日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵疾患における血清トリプシンの診断的意義
早川 哲夫近藤 孝晴山崎 嘉弘伊藤 和人飯沼 幸雄奥村 信義榊原 哲成瀬 達戸田 安士青木 勲
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1979 年 76 巻 7 号 p. 1513-1521

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抄録

膵疾患における血清trypsinの診断意義を検討するため,pancreozymin-secretin試験(PST)時の血清trypsin(IRT)の変動をradioimmunoassayにて測定した.対象はPSTおよび尿アミラーゼを施行(尿ア)した38例を5群に分け,そのIRTと血清amylase(血ア)を比較した.IRT測定法はヒトtrypsinに特異的で,最小感度20ng/ml,測定内および間変動は10%以下であつた.PS刺激前に対する刺激後のIRT増加率は膵頭領域癌(4例)>尿ア上昇,PST正常(8例)>軽症膵炎(10例)>正常(PST,尿ア正常,11例)>高度膵炎(5例)の順であり,正常でも52%の有意な増加を示した.膵疾患27例におけるIRT,血アの異常率は刺激前26%,15%,刺激後48,19%であつた.PS刺激後のIRTの異常が最も大であり,刺激前のIRTの約2倍, 血清amylaseの約3倍の異常率を示した.

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