日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝疾患における血清フェリチン測定の診断的意義
中野 哲熊田 卓北村 公男綿引 元武田 功井本 正己小沢 洋
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1979 年 76 巻 6 号 p. 1306-1314

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抄録

健常者35例,肝硬変症を含む良性消化器疾患79例,肝癌を含む悪性消化器疾患84例の合計198例に,「第一」SPAC ferritin kitを用いて血清ferritinを測定し,その診断的意義を検討した.肝硬変症で43%,肝炎で50%前後,原発性肝癌で74%,転移性肝癌で67%に血清ferritinの異常高値がみられた.肝疾患において血清ferritinとGOT,血清Feとの対比を行つたが肝炎時にGOTと著明な相関がみられた(p<0.01)のみである.原発性肝癌では血清ferritinは,AFPが104ng/ml以上の場合は正の相関(P<0.05)それ以下の場合は負の相関傾向(0.05<P<0.1)がみられた.また巨大な腫瘍では微小な腫瘍より明らかに血清ferritinは高値を示した(P<0.05).
一方,肝悪性腫瘍の血清ferritinとCEAは明らかな相関はみられなかつた.

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