日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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77 巻, 5 号
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  • とくに細胞性免疫能を中心に
    上地 六男, 松野 堅, 前田 淳, 赤上 晃, 山下 克子, 横山 泉, 市岡 四象
    1980 年 77 巻 5 号 p. 691-697
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    加齢に伴う細胞性免疫能と胃癌家系家族の免疫能について検討し,次の結論をえた.加齢に伴なつて免疫能,とくに細胞性免疫能の低下が認められた.
    すなわち,末梢血リンパ球数の減少,Tリンパ球数の減少,Tリンパ球mitogenであるcon AやPHA刺激によるリンパ球幼若化率の低下やSuppresser Tリンパ球の増加傾向が認められた.また,胃癌家系家族の免疫能は各年代別一般健康人とくらべ,細胞性免疫能を表現する各種パラメーターの低下傾向が認められ,胃癌家系家族はいずれのパラメーターにおいても一般健康人より低い値を示した.従つて,胃癌家系の家族は潜在的に免疫不全状態が存在するものと推測された.
  • 第5報各種胃疾患における水素イオンのback diffusion,並びにその胃潰瘍形成における関与について
    大江 慶治, 白川 敏夫, 横矢 仁, 音田 正樹, 野口 章男, 浦城 三四郎, 井上 正規, 三好 秋馬
    1980 年 77 巻 5 号 p. 698-707
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃粘膜関門の障害による胃内腔水素イオンの粘膜内への拡散(H+ back diffusion)と潰瘍形成との関連を追求するため,正常者11例,各種胃疾患患者153例の胃内に試験液を注入し,試験液内外への各種イオンの流量を測定して次の成績を得た.A)ナトリウムイオンの流量(Na+ net flux)は各種胃疾患において非特異的に増加しているが,H+ back diffusionは萎縮性胃炎,胃エロージョン,解放性胃潰瘍においてのみ特異的に亢進しており,胃潰瘍とそれに随伴する粘膜病変の存在を反映する事が疑われた.B)胃潰瘍患者を萎縮性胃炎の程度により分類して,相当する萎縮性胃炎患者と比較したが,H+ back diffusionの胃潰瘍の存在に対する特異性は認められなかつた.C)萎縮性胃炎患者,胃潰瘍患者を胃エロージョンの存否により分類すると,Na+ net fluxは非特異的に増加するのに反し,H+ back diffusionはエロージョンの存在に特異的に亢進する事を見出した.以上の成績から,水素イオンの粘膜内への拡散がエロージョンの原因となり,潰瘍形成の背景因子を構成する事を想定した.
  • 三木 一正, 小堀 鴎一郎, 鈴木 宏, 丹羽 寛文, 飯野 四郎, 宮崎 純, 織田 敏次, 草間 悟
    1980 年 77 巻 5 号 p. 708-715
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    純系Wistarラット腺胃に作製したMNNG胃癌を同系ラット背部皮下に継代的に移植した第14~16世代の移植胃癌を用い,これらの胃癌組織アルカリフォスファターゼ(ALP)アイソザイムの検出を行ない,その酵素学的・免疫学的性質を検討した.可移植性胃癌組織ALPの比活性値,阻害剤に対する態度,耐熱性,neuraminidase感受性,アイソザイムの電気的易動度,ザイモグラムパターンおよび抗ラット小腸ALP抗体との反応性などの酵素学的・免疫学的性質は各世代間で有意な差意を認めず,既報の初代MNNG胃癌組織ALPと同様の性質を示したことから,ラットMNNG胃癌細胞のALP産生,とくに小腸性ALPの産生はラット系と無関係に腫瘍自体に由来するものであり,それに関与する遺伝子情報の発現異常は継代移植しても移植胃癌細胞に引き継がれて行く可能性が示唆された.
  • 川本 勝, 福島 恒男, 石黒 直樹, 久保 章, 土屋 周二
    1980 年 77 巻 5 号 p. 716-721
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    非絞扼性腸閉塞症19例の閉塞上部腸液中の細菌を検索し,短鎖脂肪酸を経時的に測定した.腸液の細菌培養では,19例中12例にE. coli, Klebsiella, Bacteroides等の短鎖脂肪酸生成菌が107-11個/ml検出され,19例すべての腸液に短鎖脂肪酸が35-905mg/l存在した.分画では酢酸,プロピオン酸,乳酸が多くを占めた.手術例において短鎖脂肪酸濃度および細菌数は手術前後にpeakに達し,以後減少し,保存療法例では臨床経過の改善とともに短鎖脂肪酸も減少した.また空腸閉塞例より回腸閉塞例の方が腸内細菌数は多く短鎖脂肪酸濃度も高かつた.閉塞上部腸液中の短鎖脂肪酸の増加は,腸管拡張を助長し,腸運動を亢進させている一因であると思われた.
