1982 年 79 巻 12 号 p. 2234-2242
cysteamineが潰瘍形成時に防御因子の1つである十二指腸粘液にどのような影響を及ぼすかを検討した.cysteamine投与後,潰瘍性病変の出現に先立つて3時間目からBrunner氏腺, Lieberkühn氏腺のPAS陽性粘液が減少し,びらん,潰瘍がみられた6,12時間後には腺管の拡張を伴つてPAS染色性は著明に低下した.しかし24,48時間後には,潰瘍が発生していても上記のPAS陽性粘液の量には回復傾向がみられた.また迷走神経切除術施行ラットにcysteamineを投与したところ,ほぼ同様の Brunner氏腺のPAS陽性粘液量の減少がみられたが,Lieberkühn氏腺の変化は軽度で,潰瘍性病変の発生はみられなかつた.なおPAS陽性粘液の量についてはコンピューター画像解析装置を用いて定量的に解析した.