1980 年 77 巻 1 号 p. 82-87
pancreozymin secretin試験(PST)正常群(n=17),最高重炭酸塩濃度(MBC)低下群(14),MBCを含む2因子以上低下群(10)の十二指腸液中リパーゼ活性を比濁法にて測定し,慢性膵炎における意義を検討した.膵外分泌機能低下に伴なう膵酵素排出量の低下の程度は,リパーゼ(PST正常を1とすると,1因子0.57,2因子以上0.12)の方がアミラーゼ(1,0.71,0.22)より著明であつた.また,酵素排出量低下の頻度は,リパーゼ(20/24,83%)の方がアミラーゼ(14/24,58%)より大であつた.アミラーゼ正常,リパーゼ異常例は25%(6/24)にみられたが,逆は1例もなく,アミラーゼに比しリパーゼ排出量測定の方が軽症慢性膵炎の診断に適すると考えられる.