日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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78 巻, 5 号
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  • 特に偽幽門腺の分化について
    須藤 宏, 一ノ瀬 岩夫, 西岡 利夫, 石田 稔, 功刀 正史, 風間 直人, 今井 貴子, 佐原 須美子, 小林 節雄
    1981 年 78 巻 5 号 p. 991-999
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    私達は,ラット胃粘膜の表面側を剥離し,欠損部を作成すると,胃腺の腺底部から腺窩上皮と偽幽門腺が再生することを既報した.この腺窩上皮と偽幽門腺の,その後の分化を解明するのが本実験の目的である.
    ラット胃粘膜の表面側の2/3を剥離し,腺底部だけから成る"びらん巣"を胃底腺領域の前壁,前胃近くに作成した.この周囲および前胃との間の粘膜を切除し,Ul IIの潰瘍とした.びらん巣周囲の潰瘍は前胃より増殖侵入した重層扁平上皮で覆われた.その結果,びらん巣は重層扁平上皮で囲まれ,周囲の胃粘膜から隔離した"島"を呈した.びらん巣,すなわち,腺底部だけから成る"島"の組織的変化を長期にわたり調べた.
    腺底部の成熟腺細胞から腺窩上皮と偽幽門腺が再生した(3週).この偽幽門腺は漸次増加した(5週).その後,偽幽門腺は壁細胞と未成熟主細胞へ分化し,偽幽門腺は減少した(6~8週).しだいに,主細胞と壁細胞が増加し,正常と同じ胃底腺が再生した(10~15週).この間,腺窩上皮の底部の増殖細胞からも,主細胞や壁細胞が形成された.扁平上皮下に迷入した偽幽門腺は分化せず,長期間,偽幽門腺のままであつた.
    以上,胃底腺領域の障害部に出現する偽幽門腺は,主細胞や壁細胞へ分化する能力を有し,胃底腺を再生した.偽幽門腺の役割として,障害部に速かに出現すること,主細胞や壁細胞へ分化することがあげられる.
  • 特に実験的ストレス潰瘍発生機構に関連して
    土屋 雅春, 織田 正也, 中村 正彦, 渡辺 勲史, 永田 博司, 柏崎 一男, 大家 友二
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1000-1014
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ラット腺胃部胃粘膜を組織化学,電顕的細胞化学および走査型電顕により観察した結果,胃粘膜固有層の真性毛細血管内皮細胞に密接して交感および副交感神経終末が認められ,同時に検討したacetylcholinesterase(ACh-E)活性の超微的局在所見から,胃粘膜の毛細血管網は自律神経によつて直接統御されていると考えられた.ラットの拘束性胃潰瘍性病変の発生過程において,血管運動性変化に基づく多彩な胃粘膜微小循環動蒐の異常が観察され,びらん形成部に近づくに従い,血管壁の透過性は亢進していた.びらん形成部近傍の胃游膜局所において副交感神経の組織化学的ACh-E活性は増強し,交感神経のノルアドレナリン蛍光は低下していた.以上から,全身拘束というストレスによつてもたらされた胃粘膜局所の自律神経機能のアンバランスが胃粘膜微小循環障害をひき起し,これに続発する胃粘膜の虚血性変化が潰瘍性病変の発生機構において重要な要因をなすと推察された.
  • 有馬 進太郎, 宮田 道夫, 松沢 裕一, 森岡 恭彦
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1015-1020
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    イヌに合成ヒトガストリン(SHG)を点滴持続静注し,plateau levelに達したのち投与を中止,この間一定時間毎に腹部大動脈,腎静脈より採血した.血中ガストリン測定はRadioimmunoassay法により行ない,SHGの血中動態を検討した.
    (1) イヌにおけるSHGの生物学的半減期は2.6'であつた.
    (2) 分布容量及びmetabolic clearance rateはおのおの23.4%,24.7ml/kg/minであつた.
    (3) 腎による減少率は30%であつた.
    (4) SHG投与中止後一過性に血中ガストリン濃度が上昇することを認めた.
    (5) カラム分画を行なつたところ,注入したSHGがG-13に分解される一方,それより分子量の大きいIRGが血中に出現することを認めた.
  • 新沢 陽英, 笠島 武, 斉藤 秀樹, 鈴木 清夫, 橘 文紀, 石川 誠, 今井 大
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1021-1028
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    消化管原発非ポジキン悪性リンパ腫21例のホルマリン固定材料を用いPAP法で,免疫グロブリン,リゾチームなどの局在を調べた.組織学的にはRappaport分類でびまん型が多く13例で,結節型は8例であつた.腫瘍細胞はPDLが最も多く,次いでHistiocyticであつた.21例中11例の腫瘍細胞内に免疫グロブリンがmonoclonalに認められたが,リゾチームは全例みられなかつた.著者らの症例ではびまん型のものが多かつたが,結節型もかなり多く,また免疫グロブリンがびまん型に多くみられたことから,腫瘍の多くはリンパ球由来であり,特にB cell由来のものと考えられた.