  • Enterobacterial Common Antigenの関与について
    田中 義
    1980 年 77 巻 5 号 p. 722-731
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    特発性炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎(UC)27例,Crohn病(CD)7例について,lymphocyte transformation testを用いて,phytohaemagglutinin (PHA)およびE. coli 014, 026, 0111, Vibrio cholerae由来Iipopolysaccharide (LPS)に対するリンパ球の反応を検討した.PHAに対する反応は,UCでは健常者と有意差は認められなかつた.CDでは有意な低下が認められたが,病変部別除術後改善された.LPSに対する反応は,UC活動期においてenterobacterial common antigen (ECA)を有するE. coli 014由来LPSに対してのみ反応が認められた.CDではいずれのLPSに対する反応も認められなかつた.以上より,UCの病因として,大腸抗原と共通抗原性のあるECAに対する感作T cellが重要な役割を果たしている可能性が示唆された.
  • 特に上腸間膜動脈造影における腹腔動脈系への造影剤逆流と腹腔動脈・大動脈間圧格差について
    山崎 武
    1980 年 77 巻 5 号 p. 732-743
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    上腸間膜動脈造影における造影剤の腹腔動脈系への逆流現象と腹腔動脈・大動脈間圧格差との関係から,特に門亢症の血行動態について検討した.各種疾患260例中43例(16.5%)に逆流像を認めたが,その内主なものは腹腔動脈やその附近の狭窄15例,バンチ症候群22例中8例(36.4%)肝細胞癌18例中7例(38.90)肝硬変症42例中6例(14.3%)などであり,これら症例の中には腹腔動脈圧格差が異常なものがみられた.このことから逆流現象の原因は腹腔動脈流入血量の減少のみならず流入血量の増大やさらに血流速度の上昇が関与していることを知つた.この様な流入血量の変化が考えられない症例では先天的ないし後天的な異常吻合枝の拡張が逆流の原因となつていた.
  • 第1報 胆汁うっ滞時のIsolated hepatocytesにおける胆汁酸排泄障害について
    多羅尾 和郎, 高邑 裕太郎
    1980 年 77 巻 5 号 p. 744-749
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝内,肝外胆汁うつ滞時の肝細胞の胆汁排泄能は,cholestasisのmechanismの解明に重要である.我々はethynyl estradiol 7日間皮下注(EE群),胆管結紮48時間(BDL群)によるcholestatic ratのisolatedhepatocytesを用い胆汁酸の排泄能を検討した.EE群及びBDL群の肝細胞よりの3H-総胆汁酸の排泄率(%/min)は,EE群で4.0±0.6%と,control群の13.9±1.4%に比し有意に低く(P<0.001).又,BDL群の5.4±0.2%もSham群の9.9±0.6%に比し有意に低く(P<0.001), cholestasis状態では総胆汁酸の排泄障害が認められた.一方,各胆汁酸の3.5分間の排泄率も,3H-glyco-及び3H-Taurocholateでは,EE群ではControl群の約1/2以下に有意に低下し,BDL群でもSham群に比し有意に低下していた.
  • 占部 一喜
    1980 年 77 巻 5 号 p. 750-757
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    30例の肝硬変症につき胃液酸・ペプシン分泌,空腹時血清ガストリン・セクレチン値を検討した.肝硬変症の消化性胃潰瘍合併群は非合併群に比較して酸分泌量,ペプシン分泌量,テトラガストリン刺激酸分泌反応量,刺激胃液分泌量の高値を認めた.肝硬変症特に消化性胃潰瘍合併群では胃液中のペプシンに対する酸の比率が肝障害を伴わない消化性胃潰瘍群より有意に高値を示した.以上より肝硬変症における消化性胃潰瘍合併は胃液酸・ペプシンの影響が一因と考えられ,又肝障害を伴わない消化性胃潰瘍とは胃液分泌上成因の異りが推測された.
