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とくに正常群および消化性潰瘍群の年齢別分析を中心として
三木 一正, 一瀬 雅夫, 降旗 千恵, 景山 節, 丹羽 寛文, 岡 博, 松島 泰次郎, 高橋 健治
1982 年 79 巻 9 号 p.
1685-1693
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト血清Group II pepsinogen (PG II)値を既報のRIA法を用いて測定した.内視鏡的に確診した正常群265例,消化性潰瘍群259例(胃潰瘍88,十二指腸潰瘍138,胃・十二指腸潰瘍33)およびその他106例につき空腹時血清値を測定し,年齢別に分析した.(1)正常群(平均±S.D.)は14.9±11.1(μg/1)で性差を認めず,10歳代(7.0±4.1)から50歳代(22.1±13.5)まで段階的に高値となり60歳代(10.3±8.0),70歳代(8.6±7.5)で低値となつた.(2)胃潰瘍群(19.8±9.1)および十二指腸潰瘍群(17.8±10.4)は有意に高値を示し,50歳代以外では各年代とも高値を示した.(3)慢性腎不全群(49.5±39.5)は有意に高値を示し,その値は透析前・後で不変であつた.以上より,PG II値は年齢別に評価することが心須であること,および消化性潰瘍の高危険群の血清学的スクリーニングの可能性が示唆された.
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辰巳 葵, 石川 羊男, 伊藤 信義
1982 年 79 巻 9 号 p.
1694-1700
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
十二指腸内に投与した脂肪によって起こる胃酸分泌の抑制がbiliary diversionの影響をうけるか否かに関してHeidenhain pouch, duodenal fistulaを作成したイヌに胆嚢空腸Roux-en Y吻合(n=9)を施行し検討した.
amogastrin持続刺激下の胃酸分泌は,対照群では十二指腸内に投与したcorn oilによって強力に抑制された.biliary diversion群では十二指腸内に投与したcom oilによる抑制は全く認められず,cornoil+bileの投与で対照群と同様の胃酸分泌の抑制が認められた.
脂肪による胃酸分泌の抑制には胆汁の存在が必要であり,biliary diversionによる胃酸分泌亢進機序の1因として脂肪の胃酸分泌抑制効果の欠如が関与するものと推測された.
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十二指腸内塩酸負荷による血流量の変動について
井上 幸愛, 関根 重員, 中村 直樹, 宮本 一行, 岡部 芳勝
1982 年 79 巻 9 号 p.
1701-1706
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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酸に対する十二指腸の防禦反応を検討するため,十二指腸内に塩酸を持続注入し,十二指腸血流量の変動を観察した.
体重10~20kgの雑種成犬を用い,術前24時間は水は与えたが絶食とした.Pentobarbital麻酔下にて電磁流量計(又は,超音波流量計)のprobeを膵・十二指腸動脈の十二指腸枝に装着した.胃ゾンデより十二指腸内に塩酸注入(10ml/min)を行つた.
pH 1.0塩酸の十二指腸内注入により,十二指腸血流量は増加した.又133Xe-clearance法により測定した十二指腸の粘膜下血流量にも増加が認められた.しかし,pH 1.0塩酸の持続注入にもかかわらず,十二指腸血流量の増加は持続せず,その増加の持続時間は約25分間であつた.十二指腸血流量の増加は,
pH 3.0塩酸よりpH 1.0塩酸の注入でより著明であつた.しかし,pH 3.0塩酸に引き続いて注入したpH1.0の塩酸では,血流量の増加はあまり著明ではなかつた.したがつて塩酸負荷による十二指腸血流量の増加は,塩酸の酸度そのものばかりでなく,酸度差にも影響するものと思われる.
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5-Fluorouracilによる影響について
木曽 宗昭, 大塚 幸雄
1982 年 79 巻 9 号 p.
1707-1718
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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小腸の組織障害は実験的に5-fluorouracil(5-FU)を25mg/kg/day 1日1回5日間腹腔内注入して作製した.空腸組織障害過程を微細構造的変化との関連について検討した.小腸の腸管組織障害に基づく組織線溶とhorseradish peroxidaseの動態からexogenous macromoleculeの漏出機序を検索した.細胞化学的変化と組織plasminogen activatorの遊離は5-FU初回投与から出現し,形態学的変化はこれに遅れた.5-FUによるexogenous macromoleculeの漏出増加は投与2回目にHrp陽性顆粒細胞の増加と,組織 plasminogen activatorの遊離と一致を示した.しかし細胞障害が強くなるとむしろ抑制を示した.t-AMCHA は5-FUによる空腸組織阻害とexogenous macromoleculeの漏出を阻止し得なかった.α-TN は5-FU の直接作用である代謝抑制の変化以外に細胞機能としての細胞化学的変化とexogenous macromoleculeの漏出をほぼ完全に抑制した.exogenous macromoleculeの漏出増加を来たす5-FUの組織障害は粘膜固有層におけるlysosome酵素の遊離による二次的障害であることを示唆し得た.
