1982 年 79 巻 7 号 p. 1405-1411
正常人8例を対象として,内視鏡を応用し脂肪吸収時の小腸上皮細胞におけるカイロミクロン合成の過程について,電顕像の解析を試みた.その結果,トリオレン投与後,カイロミクロンの合成系である小胞体の開大と,カイロミクロンの分泌系であるGolgi装置の開大とが,並行しておきることが認められ,これが,ヒトにおける正常な脂肪吸収の機構であると考えられた.また,同時に測定した血清カイロミクロン-トリグリセライドは,経時的に4時間まで上昇しており,投与したトリオレインが吸収されていることを確認した.