日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
測定法の差による血清アルカリ性ホスファターゼの見かけの活性値の変動
臨床的評価の差異を伴う問題点について
菅野 剛史真鍋 満久須藤 加代子
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1982 年 79 巻 10 号 p. 1950-1954

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抄録

ヒト臓器より精製した肝,小腸及び胎盤alkaline-phosphatase(ALP)と骨ALPの上昇した希釈血清を用いて,その酸素化学的性質を比較した.4種のALPは,同一測定系においてはほぼ同様なv/Vmax比を示したが,検討した5種の測定法の各基質に対する見かけの特異性は著しく異なり,この差異が測定法間の血清ALPの見かけの活性値の変動の原因と考えられた.特に小腸ALPはP-nitrophenylphosphateに対する相対反応性が低いため,GSCC等の方法にては,従来のKind-King法とはその臨床評価が大きく異なる事が判明した.今後,規準となるALP測定法に用いる基質は種々そのALPの臨床的かつ酵素化学的な見地から選択されるべきであると考える.

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