  • 第二編インドメサシン潰瘍における表面微細形態の観察
    山田 淳智
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1029-1039
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    インドメサシンによる小腸粘膜傷害の形態学的変化を調べる目的で,ラットにインドメサシン20mg/kgを皮下注射し,実体顕微鏡,光学顕微鏡を併用し,主として走査電子顕微鏡を用いて観察した.初期変化はインドメサシン投与1時間後の小腸粘膜に極く限局した小発赤点として現われ,同部では絨毛内の血液の残存,絨毛先端部の上皮細胞の剥離がみられた.時間の経過とともにvillous coreが露出し,絨毛間にも傷害がおよび,24時間後では浅い潰瘍が形成された.3日後では,潰瘍は多発して深くなり傷害極期の像を呈していた.10日後では,絨毛は潰瘍に向つて配列し,潰瘍側は先細りして柵状を呈した再生上皮へと移行し,強い治癒傾向がみられた.
  • 北野 厚生, 小林 絢三, 大川 清孝, 岡 史朗, 村井 雅己, 田中 吉之助, 片山 照義, 山口 勝治, 桑島 士郎, 小野 時雄
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1040-1046
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎と妊娠,出産との関連性についての報告は少ない.今回,妊娠,出産を契機として発症した本症女性患者3例(5回の妊娠)の臨床検討では,3例は妊娠を契機として発症あるいは増悪し,そのうち2例(2回)は出産後に増悪した.この間の治療は全例に対しSalicylazosulphapyridine (SASP)を投与した.
    これらの臨床成績から,本症女性患者で妊娠を希望した場合,1年間以上の緩解期間を置くのが望ましいと考えた.また,妊娠中あるいは出産後の治療薬剤としてはSASPを用いたが,妊婦,胎児ともに影響はなかつた.副腎皮質ステロイドホルモンは母体,胎児への副作用を考慮し,慎重に投与すべきと考える.
  • 多田 正大, 西村 伸治, 冨田 照見, 川井 啓市
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1047-1052
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    近年,化学療法の普及によるものか,本邦でも薬剤性大腸炎に関する報告が急増してきているが,その大腸粘膜における炎症像から偽膜型とビラン型に分類した.両群の病態には著しい差がみられたことより,その発生機序は異なることが推測された.殊にビラン型は突発的に発症し,しかも比較的速やかに治癒することなど,一過性型の虚血性大腸炎とよく似た病像がみられたことから,本症の発症には微細毛細血管の攣縮が関与しているものと考えられた.同時に個々の症例によつて,その発生機序にも種々の因子があることも示唆された.
  • 松井 孝安, 小林 雄一, 溝口 靖紘, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 大谷 周造, 中井 賢治, 森沢 成司
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1053-1058
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素(CCl4)をラットの腹腔内に投与して,トランスアミナーゼの血清への遊離と肝組織内に形成される過酸化脂質を指標として肝障害の誘導を検討すると,この2つの指標はいずれもCCl4投与量に応じて経時的に上昇した.このCCl4による肝障害は細胞膜安定化作用を有するとされているセファランチンによつて有意に抑制された.正常ラットから調製した分離肝細胞浮遊液に種々の濃度のCCl4を添加して,細胞外に遊離するGOT活性と細胞内に形成される過酸化脂質量を指標として,in vitroにおける肝障害の誘導を検討すると,セファランチンはこのin vitroの実験系においても有意にCCl4による肝障害の誘導を抑制することが示唆された.
  • 小坂 義種, 爲田 靱彦, 国吉 幹夫, 田川 新生, 明田 昌三, 辻田 悦治, 近藤 功, 西村 晃, 高瀬 幸次郎, 萩原 正芳, 垣 ...
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1059-1067
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    外来通院中の比較的症状の軽度な慢性肝疾患171例に,アガロースゲル電気泳動法によるリポ蛋白,各種脂質,:LCAT活性および肝機能検査の測定を行なつた.電気泳動法によるα-リポ蛋白は多くの慢性肝疾患で上昇し,pre-β-リポ蛋白は低下した.なかでも肝硬変におけるpre-β-リポ蛋白の低下は著明であつた.pre-β-リポ蛋白は肝機能検査のうち,chE, Alb, A/Gと正の相関が,γ-Glob, ZTTと負の相関が認められた.また,pre-β-リポ蛋白とLCAT活性は軽度の負の相関が認められた.このことより,血清リポ蛋白は慢性肝疾患の進展度をよく反映し,これらの疾患を鑑別する上で有用であると考えられた.
