1981 年 78 巻 12 号 p. 2376-2383
細小肝癌15例を分析し,次の結論を得た.(1) 血中AFP陽性は11(73.03%),陰性は4例(26.7%).(2) 80%は診断時無症状.(3) HBs抗原は53.8%,抗体23.1%が陽性.一部の症例で血清LDH,ALP,LAP,γ-GTP,TC,GOT/GPT比が上昇.(4)99mTc-phytateによる肝シンチグラム,肝動脈造影,腹部CT,超音波検査,放射性ヨード標識抗AFP抗体による腫瘍シンチグラムの診断率はそれぞれ13.3,92.9,100,100,75%.(5)15例全例肝硬変を合併.15例中11例摘出.最小は1.6×1.5×1.2cm.全例trabecular Pattern.11例中6例が生存し,うち1例は細小肝癌摘出6年10ヵ月後,別の肝硬変部に細小肝癌を発生し,再び手術に成功した.