レシチン•コレステロール•アシルトランスフェラーゼ(LCAT)は肝で生成され,血流中で遊離コレステロールのエステル化を司どる酵素であり,各種肝機能障害においてその活性値の変化が観察される.本酵素活性値と,血清ビリルビン値および胆汁うつ滞性肝疾患に特徴的な血清Lipoprotein-X (LP-X)との組み合わせにより,肝の機能的予備力を推定することが可能であると思われた.すなわち,1) LCAT活性高値,血清総ビリルビン値高値で両者が概ね並行して変動する時期(随伴期)においては,LP-X陽性,血清総コレステロール高値を示すことが多く,肝機能障害は比較的軽微であつた.2) LCAT活性低値,血清総ビリルビン値高値で両者が分離して変動する時期(解離期)においては,LP-X陰性,血清総コレステロール低値となる場合が多く,この型を示す症例は予後絶対不良であつた.
以上の時期的分類は閉塞性黄疸のみならず,肝硬変症,うつ血性肝障害においても概ね妥当性を有した.
抄録全体を表示