日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
76 巻, 6 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 治癒過程と粘膜再生,特に固有結合組織の役割について
    篠崎 玄幸
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1219-1234
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    clamping法及びclamping-cortisone法を用いてratの十二指腸に潰瘍を作成する事に成功した.この潰瘍について発生から治癒まで8週間にわたり,肉眼的,組織学的並びに組織化学的(alkaline-phosphatase染色)に観察検討した.
    本法によれば100%の例で同一部位に同形同大の潰瘍を作成出来た.
    clamping群(DC群)は肉眼的に大部分は3週で治癒したが,clamping-cortisone群(DCC群)では4~5週を要した.これを組織学並びに組織化学的に見ると,上皮の再生は1日目から両群共に始まるが,DC群では固有結合組織の再生も盛んで早く粘膜再生を完成するが,DCC群では潰瘍底肉芽の過剰増生により粘膜再生が遅延し,潰瘍治癒が遅れた.
  • 成木 行彦, 中野 実, 大塚 幸雄
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1235-1245
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃癌患者102例について,その病理所見と血中CEA値の関連を検索し,CEA値の上昇因子の検討をした.Borrmann分類ではIV,III,II,I型に従つて高値を示した.早期胃癌は組織型に無関係に20%のCEA陽性率を示したが,進行癌では組織型の分化度に左右され,高分化型に高値を,低分化型は低値を示すものが多かつた.深達度が進むと高値となつた.所属リンパ節転移の有無には非相関であつた.浸潤度はγ,β,αになるに従つて陽性率が高くなつた.リンパ管侵襲ならびに静脈侵襲は高度になるに伴い陽性率が高くなつた.特に中等度分化管状腺癌で静脈侵襲が高度になるに伴い血中CEAは高値を示した.組織CEAの血中への移行には脈管侵襲が大きな因子の1つであつた.
  • 各種定量法の比較と癌診断への応用
    山口 希, 井上 頴樹, 小川 博正, 大見 甫, 木本 邦彦, 町野 満夫, 池内 秀夫, 竹内 覚, 林 恭平, 青池 晟, 赤坂 裕三 ...
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1246-1251
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    市販のCEA kit (France, CIS-CEA kit)を用いて悪性疾患,非悪性疾患および健常者の血清CEA値を測定し,以下に述べる知見を得た.
    1) 二抗体法によるCIS-kitは検体量,手技,再現性などの点で他の市販のkitよりすぐれている.正常域は0~20ng/m1で20ng/ml以上を異常値とした.2) CEA測定は悪性疾患のみならず腸管や肝臓の炎症性疾患でも陽性を示しnon-specipcな検査である.悪性疾患群では37%に陽性であつたが,一方,良性疾患群では9%に陽性をみた.悪性疾患群では膵癌,大腸癌に高陽性率をみた.3) CEA測定による早期癌の診断は困難である.しかし臨床経過をよく反映し,悪性疾患の進展を明示してくれる.
  • 松倉 則夫
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1253-1258
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    腸上皮化生と胃癌との関係究明を目的として,ラットにN-プロピル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(PNNG)を濃度100μg/mlの水溶液として44週投与,経時的に屠殺した,腸上皮化生は19週に初めて出現し,28週までに57%のラット腺胃にみられた.腸上皮化生の出現頻度は時間の経過と共に上昇し88週では100%のラットにみられた.胃癌は69週に初めて腺胃にみられ,腸上皮化生は胃癌に先行して出現した.電子顕微鏡による観察で,化生腺管には不規則に発達したmicrovilliと粘液穎粒を持つた杯細胞を認めた.オートラジォグラフィーによつて標識された核は腺管の下部1/2の細胞にある事がわかつた.
  • 初期病変における粘膜微細構造の観察を中心として
    林 繁和
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1259-1270
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    家兎に硫酸多糖体であるAPSを投与して大腸に潰瘍を作成し,経時的に観察した.内視鏡,色素内視鏡,肉眼観察で所見のみられない初期においても実体顕微鏡SEMによる観察ではほとんど全例に所見がみられた.実体顕微鏡における初期像は腸小区の乱れや細分化に始まり,次いで点状•線状ビランが出現し,更には潰瘍性病変へと進展がみられた.SEMにおける初期像は陰窩開口部周辺の細胞の癒合に始まり,次いで細胞および陰窩構造の破壊像がみられた.また,微絨毛は初期では先端がヒゲ状あるいはポリープ状などの変化を示すが密生しているのに比し,やがて密度の減少と著明な変形がみられ,更に消失へと進展した.
