日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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76 巻, 4 号
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  • とくにリンパ管侵襲像よりの検討
    野村 秀洋, 西 満正
    1979 年 76 巻 4 号 p. 831-839
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    教室及び関連病院で切除されたBorrmann 4型胃癌54例を対象に,臨床病理学的に検索し,その進展形式について検討した.
    その結果,1)本型胃癌の進展形式には,A)癌細胞がfibrosisを伴ないながら組織間隙を進展し,主として腹膜播種性進展が先行する型(甲型)と,B)癌細胞がlymphangitis carcinomatosaを伴ないながら組織間隙を無反応性に進展し,主としてリンパ行性進展が先行する型(乙型)と,C)混合する丙型とに大別される.2)肉眼型別では,甲型は帯状び浸型や,不整び浸型で巨大皺襞(+)型に多く,乙型は不整び浸型で巨大皺襞(-)型に多く認められる.3)予後に関しては,甲型の進展形式をとる症例が乙型をとる症例に比して比較的良好であつた.
  • 池田 健伍
    1979 年 76 巻 4 号 p. 840-850
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    陥凹性胃癌について肉眼所見と病理組織所見を対比し,深達度の検討をおこなつた.陥凹面の性状を肉眼的に5つに分類し,辺縁隆起の性状を4つに分類した.未分化型胃癌は陥凹面の性状と深達度が良い相関を示し,分化型胃癌の辺縁隆起をともなうものでは辺縁隆起の性状と深達度が良い相関を示した.また,癌病変の広がりの面積比sm/m比と深達度の関係をみると,sm/m比は粘膜内癌と粘膜下層の深さの1/2までしか浸潤していないものでは15%以内のものが多く,粘膜下層の深さの1/2を越え,固有筋層近くまで浸潤しているものと,早期類似進行胃癌・深達度pmのものでは15%をこえた.この様な検討から分化型胃癌と未分化型胃癌の癌発育形式についても考察を加えた.
  • 第二編:腸上皮化生を中心に
    前田 淳
    1979 年 76 巻 4 号 p. 851-860
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Gaschromatographyを用い,内視鏡的色素染色法で診断した腸上皮化生のDisaccharidase活性を測定した.染色部と非染色部では染色部の方が活性が高かつたが,非染色部に活性のみられたことは色素染色法に様々の因子が関与しており今後検討を要する.染色型では活性に差はみられず,染色程度とは正の相関があつた.Lactase活性はMaltase, Sucrase活性に比べ十二指腸球部と腸上皮化生における活性比が大きかつた.胃癌周囲の腸上皮化生の活性は病型別では差がなく,組織型別では高分化型胃癌の方が低分化型胃癌の周囲の腸上皮化生より高かつた.さらに胃癌部から離れた腸上皮化生ほど活性が高かつたが,胃癌を伴わない胃の腸上皮化生の活性より低かつた.
  • 第2編粘液組織化学的研究
    佐々 英達, 喜納 勇
    1979 年 76 巻 4 号 p. 861-870
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃粘液癌手術症例114例,大腸粘液癌手術症例41例ならびに非腫瘍性消化管上皮を対象とした粘液組織化学的検索の結果以下の結論を得た.
    1) 固有胃粘膜上皮細胞の粘液は大部分がneutral mucinから成る.2)腸goblet cellにも胃のmetaPlastic goblet cellにもacid mucinが存在するが,sulfated acid mucinの有無はgoblet cellの存在部位により異なり,小腸では存在せず,大腸では全例にその存在が認められた.胃のmetaplastic goblet cellには時に部分的にsulfated acid mucinの存在が認められた.3)胃粘液癌ではほぼ全例にnon-sulfated acid mucinの存在が認められ,更に約半数においてsulfated acid mucinの存在が認められた.4)大腸粘液癌では全例にnon-sulfated acid mucinの存在が認められ,更に大多数においてsulfated acid mucinの存在が認められた.
