日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
80 巻, 11 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 松崎 勉, 杉山 雅, 西岡 利夫, 関口 利和
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2329-2338
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    進行性全身性硬化症 (PSS) 患者11名の咽頭, 食道体部, LES, 胃の各運動を夜間長時間同時測定し健常人と比較した. またPSS患者を逆流性食道炎合併群と非合併群に分け比較し, PSSの逆流性食道炎発症要因について検討した. PSS患者の食道一次蠕動は健常人に比べ食道上, 中, 下部とも有意に振幅は小さく持続時間は短かつた. 伝達速度も有意に遅かつた. LES静止圧は食後, 空腹期とも有意に健常人に比べ低かつた. PSS患者は嚥下運動に伴なうLESの弛緩が悪かつた. 胃運動では差がみられなかつた. PSSの逆流性食道炎発症には, 食道一次蠕動の減弱, 消失, LES圧の低下およびLESの生理的機能の低下が著しいことが重要と考えられた.
  • 食道壁内血管構築について
    荒川 正博, 野田 岳水, 福田 一典, 鹿毛 政義, 中島 敏郎, 向坂 健男, 永田 一良, 江口 敏, 川口 新一郎, 豊永 純, 山 ...
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2339-2346
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    22例の門脈圧亢進症剖検例の胃, 食道壁の静脈にゼラチン添加ミクロパックを注入し, 食道壁内血管走行をすだれ状血管走行部, 3~4本の拡張, 蛇行した血管の縦走する部, および両者の移行部の三つの部分に分けて観察した. (1) すだれ状血管走行部は食道•胃粘膜接合部から2~3cmにわたる吻合, 蛇行の少い多数の細血管の走行部である. (2) 移行部は全ての症例では明らかにできないが約1cm位の幅で血管の複雑な走行があり, 静脈瘤の最も高度な部で粘膜下層の血管に重積して豊富な粘膜固有層の血管がみられる. (3) 静脈瘤高度な部では, 食道内腔への隆起 (内視鏡でみられる隆起に相当する.) は粘膜下層を走る血管を幹に, それから分枝された多数の血管から構成されている.
  • 村上 元庸, 三宅 健夫, 森賀 本幸, 酒井 正彦, 井上 良一, 高木 敦司, 内野 治人
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2347-2351
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃潰瘍患者 (胃角部及び胃体部潰瘍) 20例と内視鏡的に病変の認められないコントロール群19例, ポリペクトミー後焼灼潰瘍4例を対象とし, 胃粘膜防禦因子の一つである胃粘膜血流を接触電極による水素ガスクリアランス法にて測定した. その結果内視鏡的正常胃粘膜においては, 胃角部小弯で胃体中部小弯, 胃体上部大弯に比べ胃粘膜血流の有意の (p<0.05) 低下が認められた. 胃角部及び胃体部の慢性潰瘍は, 活動期においてコントロール群の同部位と比べて有意の辺縁粘膜血流の低下が認められた(p<0.05). 一方浮腫を有し活動期潰瘍に類似のポリペクトミー後焼灼潰瘍の辺縁粘膜血流は慢性潰瘍に比べ有意に高く (p<0.05) 又, コントロールとして測定した周辺粘膜との比較で有意差を認めなかつた. 以上は慢性潰瘍の発生及び治癒に局所粘膜血流の関与を示唆する結果である.
  • 特に細胞性免疫能, および他の糖蛋白と対比して
    生越 喬二, 近藤 泰理, 田島 知郎, 三富 利夫
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2352-2356
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃癌患者81例に血清シアル酸濃度を測定し, 担癌状態での生理的意義を, 細胞性免疫能, immunosuppressive acidic glycoprotein (IAP), immunosuppressive substance (IS物質), α1-antichymotripsin (α1-ACT), acid soluble glycoproteins (ASP) との対比で検討を行つたところ以下の結果が得られた. 血清シアル酸値は, 癌の進行とともに増加を示した. 組織型では, 高分化型管状腺癌でもつとも高値が認められた. 細胞性免疫能, α1-ACTとの間では相関性がなく, IAP, IS物質, ASPとの間では, 強い相関関係が認めちれた. しかし, 臨床病期別の検討では, それらの測定値との間の相関関係の逆転又は喪失が認められた. 以上より, 血清シアル酸を含めた血清糖蛋白を測定することは, 担癌状態の病態を把握する上で有意義な事と考えられた.