  • 加納 正, 内野 治人, 古川 裕夫
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1271-1276
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    最近,免疫組織としての消化管粘膜に多大の関心が寄せられている.粘膜面での免疫学的機序は外界から内部環境を守るように働いているとみられる.ここには主として分泌型IgA(SIgA)が関与する.この分泌免疫系についての十分な把握は消化管疾患の病態生理の理解に必須である.しかし多くの問題が未解決である.基本的課題の1つであるS成分(SC)産生細胞について多くの対立する報告がある.この点についてより理解を進めるために原発性免疫不全症の腸管生検標本の免疫学的解析を試みた.われわれはcommon variable immunodeficiency例の十二指腸粘膜において,円柱上皮細胞ではなくgoblet細胞がもつばらSCを保有している像を確認した.その病態生理学的意義について文献考察を加えながら検討した.SC産生細胞に関しては,ヒトと動物の不一致所見を含めて今後も引続いて検討されるべきである.
  • 血清GPT活性値を中心として
    吉次 通泰, 岩瀬 透, 佐々 隆之
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1277-1283
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肥満度が+30~+50%の肥満者76例につき,血清GPT活性値の正常群と異常群との間で空腹時血清インスリン(IRI)および血糖•耐糖能曲線•血清脂質を比較検討し,以下の成績を得た.(1)男性肥満者は43例中16例(37.2%)に血清GPT活性値の異常を合併し,異常群では正常群よりも空腹時IRIおよび血糖値が有意に高く,耐糖能曲線•血清脂質は両群間で差はみられなかつた.(2)女性肥満者では33例中2例(6.1%)に血清GPT活性値の異常を認めるにすぎなかつた.(3)男女とも血清GPT活性値と空腹時IRI値との間に有意の正の相関(男:r=0.4541,女:r=0.4103)を認めたが,女性では空腹時IRIの低い例が多く,女性でGPT値異常例の少ない原因と推測した.
  • 河野 安継
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1284-1294
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝臓におけるヒスタミン代謝を解明する目的で,四塩化炭素肝障害犬に塩酸ヒスタミン,compound48/80を投与し,門脈血と肝静脈血の血漿ヒスタミン値の変動,肝組織肥満細胞数,試験管内肝組織ヒスタミン遊離を検討した.薬物投与前の血漿ヒスタミン値は,対照群,肝障害群ともに門脈血が高値を示した.血漿ヒスタミン値は,塩酸ヒスタミン投与後,対照群,肝障害群ともほぼ同様の変動を示し,compound48/80投与後肝障害群で対照群より高値を示した.肝組織肥満細胞数に一定の傾向は認めなかつた.試験管内肝組織ヒスタミン遊離率は肝障害群で高かつた.以上肝臓におけるヒスタミンの不活性化と肝障害時のヒスタミンの遊離充進を認めた.
  • 渡辺 明治, 林 正作, 東 俊宏, 小畑 尚宏, 長島 秀夫
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1295-1305
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    高カロリー輸液のための中心静脈カテーテルを介する敗血症を併発した2例の劇症肝炎と難治性腹水貯留を呈した肝硬変を伴う3例の原発性肝癌に対して,分枝鎖アミノ酸中心の特異な組成をもつ混合アミノ酸とマルトースを主体にした経腸成分栄養を試み,窒素出納の改善と血清アミノグラム不均衡の是正が得られた.経腸栄養法はより生理的な栄養補給法であり,経静脈栄養法をも合理的に併用することで,重症肝疾患例の栄養管理がより容易になるものと思われる.