  • 長鎖飽和脂肪酸と長鎖不飽和脂肪酸の差異と小腸alkaline phosphataseの役割
    三浦 総一郎, 朝倉 均, 宮入 守, 森下 鉄夫, 石井 裕正, 土屋 雅春
    1979 年 76 巻 4 号 p. 871-880
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    腸管リンパにカニュレーションしたWistar系ラットを用い,無麻酔生理的条件下で,長鎖不飽和脂肪酸(linoleic acid)と長鎖飽和脂肪酸(palmitic acid)の小腸吸収転送動態の差異を,小腸alkaline phosphatase(以下ALPと略す)の動態と対比しつつ検討した.対照ラット群,蛋白合成阻害剤であるpuromycin投与群および小腸ALPの特異的阻害剤であるL-phenylalanine投与群の3群にわけて追及した成績は次の通りである.1)1inoleic acidの吸収転送はpalmitic acidのそれより早くかつ良好である.2)puromycinはlinoleic acidの吸収転送を強く阻害するが,palmitic acidのそれを阻害しない.3)リンパ中の小腸ALPは脂肪吸収に相関して増加する.4)L-phenylalanineは空腸絨毛のALP活性を低下させ,腸管リンパ中への排出を阻害する.同時に,長鎖脂肪吸収も阻害する.
  • 渡辺 明治, 東 俊宏, 小畑 尚宏, 林 正作, 長島 秀夫, 馬場 敦子, 林 愼一郎
    1979 年 76 巻 4 号 p. 881-888
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    血清アミノ酸のうち,重症肝疾患の病態解析やその緊急治療に必要な6種類の中性アミノ酸,すなわちValine, Leucine, Isoleucine, Tyrosine, Phenylalanine, Methionine濃度を採血後2時間以内に迅速測定しうる方法を明らかにした.この方法を日常の臨床検査として肝疾患の診療に応用し,刻々変化する各アミノ酸濃度をモニタリングすることは,重症肝疾患の治療法の選択とその臨床効果や予後の判定などに有意義と思われる.
  • 菅 真美, 菅 大三, 西岡 幹夫, 児玉 隆浩, 福本 陽平, 竹本 忠良
    1979 年 76 巻 4 号 p. 889-895
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    慢性活動性肝炎,肝硬変症における細胞性免疫と血清蛋白亜分画との関連を検索した.Eロゼット形成リンパ球はactiveロゼット形成リンパ球と有意の正の相関がみられた.慢性活動性肝炎,肝硬変症において,activeロゼット形成リンパ球はpre-albと有意の正の相関があり,慢性活動性肝炎ではactiveロゼット形成リンパ球はα1-ATと有意の正の相関がみられた.しかし,Eロゼット形成リンパ球は血清蛋白亜分画と有意の関連性はなく,activeロゼット形成リンパ球はEロゼット形成リンパ球よりも血清蛋白亜分画との強い関連性がうかがわれた.
  • 岡田 勝彦, 北出 文男, 山田 真一, 革島 康雄, 岡島 邦雄, 藤本 守
    1979 年 76 巻 4 号 p. 896-904
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    二連型K+選択性イオン微小電極を用いて,肝細胞における膜電位(PD),細胞内K+濃度(CK)を同時に測定した.抗癌剤(MMC,5-FUDS)投与後の肝細胞におけるPD, CKは共に低下がみられ,肝細胞におけるエネルギー代謝の低下が示唆された.抗癌剤に代謝賦活剤であるcoenzyme Q10 (CoQ10)を併用することによりPD, CKの低下は有意に抑制され,細胞のエネルギー代謝の低下が抑制された.
  • 具 栄作, 藤幡 敏夫, 木村 信良
    1979 年 76 巻 4 号 p. 905-913
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    レシチン•コレステロール•アシルトランスフェラーゼ(LCAT)は肝で生成され,血流中で遊離コレステロールのエステル化を司どる酵素であり,各種肝機能障害においてその活性値の変化が観察される.本酵素活性値と,血清ビリルビン値および胆汁うつ滞性肝疾患に特徴的な血清Lipoprotein-X (LP-X)との組み合わせにより,肝の機能的予備力を推定することが可能であると思われた.すなわち,1) LCAT活性高値,血清総ビリルビン値高値で両者が概ね並行して変動する時期(随伴期)においては,LP-X陽性,血清総コレステロール高値を示すことが多く,肝機能障害は比較的軽微であつた.2) LCAT活性低値,血清総ビリルビン値高値で両者が分離して変動する時期(解離期)においては,LP-X陰性,血清総コレステロール低値となる場合が多く,この型を示す症例は予後絶対不良であつた.