  • 門脈所見からみた手術適応ならびに予後との関係
    岡崎 正敏, 森山 紀之, 山田 達哉
    1980 年 77 巻 5 号 p. 758-767
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝切除例27例を中心に組織学的に証明された肝細胞癌50例の門脈造影像からみた手術適応及び予後との関係について検討した.肝癌の血管造影に際して明瞭な門脈造影像をうるために,従来の薬物血管造影法に,若干の工夫を加えた.肝癌の門脈造影所見を無所見群と有所見群の2群に大別し,さらに,逆流性造影群,副血行路性造影群,陰影欠損群,線状陰影群,造影陰性群の5つに細分した.肝癌が門脈内腔に腫瘍塞栓を作つていると考えられる有所見群の頻度は36例(74%)と高率であつた.この36例のうち,門脈の病理学的検索がなされた20例はいずれも,門脈内に腫瘍塞栓の存在が確認された.有所見群の肝癌36例のうち切除されたものは14例にすぎなかつた.また切除不能であつた22例中5例は,肝動脈造影像では分らなかつた小転移巣が存在したため,実際には切除不能に終つた.また,この有所見群のものはたとえ肝切除が行なわれても,残肝再発例が多く,無所見群の症例に比べると予後不良であつた.無所見群の肝癌13例は,全例切除可能であつた.しかも殆んどの症例は予後が良好であつた.したがつて,肝癌の血管造影診断に際しては,従来の肝動脈造影による腫瘍の区域診断のみならず,明瞭な門脈造影像を描出し,詳細に読影することが重要である.
  • 第一編:実験編,ネコ胆道系の内在性神経支配に関する蛍光組織化学的ならびに組織化学的研究
    恩田 昌邦, 宮崎 隆司
    1980 年 77 巻 5 号 p. 768-778
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ヒトの各種胆道疾患の機能的病態を自律神経の面より明らかにする研究に先立ち,実験編として動物ネコを使用し,無処置群,L-5HTPおよびL-DOPA投与群,迷走神経切断(迷切)群の三群に分け,胆道系に及ぼす自律神経,特に内在性神経支配と消化管ホルモンおよび胆道各部位の組織内のcatecholamineを測定し以下の結論をえた.胆嚢壁内のadrenergic fibres (Ad-fibres)は,漿膜より立上つて,漿膜下層の動脈周辺で,adventitial plexusを形成,また平滑筋層内にも豊富に観察され,ここでmuscular plexusを形成,一部は粘膜にもinnervateしていた.cholinergic fibres (Ch-fibres)は,true cholinesterase (true-ChE)およびpseudo cholinesterase (pseudo-ChE)活性共に胆嚢各層に強く可染されその存在を証明した.総肝管,総胆管のAd-fibres, Ch-fibresは共に鮮明に観察され,総胆管末端部に近づくほど豊富に観察された.動物ネコ胆道系には消化管ホルモンは証明されなかつた.胆嚢組織内のcatecholamine (CA)の測定では,noradrenaline (NA),adrenaline (A)以外のbiogenic monoaminesは定量されず,Aは微量だが検出されたが,大部分はNAであつた.胆嚢でのNA含有量は,頚部に最も多く,底部になるほどその量は減少した.胆道系での検索では,胆嚢管に最も多く,総肝管に最も少ない定量結果をえた.迷切群では,Ad-fibresが各層で増殖し,Chfibresの各層での著しい減少が観察された.迷切群でのNA含有量は,無処置群と比較して,胆道各部位で高値を示した.
  • 山田 明, 北村 達也, 森 治樹, 松尾 裕, 小坂 樹徳, 片山 憲侍, 宮原 透, 小西 敏郎, 幕内 雅敏, 和田 達雄
    1980 年 77 巻 5 号 p. 779-783
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 中野 喜久男, 藤田 昌宏, 重田 英夫, 倉田 矩正, 田中 昇, 関本 一義
    1980 年 77 巻 5 号 p. 784-788
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 菱谷 好高, 中村 幸枝, 乾 雅一, 筧 紘一, 茂在 敏司, 加納 正
    1980 年 77 巻 5 号 p. 789-793
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 山本 晋一郎, 武元 良整, 山下 佐知子, 大橋 勝彦, 平野 寛
    1980 年 77 巻 5 号 p. 794-797
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 中島 泰代, 船越 顕博, 木村 寿成, 若杉 英之, 井林 博
    1980 年 77 巻 5 号 p. 798-802
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 臨床的検討
    稲田 正男, 山岸 健男, 小西 富夫, 谷 昌尚, 島津 久明
    1980 年 77 巻 5 号 p. 803
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 吉本 信次郎, 川井 啓市
    1980 年 77 巻 5 号 p. 804
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 特にstainless steel coilとballoon catheterの使用について
    高安 賢一, 隆 元英, 武者 広隆, 奥田 邦雄, 小林 千鶴子, 加藤 二郎, 高瀬 潤一
    1980 年 77 巻 5 号 p. 805
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 辻 孝夫, 土屋 正夫, 荒木 清典, 篠原 徹, 尾上 公昭, 井上 純一, 長島 秀夫, 内藤 紘彦, 小坂 淳夫
    1980 年 77 巻 5 号 p. 806
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 溝口 靖紘, 志波 孝, 東森 俊博, 大西 文明, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1980 年 77 巻 5 号 p. 807
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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