  • 野々村 昭孝, 谷野 幹夫, 車谷 宏, 大森 浩司, 原武 譲二, 太田 五六, 加登 康洋, 小林 健一
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1068-1078
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    慢性活動性肝炎(CAH),慢性非活動性肝炎(CIH),健常者を対象に,種々の方法を用いてその免疫調節機能を検討した.CAHでは,健常者に比較して,高度のConcanavalin A(Con A)誘導サプレッサー活性の低下がみられ,CIHでも軽い低下がみられた.Con A誘導サプレッサー活性の低下は血中HBs抗原の有無に関連しなかつた.Con Aで誘導しない末梢血T細胞のspontaneousサプレッサーあるいはヘルパー活性を測定すると,CAHで著明なみかけ上のヘルパー活性の充進がみられた.このみかけ上のヘルパー活性優位な所見は,T細胞を予めX線照射してサプレッサー活性を選択的に不活化して真のヘルパー活性を測定すると,CAHは健常者と同じことから,CAHのみかけ上のヘルパー活性優位はサプレッサー活性低下による相対的ヘルパー活性の上昇と判断された.CAH, CIH,健常者ともにサプレッサー活性はTγ細胞分画でつよくみられ,一定量のTγ細胞を用いた時のサプレッサー活性は3群の間に明確な差はなかつた.
    また,CAH患者血清中には,健常者のCon A誘導サプレッサー活性を抑制する因子の存在が示唆された.免疫調節機能を反映するとされるautologous mixed lymphocyte reaction(AMLR)も,健常者に比較して,CAHで有意に低下していた.同一例の検討では,AMLRとCon A誘導サプレッサー活性とはよく相関していた.
  • 木村 晴茂, 高橋 渉, 鈴木 範美, 後藤 順一, 南原 利夫
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1079-1087
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    従来測定が困難であつた血中遊離型[F],グリシン抱合型[G]ならびにタウリン抱合型[T]胆汁酸の微量分画定量法を開発し,臨床応用を行なつた.方法は胆汁酸をAmberlite XAD-2にて抽出後,疎水性イオン交換ゲルpiperidinohydroxypropyl Sephadex LH-20にて分画し,各分画を酵素法にて定量するものである.再現性,回取率は極めて良好で,しかも高感度であるため血清0.5mlで分析が可能であつた.健常人の総胆汁酸量[TBA]は平均4.7nmole/ml,F,G,Tはおのおの1.7,2.1,0.9nmole/mlで,Fは約34.5%を占め,G/T比は2.7であつた.肝硬変症と閉塞性黄疸例は共にTBAは増加するが,F, G, Tの組成比は異なつていた.閉塞性黄疸例の減黄後はTBAは急激に減少し,G/T比は上昇した.
  • 竹越 國夫, 深沢 俊男, 嶋田 裕之
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1088-1096
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    高齢者肝硬変の特徴の有無をみるため,60歳以上の肝硬変54例(剖検例)について,臨床病理学的に検討した.結果は,1) 肝硬変の頻度は,肝硬変対総死亡比3.1%であり,高齢層ほど低下した.男女比は,1.1:1と男女差の少ない傾向がみられた.2) 臨床的には,非代償期肝硬変74%と多く,潜在性肝硬変は11%と少なかつた.3) 死因は,高蛋白食,利尿剤導入以前の時期に類似し,肝不全は35%と多く,消化管出血は11%と少なかつた.4) 肝硬変の形態学的分類では,全年齢層を扱つた他報告に比し,甲型6%と少なく,乙型54%と多かつた.5) 肝硬変に肝癌の合併する頻度は35%であり,高齢層ほど低下した.6) HBs抗原陽性率は13%であり,高齢層ほど低下した.
  • 岡村 信一, 福田 均, 下条 宏, 石原 弘文, 小暮 道夫, 西岡 利夫, 杉山 雅, 秋山 隆司, 大和田 恒夫, 関口 利和, 小林 ...
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1097-1101
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 草間 次郎, 飯田 太, 宮下 美生
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1102-1106
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 森田 博義, 松峰 敬夫, 村田 三紗子, 今川 八束, 斎藤 誠
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1107-1112
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 森瀬 公友, 林 伸行, 大舘 俊二, 西川 久和, 加藤 義昭, 水野 直樹, 桑原 敏真, 石井 正大
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1113-1116
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 西塚 陽子, 鈴木 重雄, 田中 正人, 市川 正章, 中沢 三郎
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1117-1120
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 荒川 哲男, 小林 絢三, 中村 肇, 蝶野 慎治, 山田 博明, 鎌田 悌輔, 小野 時雄
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1121
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 平松 紘一, 寺田 昭, 鎌田 武信, 阿部 裕
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1122
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 桜井 健司, 伊藤 正幸, 伊藤 博之
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1123
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 山中 桓夫, 関 秀一, 井戸 健一, 木村 健, 榎木 博光, 伊藤 喜久, 高木 皇輝, 河合 忠
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1124
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 井本 勉, 平出 典, 杉村 和朗, 浜中 大三郎, 藤井 正博, 北 旭
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1125
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 斉藤 信義, 吉田 雋
    1981 年 78 巻 5 号 p. 1126
    発行日: 1981/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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