  • 凝血学的および癌組織の線溶学的研究
    佐藤 元通, 喜安 佳人, 李 正男, 小野 仁志, 久慈 敏信, 木村 茂
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2357-2362
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃癌患者58例の凝血能の病期別差異, 術後の推移と共に胃癌組織41例の線溶能 (A) と線溶阻止能 (I) を検討し, 次の結果を得た. 1) Stage IVで潜在的な慢性DICの状態にあつた. 2) 胃切除術後, 凝血能は, 非再発群では著明な変動は認められなかつたのに対し, 再発群では再発確認時術前と比べ, PT•AT III•α2PIの低下と予後不良例でのα1AT上昇が認められ, 再発予知, 予後の判定に有用であつた. 3) 癌死例ではさらにFbg上昇, Plg低下が認められた. 4) 胃癌組織は正常胃粘膜に存在することの少ない urokinase inhibitor を主体としたIが認められた. 5) 胃癌組織のA/I比は組織学的分化度と関係し, 低分化型で低値をとり, Biological marker としての性格を有した.
  • 藤瀬 清隆, 永森 静志, 蓮村 哲, 本間 定, 筋野 甫, 亀田 治男
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2363-2368
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌, 転移性肝癌, 肝硬変症例の血清AFPによりそれぞれの鑑別を目的として Con Aアフィニティカラムを用いAFP heterogeneity を検討した. 肝細胞癌, 転移性肝癌, 肝硬変各4例についての検討ではいずれにおいてもAFPが Con Aカラムに結合しない分画, 弱く結合して開始バッファにて溶出する分画, 強く結合してα-メチル-D-グルコシドにて溶出する分画の3分画が存在し, その割合は肝細胞癌, 転移性肝癌, 肝硬変症の各々の血清で各分画比の差がみられた. また肝細胞癌例の血清と腹水でも差がみられた. これらにより複雑なAFP糖鎖の存在が示されるとともにAFP heterogeneity による鑑別診断の可能性を認めた.
  • retrospective にみた輸血歴のある慢性肝疾患患者の予後
    南部 勝司, 上山 洋, 今井 康允, 崎田 隆一, 小林 誠一, 飯島 敏彦, 吉野 泉
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2369-2374
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    輸血歴を有する慢性肝疾患患者の予後を retrospective に検討し, 輸血が, 肝病変の進展におよぼす影響について考察した. 対象は組織診断を行い得た51例である. この内訳は, CPH 14例 (27.4%), CAH 21例 (41.2%), LC 12例 (23.5%), HCC 3例 (5.9%), その他1例 (2.0%) で, HCC の3例はいずれも, HBs抗原, 抗体陰性例であつた. 輸血から診断までの期間は, CPH 10.5±7.8年 (mean±SD), CAH 16.4±10.1年, LC 18.8±6.8年, HCC 28.7±1.5年で, CPHとCAH, LC, HCC, およびLCとHCCの間に有意の差が認められた. 輸血後肝障害発症例と非発症例とでは, 肝病変の進展に差がなく, また, 輸血量と輸血後肝障害発生率や予後との間にも有意の相関は認められなかつた.
  • 山本 久文
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2375-2383
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    初期のアルコール性肝障害における免疫応答をみるため, 一年間マウスにアルコールを投与し, T cell およびB cell の変動を指標とし, さらに肝の組織学的変化を観察した. アルコール投与3週より, 肝組織に脂肪変性と, 好中球浸潤を伴うごく軽度の肝細胞壊死がみとめられたが, アルコール硝子体, 小円形細胞浸潤, 線維増生は全経過を通じてみとめられなかつた. アルコール投与後15週よりB cell の上昇がみられ, 27週よりT cell の低下がみられた.
    アルコール性肝障害の進展に関与しているといわれる液性免疫応答は, アルコール性肝炎像を示す以前より始まつている可能性が示唆された.
  • 松尾 秀一
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2384-2395
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    慢性非A非B型肝炎 (NANB) 17例, 急性A型肝炎, 急性B型肝炎, 慢性B型肝炎各1例, アルコール性肝炎2例, 脂肪肝3例の肝細胞を電顕的に検索し, 核内ウイルス様粒子(INP)及びその他の変化と臨床所見につき考察した.
    INPはNANB 12例 (輸血例: 3例, 非輸血例: 9例), 慢性B型肝炎1例に観察された. NANB 12例のINPは, 検索肝細胞の約3.4%に認め, GPT, γ-GTPがともに間歇的に再燃した4例では5~15%と高頻度であつた. またγ-GTPが100IU/L以上の時に得られた7例10標本のすべてにINPが観察された. NANBの核内に種々の Nuclear bodies (NB) が出現し, 特に Type IVのNBを認めた3標本でINPは高頻度であつた. 以上より, NANBではINPの出現とγ-GTPの上昇の間に密接な関連が示唆された.