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HBV汚染地区と非汚染地区の比較
笠島 眞
1982 年 79 巻 9 号 p.
1719-1723
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
河北潟生活圏では非生活圏に比し明らかに高いHBs抗原陽性率を示すので,その発生要因の一端を分析するために,過去7年間に金沢医科大学消化器内科に入院し,HBs抗原キャリアと診断された石川県在住者103名を対象とし,キャリア多発家系におけるB型肝炎ウイルスの感染様式を河北潟生活圏と非生活圏について比較検討した.河北潟生活圏では非生活圏に比しキャリア集積家系が多いが,母児間感染の感染様式をとる家系が比較的少なく,同一家系内でも異なつた感染様式をとる複雑な家系が多い傾向を示し,非母児間感染による場合にはキャリア化しやすい傾向がみられた.これらのことが河北潟生活圏でキャリアが多いことの理由の一つとなつていると考えられた.
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交感神経緊張と微小循環擾乱
石井 公道, 渋谷 明隆, 山田 伸夫, 柴田 久雄, 岡部 治弥, 永田 博司, 土屋 雅春
1982 年 79 巻 9 号 p.
1724-1729
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変症56例の血中ノルエピネフリン値(NE)と諸症状とを比較検討した.NE正常域群(I)23例(41%),上昇群(II)33例(59%)であつた.O-GTT はI群で境界型,II群で糖尿病型を呈した.I群の特徴は,体液貯溜,肝萎縮が無く,血小板数10×10
4/cmm以上,II群では,上部消化管の潰瘍,びらん性変化,肝萎縮が認められ,血小板数10×10
4/cmm以下の傾向を示した.NE値との関係では,食道静脈瘤の有無とは関連性が見られなかつたが,消化性潰瘍,びらん性変化,腹,胸水貯溜,肝萎縮,血小板数と夫々有意に相関した.これらの事象は,肝硬変症では交感神経系の緊張状態にあり,微小循環動態擾乱への関与を示唆するものである.
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効果細胞内のCalciumおよびMagnesiumについて
宗像 良雄, 織田 正也, 渡辺 哲, 馬場 良子, 船津 和夫, 水野 嘉夫, 桐生 恭好, 土屋 雅春
1982 年 79 巻 9 号 p.
1730-1740
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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Chang肝細胞および継代培養ヒト肝癌細胞を標的として,ヒトリンパ球の各種cytotoxicity(NK, ADCC, CMC)をin vitroで行い,走査型および透過型電顕にて観察すると共に,エネルギー分散型X線微小分析装置を用い,各種効果細胞(NK cell, K cell, CTL)における各々の元素を定性分析した.NK cellではCaおよびMgに陽性を示すことは少ないが,CTLではCaに,K cellではMgに陽性を示すことが,細胞障害初期(混合培養3時間後)において多くみられ,CMCではCaが,ADCCではMgがその細胞障害機構に重要な役割りを果していると考えられた.
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経皮経肝的門脈造影法を用いて
高安 賢一, 森山 紀之, 鈴木 雅雄, 山田 達哉, 福武 敏夫, 志真 泰夫, 小林 千鶴子, 武者 広隆, 奥田 邦雄
1982 年 79 巻 9 号 p.
1741-1746
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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各種肝疾患33例を対象に経皮経肝的門脈造影と
99mTc フチン酸による肝シンチグラムを同一例に施行し,門脈圧亢進症例にみられる肝左葉の false-positive について門脈造影で得られた左枝臍部のX線的検討を行い次の結果を得た.1) 33例中6例(18.2%)に肝シンチグラム上,病変が無くて病変を思わせる欠損像(false-positive)がみられ,更に門脈圧200mm H
2O 以上を呈する症例に限定すると21.4%の高頻度にそれがみられた.2) False-positive 欠損像を認めた6例中5例は門脈造影で得られた左枝臍部の計測で,25×15mm 以上の拡大を呈しており,又そのうち肝硬変3例では拡張した傍臍静脈を有していた.3) False-positive 所見のみられた症例では,無所見群に比して門脈圧が高い傾向がみられた.
門脈圧亢進症では門脈左枝臍部の拡張や,傍臍静脈の発達によってfalse-positiveを呈する例は比較的多く,その読影にあたって以上の結果を念頭に置く必要があると思われる.
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新沢 陽英
1982 年 79 巻 9 号 p.
1747-1756
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
原発性肝癌39例,その他の肝疾患58例につきα
1-antitrypsin (α1AT)の存在を免疫組織学的に検討した.α
1 ATは原発性肝細胞癌34例中28例,肝芽腫の1例,肝内胆管癌4例中1例にみとめられ,肝内胆管癌より肝細胞癌で陽性率が高かった.肝細胞癌では高分化型より低分化型でα
1 ATの陽性率が高く,腫瘍細胞でα
1 ATは微細顆粒型,粗大顆粒型,封入体型として存在し,高分化型では微細顆粒型のものが大部分であるのに対し,低分化型では粗大顆粒型,封入体型のものが多かった.α
1 ATは腫瘍細胞のほかに異型性の強い肝細胞や再生肝細胞,再生胆管上皮細胞の一部にも観察された.なお,免疫組織学的にZ遺伝子を有するα
1 AT欠損症を示唆する症例はみとめられなかった.
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特に結石の組成とCT値について
伊佐地 秀司, 野口 孝, 水本 龍二
1982 年 79 巻 9 号 p.
