日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胃粘液癌と大腸粘液癌との比較研究
第2編粘液組織化学的研究
佐々 英達喜納 勇
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1979 年 76 巻 4 号 p. 861-870

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抄録

胃粘液癌手術症例114例,大腸粘液癌手術症例41例ならびに非腫瘍性消化管上皮を対象とした粘液組織化学的検索の結果以下の結論を得た.
1) 固有胃粘膜上皮細胞の粘液は大部分がneutral mucinから成る.2)腸goblet cellにも胃のmetaPlastic goblet cellにもacid mucinが存在するが,sulfated acid mucinの有無はgoblet cellの存在部位により異なり,小腸では存在せず,大腸では全例にその存在が認められた.胃のmetaplastic goblet cellには時に部分的にsulfated acid mucinの存在が認められた.3)胃粘液癌ではほぼ全例にnon-sulfated acid mucinの存在が認められ,更に約半数においてsulfated acid mucinの存在が認められた.4)大腸粘液癌では全例にnon-sulfated acid mucinの存在が認められ,更に大多数においてsulfated acid mucinの存在が認められた.

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