日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
糖代謝からみた急性肝炎の予後
瀧野 辰郎中島 一益中林 富雄牧野 邦雄千丸 博司大高 剛平海 良雄高森 成之高橋 示人金綱 隆弘増田 正典秋田 茂夫葛谷 覚元
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1979 年 76 巻 4 号 p. 914-923

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抄録

急性肝炎194例に100g-経口ブドウ糖負荷試験(GTT)を行い,うち100例に血中免疫insulin (IRI)を測定した.糖尿病遺伝歴,GTT型およびinsulinogenic index (30'ΔIRI/ΔBS)などと急性肝炎の予後との関係を検討し,次の結果を得た.
糖尿病遺伝歴のあるものはないものに比し肝炎の予後が悪い.急性期にGTTの正常のもの,急性期から回復期にGTTの改善するものは肝炎の予後が良い.急性期または回復期の30'ΔIRI/ΔBSが0.8以上のものは0.8未満のものに比し肝炎の予後が良い.
以上のことから回復期のGTT,急性期および回復期の30'ΔIRI/ΔBSは急性肝炎の予後判定の指標となり得るものと考える.

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