日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
乳頭固定によるイヌの実験的慢性膵炎
水町 信行
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1983 年 80 巻 11 号 p. 2414-2422

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抄録

十二指腸乳頭と膵炎との関わりあいを調べる目的で犬の乳頭を osimum tetroxide で固定し, 形態学的変化を経時的に観察した. その結果急性膵炎が発症し膵管炎を経て慢性膵炎に至つた. この間高アミラーゼ血症を反復し再発性膵炎の状態を示した. その機序として大膵管開口部の狭窄が考えられた. 走査電顕では一過性の炎症で損傷された大膵管上皮細胞は元に復するが, 反復する炎症により高円柱上皮化生を生じ次第に皺襞を形成した. 皺襞は狭窄部では膵管長軸と平行に, 隣接する拡張部では直角に走行した. 膵管造影では大膵管開口部の狭窄と尾側の拡張がみられ狭窄部は4カ月後尾側へ延長した. また大膵管開口部を中心とした上記組織学的変化は狭窄部と共に経時的に尾側へと進展した.

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