日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
Polyacrylamide gradient gel電気泳動法によるALP isoenzymeの検討
variant ALPを中心に
中源 雅俊澤武 紀雄千代 英夫若林 時夫尾崎 監治登谷 大修服部 信
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 77 巻 12 号 p. 1930-1937

詳細
抄録

ALP isoenzymeの一種であるいわゆるvariant ALPをpolyacrylamide gradient gelを支持体とした電気泳動法で検出し,本isoenzymeの肝細胞癌患者血清における診断的意義を検討した.本isoenzymeは肝細胞癌94例中17例18.1%に認められたが,その他の癌69例および良性肝胆道疾患には検出されなかつたことより,肝細胞癌に特異性の高いtumor markerであると考えられた.AFPやnovel γ-GTPの陽性率に比して低いが,本isoenzymeはAFPのtiterやnovel γ-GTPの有無には無関係に出現し,variant ALPのみの陽性例が94例中4例にみられた.以上よりAFP陰性または低値例,あるいはnovel γ-GTP陰性肝細胞癌で有力なtumor markerがない現在,AFPやnovel γ-GTPと同時にvariant ALPを検索することは,肝細胞癌の血清生化学的診断の一つとして有用であると考えられる.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top