日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膜安定化剤セファランチンのCCl4肝障害抑制作用について
松井 孝安小林 雄一溝口 靖紘門奈 丈之山本 祐夫大谷 周造中井 賢治森沢 成司
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1981 年 78 巻 5 号 p. 1053-1058

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抄録

四塩化炭素(CCl4)をラットの腹腔内に投与して,トランスアミナーゼの血清への遊離と肝組織内に形成される過酸化脂質を指標として肝障害の誘導を検討すると,この2つの指標はいずれもCCl4投与量に応じて経時的に上昇した.このCCl4による肝障害は細胞膜安定化作用を有するとされているセファランチンによつて有意に抑制された.正常ラットから調製した分離肝細胞浮遊液に種々の濃度のCCl4を添加して,細胞外に遊離するGOT活性と細胞内に形成される過酸化脂質量を指標として,in vitroにおける肝障害の誘導を検討すると,セファランチンはこのin vitroの実験系においても有意にCCl4による肝障害の誘導を抑制することが示唆された.

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