日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
慢性肝疾患患者の経過に影響をおよぼす諸因子の研究
retrospective にみた輸血歴のある慢性肝疾患患者の予後
南部 勝司上山 洋今井 康允崎田 隆一小林 誠一飯島 敏彦吉野 泉
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1983 年 80 巻 11 号 p. 2369-2374

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抄録

輸血歴を有する慢性肝疾患患者の予後を retrospective に検討し, 輸血が, 肝病変の進展におよぼす影響について考察した. 対象は組織診断を行い得た51例である. この内訳は, CPH 14例 (27.4%), CAH 21例 (41.2%), LC 12例 (23.5%), HCC 3例 (5.9%), その他1例 (2.0%) で, HCC の3例はいずれも, HBs抗原, 抗体陰性例であつた. 輸血から診断までの期間は, CPH 10.5±7.8年 (mean±SD), CAH 16.4±10.1年, LC 18.8±6.8年, HCC 28.7±1.5年で, CPHとCAH, LC, HCC, およびLCとHCCの間に有意の差が認められた. 輸血後肝障害発症例と非発症例とでは, 肝病変の進展に差がなく, また, 輸血量と輸血後肝障害発生率や予後との間にも有意の相関は認められなかつた.

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