  • 中山 隆雅, 桧山 義明, 斉藤 正之, 波多野 等, 三島 昭彦, 土屋 聖二, 野村 文夫, 岩間 章介, 河野 邦彦, 大槻 俊夫, ...
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2396-2403
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌 (HCC) 41例, 肝硬変症 (LC) 20例の計61例に dynamic computed tomography (CT) を施行し, 又HCC 1例を除いた60例に腹部血管造影を施行した. dynamic CTでは, HCC 11例, LC1例に, 動門脈シャント (A-Pシャント) を診断し得た. これらは, 血管造影を施行できなかつたHCC1例を除いて全例血管造影でもA-Pシャントが確認された. 血管造影でA-Pシャントが見られたが, dynamic CTで指摘できなかつた例は1例見られた. dynamic CTでA-Pシャントが描出されたHCC11例中10例は, CTにて腫瘤性病変に接しており腫瘍による門脈浸潤の為であると考えられた. 又HCCの残りの1例では, 腫瘤性病変とは離れており, LC例では, 腫瘤性病変は認めなかつた. これら2例では, 以前に行なわれた経皮的肝穿刺に伴う外傷性のものと考えられた.
    dynamic CTは, A-Pシャントの診断に有効であり, それによりある程度成因の検討もできると思われる.
  • II. 性ホルモンによる抗体産生の調節
    池本 吉博, 溝口 靖紘, 沢井 寛子, 筒井 ひろ子, 木村 進, 新井 孝之, 宮島 慶治, 阪上 吉秀, 東森 俊博, 門奈 丈之, ...
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2404-2413
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ヒト末梢血から分離したリンパ球に富む単核細胞に, pokeweed mitogen (PWM) を添加して in vitro で刺激すると, trinitrophenyl (TNP) 化したヒツジ赤血球に対する抗体産生細胞が有意に誘導された. PWM刺激開始時にエストロゲンを添加すると, 抗体産生細胞数はPWM単独刺激の場合より増加し, その抗体産生の増強はテストステロン同時添加によつて抑制された. また, PWM刺激によつて起こるDNA合成もエストロゲンによつて増強され, その増強はテストステロン同時添加によつて抑制された. さらに, エストロゲン存在下で培養したマクロファジ (mφ) の培養上清を単核細胞浮遊液に添加すると, PWMによる抗体産生の増強も, DNA合成も有意に促進された. 以上の結果から, エストロゲンは抗体産生と免疫担当細胞の増殖を促進し, テストステロンはそれらの促進を抑制すると考えられ, その少くとも一部は, 性ホルモンのmφへの作用に依ると推測された.
  • 水町 信行
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2414-2422
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    十二指腸乳頭と膵炎との関わりあいを調べる目的で犬の乳頭を osimum tetroxide で固定し, 形態学的変化を経時的に観察した. その結果急性膵炎が発症し膵管炎を経て慢性膵炎に至つた. この間高アミラーゼ血症を反復し再発性膵炎の状態を示した. その機序として大膵管開口部の狭窄が考えられた. 走査電顕では一過性の炎症で損傷された大膵管上皮細胞は元に復するが, 反復する炎症により高円柱上皮化生を生じ次第に皺襞を形成した. 皺襞は狭窄部では膵管長軸と平行に, 隣接する拡張部では直角に走行した. 膵管造影では大膵管開口部の狭窄と尾側の拡張がみられ狭窄部は4カ月後尾側へ延長した. また大膵管開口部を中心とした上記組織学的変化は狭窄部と共に経時的に尾側へと進展した.
  • 鈴木 壱知, 桑名 斉, 工藤 勲彦, 岩崎 有良, 林 貴雄, 松尾 裕, 本田 利男, 横田 伝, 植田 哲生, 坂部 孝, 桜井 勇
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2423-2427
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 大塚 秀行, 石神 信治, 政 信太郎, 橋本 修治, 佐野 雄二, 浜崎 泰昶
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2428-2432
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 重松 宏, 島津 久明, 森岡 恭彦, 佐藤 哲也, 山近 勝美
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2433-2437
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 筧 正雄, 桑田 肇, 小原 進, 石原 和彦, 堀田 恭子, 岡部 治弥
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2438
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 小森 宗治, 牧山 和也, 本田 昇司, 井手 孝, 森 理比古, 原口 増穂, 福田 博英, 村上 一生, 中村 憲章, 原 耕平
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2439
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 1. PNA合成基質法
    黒澤 努, 花上 仁, 四方 淳一
    1983 年 80 巻 11 号 p. 2440
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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