1982 年 79 巻 10 号 p. 1950-1954
ヒト臓器より精製した肝,小腸及び胎盤alkaline-phosphatase(ALP)と骨ALPの上昇した希釈血清を用いて,その酸素化学的性質を比較した.4種のALPは,同一測定系においてはほぼ同様なv/Vmax比を示したが,検討した5種の測定法の各基質に対する見かけの特異性は著しく異なり,この差異が測定法間の血清ALPの見かけの活性値の変動の原因と考えられた.特に小腸ALPはP-nitrophenylphosphateに対する相対反応性が低いため,GSCC等の方法にては,従来のKind-King法とはその臨床評価が大きく異なる事が判明した.今後,規準となるALP測定法に用いる基質は種々そのALPの臨床的かつ酵素化学的な見地から選択されるべきであると考える.