日本消化器病学会雑誌
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腸管リンパよりみた脂肪吸収転送過程
colchicine投与時の長鎖脂肪酸転送障害と小腸alkaline phosphataseの役割
三浦 総一郎
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1980 年 77 巻 4 号 p. 572-582

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抄録

intestinal lymph fistulaを作り,Bollman cage内で生理的条件下に飼育したWistar系ラットを用いて,長鎖脂肪酸のリンパへの吸収転送過程における細胞内microtubules機構の役割と,長鎖脂肪酸の吸収に重要な役割をはたすと考えられる小腸alkaline phosphatase(以下ALPと略す)の関与を検討した.microtubules阻害剤であるcolchicineを投与したラット群を対照群と比較し,以下の成績を得た.1) 細胞内microtubules阻害によつて脂肪吸収転送過程の中で主にリポ蛋白の細胞外放出過程が阻害をうけた.
2) その阻害程度は長鎖不飽和脂肪酸(linoleic acid)と長鎖飽和脂肪酸(palmitic acid)の間で差がみられなかつた.3) リンパ中へ転送される脂肪は対照群が大部分中性脂肪の形であつたのに対し,colchicine投与群では大部分遊離脂肪酸の形であつた.4) 対照群ではリンパ中の小腸ALPは脂肪吸収に相関して増加するが,このALPの増加はcolchicine投与によつても阻害をうけない.すなわちリポ蛋白放出過程に小腸ALPの関与はみられなかつた.

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