型は,IgM monoclonal κ type+IgG 23例,IgM monoclonal κ type+lgA+IgG 2例で,M蛋白は全例IgM κ typeであつた.多クローン性混合型は,IgM+IgG 2例,IgM+IgA+IgG 8例であつた.Cg陽性例のリウマチ因子(RF)は全例陽性で,またCg自身にもRFが証明され,CgとRFは密接な関係にあつた.血清CH
50(<30)の例は,Cg陽性慢性肝炎21%(Cg陰性例6%),肝硬変症60%(同46%)で,Cgの抗補体作用が想定された.血清CH
50(<5)の例が6例あり,全例血清と血漿の補体価解離現象を呈し,そのうち5例はCg陽性であつた.Cg陽性慢性肝疾患は,高RF価,抗補体作用,臨床症状(出血斑,関節痛,蛋白尿など)よりimmune complex diseaseの側面がうかがわれた.
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