1757-1765
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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胆石症の診断におけるCT scanの意義を明らかにする目的で,272例の手術で摘出された胆石の肉眼的性状や赤外線吸収スペクトルム分析による組成と術前のCT像やCT値との関係について検討した.
腹部単純X線写真での結石陽性率は胆嚢結石23%,総胆管結石6%,肝内結石にはなく全症例中15.5%であつた.胆石のCT値と赤外線吸収スペクトルム分析による組成とを対比すると,主成分がコレステリンではCT値60 Hounsfield Units (HU)以下,ビリルビンカルシウムは60~140HU,炭酸カルシウムは140HU以上であつた.従つて胆石症に対するCT scanはその診断のみならず主成分の判定や成因の想定,胆石溶解剤の適応判定などの上でも極めて有用と考えられた.
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PP分泌における十二指腸刺激因子
三浦 守正, 遠藤 克博, 小泉 勝
1982 年 79 巻 9 号 p.
1766-1770
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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Thomasの胃瘻及び膵瘻を設置した雑種成犬を用い,無麻酔下で十二指腸内へ生理的食塩水,0.1N塩酸,バター,塩酸+バターを5分間で注入し,それぞれの血中PP分泌動態を観察した.生食群では有意の変動は認められなかつたが,塩酸群では基礎値54.0±14.1pg/ml(Mean±S.E.)から注入後10分で216.7±52.0pg/mlと有意に増加(P<0.02)し,バター群,塩酸+バター群でもそれぞれ基礎値105.8±19.9pg/ml,63.6±14.1pg/mlから注入後10分で294.8±50.1pg/ml,114.1±16.6pg/mlと有意に増加した(P<0.02).この結果より,食事摂取によるPP分泌には,胃因子のみでなく十二指腸の腸管因子が重要と考えられ,内因性セクレチンやCCK-PZが関与している可能性が推察された.
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石川 治, 和田 昭, 福田 一郎, 松井 征雄, 岩永 剛, 寺沢 敏夫
1982 年 79 巻 9 号 p.
1771-1777
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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N-Nitrosobis (2-hydroxypropyl) amineをSyrian golden hamsterの皮下に注射し,膵組織を光顕及び3H-thymidine autoradiographyを用いて検索した.その結果,発生した異型・癌病変を杯細胞の有無によつて分類すると,杯細胞陰性の異型巣は末梢の小膵管より発生し,癌化して低分化腺癌となる.一方,杯細胞から成る異型巣は比較的太い膵管から発生し,癌化して乳頭腺癌となる可能性が推察された.これはヒト膵において異型増殖巣とときに乳頭状増殖巣を前癌病変と考える諸家の報告とも一致した.また杯細胞の出現はヒト膵の粘液細胞(化生)の絶好のモデルと考えられ,これは癌や異型巣による続発変化と考えるよりむしろ異型の前段階として捉えるべきものと考えられた.
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遠藤 克博, 三浦 徳之, 佐藤 恒明, 鵜浦 章, 大方 高志, 渡辺 晃, 平山 隆, 菅野 久義, 森 和夫
1982 年 79 巻 9 号 p.
1778-1782
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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吉岡 光明, 筒井 理裕, 今村 憲市, 牧野 勲, 武部 和夫, 斉藤 昭夫, 鈴木 範美
1982 年 79 巻 9 号 p.
1783-1787
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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樫村 博正, 中原 朗, 川北 勲, 谷中 昭典, 松崎 靖司, 蔡 承喜, 東郷 順子, 宮本 二郎, 柴田 裕身, 井廻 道夫, 山形 ...
1982 年 79 巻 9 号 p.
1788-1793
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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CTによる仮性膵嚢胞内偽動脈瘤の証明
山本 誠, 藤田 博明, 小竹 要, 得田 与夫, 中川 公三
1982 年 79 巻 9 号 p.
1794-1797
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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笹浪 哲雄, 今井 浩三, 藤嶋 彰, 守谷 保夫, 谷内 昭
1982 年 79 巻 9 号 p.
1798
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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瀬戸口 敏明, 東 秀史, 香月 武人
1982 年 79 巻 9 号 p.
1799
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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市田 隆文, 紺田 健彦, 柴田 貢, 青山 圭一, 康山 俊学, 窪田 芳樹, 松井 俊二郎, 稲土 修嗣, 中野 護, 井上 恭一, 佐 ...
1982 年 79 巻 9 号 p.
1800
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
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大海 庸世, 山本 晋一郎, 山下 佐知子, 日野 一成, 福鳴 啓祐, 松本 吉継, 大橋 勝彦, 平野 寛
1982 年 79 巻 9 号 p.
1801
発行日: 1982/09/05
公開日: 2007/12/26
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フリー