日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
門脈圧亢進症における血行動態
特に上腸間膜動脈造影における腹腔動脈系への造影剤逆流と腹腔動脈・大動脈間圧格差について
山崎 武
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1980 年 77 巻 5 号 p. 732-743

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抄録

上腸間膜動脈造影における造影剤の腹腔動脈系への逆流現象と腹腔動脈・大動脈間圧格差との関係から,特に門亢症の血行動態について検討した.各種疾患260例中43例(16.5%)に逆流像を認めたが,その内主なものは腹腔動脈やその附近の狭窄15例,バンチ症候群22例中8例(36.4%)肝細胞癌18例中7例(38.90)肝硬変症42例中6例(14.3%)などであり,これら症例の中には腹腔動脈圧格差が異常なものがみられた.このことから逆流現象の原因は腹腔動脈流入血量の減少のみならず流入血量の増大やさらに血流速度の上昇が関与していることを知つた.この様な流入血量の変化が考えられない症例では先天的ないし後天的な異常吻合枝の拡張が逆流の原因となつていた.

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