    以上の時期的分類は閉塞性黄疸のみならず,肝硬変症,うつ血性肝障害においても概ね妥当性を有した.
  • 瀧野 辰郎, 中島 一益, 中林 富雄, 牧野 邦雄, 千丸 博司, 大高 剛, 平海 良雄, 高森 成之, 高橋 示人, 金綱 隆弘, 増 ...
    1979 年 76 巻 4 号 p. 914-923
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    急性肝炎194例に100g-経口ブドウ糖負荷試験(GTT)を行い,うち100例に血中免疫insulin (IRI)を測定した.糖尿病遺伝歴,GTT型およびinsulinogenic index (30'ΔIRI/ΔBS)などと急性肝炎の予後との関係を検討し,次の結果を得た.
    糖尿病遺伝歴のあるものはないものに比し肝炎の予後が悪い.急性期にGTTの正常のもの,急性期から回復期にGTTの改善するものは肝炎の予後が良い.急性期または回復期の30'ΔIRI/ΔBSが0.8以上のものは0.8未満のものに比し肝炎の予後が良い.
    以上のことから回復期のGTT,急性期および回復期の30'ΔIRI/ΔBSは急性肝炎の予後判定の指標となり得るものと考える.
  • 柏木 徹, 木村 和文, 房本 英之, 末松 俊彦, 七里 元亮, 鎌田 武信, 阿部 裕
    1979 年 76 巻 4 号 p. 924-933
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    99mTc-Pyridoxylideneisoleucine(PI)による肝•胆道シンチグラフィーを各種疾患患者34例に行い,そ.の臨床的意義を検討した.PIによる肝,胆嚢,胆管像は鮮明で,通常5分で肝が,10分前後で胆道系が描出された.高度黄疸例では胆道系の嫁が得られなかつたが,中等度黄疸例では胆道系が描出される場合があり,肝細胞性黄疸と閉塞性黄疸の鑑別,閉塞性黄疸における閉塞の部位診断に有用と考えられた.さらに先天性胆管嚢胞の診断や放射性コロイドによる肝シンチグラムでの異常像の鑑別にも有用と考えられた.胆嚢結石例では5例中4例に胆嚢が描出されず,胆石の有無を診断できなかつた.Dubin-Johnson症候群では,131I-BSPにみられた様な排泄障害は全く認められなかつた.
  • とくにアルギニン負荷によるグルカゴン,インスリン分泌の検討
    西脇 英樹, 坂崎 庄平, 沈 敬補, 佐竹 克介, 梅山 馨
    1979 年 76 巻 4 号 p. 934-941
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    実験的に完全膵管結紮犬,主膵管単独結紮犬を作成し,結紮後6ヵ月にわたつて血糖値,血清インスリン値,血漿グルカゴン値の変動,特にアルギニン負荷試験によるグルカゴン分泌能について検討を行つた結果,膵管結紮後6ヵ月の観察では高血糖のみられた例はなく,完全結紮6ヵ月後では空腹時インスリン値,グルカゴン値及びアルギニン負荷によるグルカゴン分泌能ともに低下を示した.
    一方,主膵管単独結紮6ヵ月後では,空腹時インスリン値は低下傾向を示し,血漿グルカゴン値も低下を示すが,アルギニン負荷後のグルカゴン分泌反応はピークはやや遅れるも,完全結紮犬に比べると良好な反応を示した.このことより,完全膵管結紮6カ月後の膵内分泌能は低下することが示唆された.
  • 長嶺 信夫, 山藤 和夫, 中村 康孝, 野原 雄介, 伊藤 悦男, 遠藤 巖
    1979 年 76 巻 4 号 p. 942-948
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 平田 哲郎, 木村 寿成, 若杉 英之, 井林 博, 細迫 有昌, 勝田 彌三郎
    1979 年 76 巻 4 号 p. 949-954
    発行日: 1979/04/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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