日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
N-Nitrosobis (2-hydroxypropyl) amineによるハムスター実験膵癌の組織学的特徴
石川 治和田 昭福田 一郎松井 征雄岩永 剛寺沢 敏夫
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キーワード: 杯細胞, 膵管癌, 異型増殖巣
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1982 年 79 巻 9 号 p. 1771-1777

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抄録

N-Nitrosobis (2-hydroxypropyl) amineをSyrian golden hamsterの皮下に注射し,膵組織を光顕及び3H-thymidine autoradiographyを用いて検索した.その結果,発生した異型・癌病変を杯細胞の有無によつて分類すると,杯細胞陰性の異型巣は末梢の小膵管より発生し,癌化して低分化腺癌となる.一方,杯細胞から成る異型巣は比較的太い膵管から発生し,癌化して乳頭腺癌となる可能性が推察された.これはヒト膵において異型増殖巣とときに乳頭状増殖巣を前癌病変と考える諸家の報告とも一致した.また杯細胞の出現はヒト膵の粘液細胞(化生)の絶好のモデルと考えられ,これは癌や異型巣による続発変化と考えるよりむしろ異型の前段階として捉えるべきものと考えられた.

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