  • 中野 哲, 熊田 卓, 北村 公男, 綿引 元, 武田 功, 井本 正己, 小沢 洋
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1306-1314
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    健常者35例,肝硬変症を含む良性消化器疾患79例,肝癌を含む悪性消化器疾患84例の合計198例に,「第一」SPAC ferritin kitを用いて血清ferritinを測定し,その診断的意義を検討した.肝硬変症で43%,肝炎で50%前後,原発性肝癌で74%,転移性肝癌で67%に血清ferritinの異常高値がみられた.肝疾患において血清ferritinとGOT,血清Feとの対比を行つたが肝炎時にGOTと著明な相関がみられた(p<0.01)のみである.原発性肝癌では血清ferritinは,AFPが104ng/ml以上の場合は正の相関(P<0.05)それ以下の場合は負の相関傾向(0.05<P<0.1)がみられた.また巨大な腫瘍では微小な腫瘍より明らかに血清ferritinは高値を示した(P<0.05).
    一方,肝悪性腫瘍の血清ferritinとCEAは明らかな相関はみられなかつた.
  • 戸張 千年, 野口 雅裕, 大塚 幸雄, 黒沢 洋, 西野 執, 成木 行彦, 大橋 賢, 水落 勝明, 入江 実
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1315-1324
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    新しい99mTc-(Sn)-PI(Pyridoxylidene isoleucine)による肝•胆道スキャンを正常例5例を含む各種肝•胆道系疾患36例に施行した.静注後,正常例で総胆管は5分,胆のう•十二指腸は12分で像が得られ,従来の131I標識化合物に比し画像は明瞭であり,短時関に評価が得られた.更に,正常例,完全胆道閉塞症例,胆石症例,胆のう炎,胆道ジスキネジー,肝炎例に本スキャンを施行し形態学的•機能的に十分な評価を得た.99mTcと生理的物質との化合物ゆえ被曝線量の軽減が期待出来,副作用も全く認められなかつた.本剤による肝•胆道スキャンは新生児より高齢者までの肝•胆道系疾患の治療指針,術後•放射線治療の経過観察にも有用性が認められた.
  • 高山 哲夫
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1325-1336
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    大膵管の不完全結紮により犬の実験的膵石症作成に成功した.膵石形成率は結紮後6ヵ月で28頭中57%であつた.膵石の主成分(炭酸カルシウム,ICP分析).結晶構造(走査電顕)は人膵石と一致した.膵管像は径の不整を伴つた著明な拡張を示した.
    組織学的には膵は小葉間に中等度以下の線維化を認めたが,外分泌腺の破壊は軽度であつた.外分泌機能は結紮前に比し,液量,アミラーゼ,および蛋白の分泌量は低下したが,濃度は低下しなかつた.また,[Ca++][Mg++]濃度は上昇した.一方,内分泌機能は著変なかつた.以上の結果,膵液の分泌の持続,うつ滞,性状の変化の共存が膵石形成の一因と考えられた.
  • 麦谷 〓夫, 大塚 幸雄, 新保 敏和, 矢田 純一
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1337-1349
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    消化器癌209例を対象とし,T細胞のSubsetsの1つであるIgG-FcR+.T cell, PHAに対するリンパ球
    の反応性,患老T細胞補助効果を検討した.IgG-FcR+•Tcellは未治療群で11.36±7.8%であり,腫瘍摘出後は7.98±6.3%となつた.癌進行度とIgG-FcR+•T cell増加とRHA反応性低下はStage Iで5.8%,IIで42.8%,IIIで33.3%,IVで52.3%を示し,IgG-FcR+•T cell増加とT細胞補助効果の低下はStage Iで20%,IIで20%,IIIで25%,IVで35.7%を示した.早期胃癌例はIgG-FcR+•T cell増加とPHA反応性低下が12.5%,IgG-FcR+•T cell増加とT細胞補助効果の低下は18.7%,進行胃癌例は25.5%,37.9%を示した.以上の成績から消化器癌患者にSupprelsor T cellの増加を実証し,癌の進行度と共にT細胞の機能低下が顕著となる成績をえた.
  • とくにその難治性潰瘍に対するcimetidineの効果について
    白鳥 敬子, 渡辺 伸一郎, 大田 由己子, 丸山 正隆, 神津 忠彦, 黒川 きみえ, 竹内 正, 河井 文健, 佐々木 一元, 森 正穂 ...
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1350-1357
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 秋田 八年, 谷川 尚, 香月 武人
    1979 年 76 巻 6 号 p. 1358-1364
    発行日: 1979/06/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
feedback
Top