日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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新しい糖質吸収試験に関する基礎的研究
回腸灌流法による D-xylose 吸収試験
樋口 茂樹
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1983 年 80 巻 2 号 p. 169-177

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抄録

糖質の消化吸収能はその出納試験が不可能であるため血中濃度や尿中排泄率で表現されてきた. 近年, 全小腸の消化吸収能測定のため回腸灌流法が考案されたが, 経口的チューブ挿入の手技を心要とし, かつ回腸終末部へのチューブ留置まで24~36時間を要し, また小腸内にチューブが存在する点で非生理的であるなどの欠点がある. 著者はこれらの方法の短所を補うため, 逆行性に経肛門的にチューブを回腸末端に留置し, 回腸灌流法を行なつた. 本法によりD-xylose の小腸吸収率を直接的に求めると, 5時間値で69%であり, 従来その代謝から推定されていた値とよく一致した. 又, 本法は大腸において分解, 変性する種々の物質の小腸における吸収動態を知る上で有用な方法と考えられる.

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