1980 年 77 巻 10 号 p. 1562-1565
peroxidase-antiperoxidase法(PAP法)によつて大腸組織内のCEAを検討した.CEAは大腸癌13例及び高度の異型を呈する腺腫6例の全てに認められた.正常大腸4例,大腸癌症例の正常大腸粘膜7例,及び潰瘍性大腸炎12例にはCEAを認めなかつたが,腫瘍性異型を呈した潰瘍性大腸炎の1例において異型上皮及びその近傍の粘膜にCEAを認めた.本報告でも抗CEA血清の特異性に問題を残しているが,一種の染色法として癌及び癌化の指標として利用しうると考えられた.