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野口 正人, 中嶋 言子, 吉井 正雄, 光野 重根, 青木 悦雄, 田中 孝二, 安達 秀樹, 鳥塚 莞爾
1983 年 80 巻 2 号 p.
131-139
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Pepsinogen I (PGI) radioimmunoassay kit を用いて, 血清PGI測定の臨床的意義を検討した. 正常人69例の血清PGI値は48.4±17.6ng/mlで正常範囲は13-84ng/mlであつた. 巨大皺襞症6例, 多発性胃潰瘍5例, 十二指腸潰瘍12例, 胃潰瘍35例の血清PGI値はおのおの259.7±135.9, 296±181.9, 96.1±38.2, 77.5±33.0ng/mlで正常に較べて有意に高値であり, 異常値出現率もおのおの100, 80, 50, 45%と高率であつた. 一方, 悪性貧血3例, 多発性胃ポリープ11例の血清PGI値はおのおの8.1±1.7, 25.7±17.2ng/mlで正常に比し有意に低値であつた.
43例の高ガストリン血症 (>150pg/ml) の検討で, 血清PGI値の測定は巨大皺襞症と他疾患の鑑別に有用であつた.
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山田 博明, 蝶野 慎治, 佐藤 博之, 中村 肇, 荒川 哲男, 鎌田 悌輔, 小野 時雄, 小林 絢三, 大西 礼子
1983 年 80 巻 2 号 p.
140-146
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラットに拘束水浸を負荷し, 肉眼的に胃粘膜病変を認める以前の胃粘膜表面の微細構造の変化につき, 走査型電子顕微鏡を用いて経時的に観察した. その結果, 拘束水浸負荷初期には, 表層上皮細胞からの粘液顆粒分泌の亢進が認められ, これにひき続き表層上皮細胞の平坦化, 胃小窩の開大が出現した. さらには表層上皮細胞の球状化, 脱落という過程を経て表層上皮の剥離が観察されるようになつた. この表層上皮の剥離が肉眼的に認められる胃粘膜病変にあたると考えられた. 又, このような変化は幽門部に比し, 胃体部において, より早期に認められた.
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潰瘍発生部位と cimetidine 及び atropine の作用
大橋 広文, 伊藤 善朗, 土屋 十次, 日野 輝夫, 野々村 修, 林 幸貴, 坂田 一記
1983 年 80 巻 2 号 p.
147-155
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
クモ膜下出血が病因的に関連したストレス胃潰瘍ラットモデルを開発した. 2) 迷走神経を介する攻撃因子が潰瘍発生に重要な因子となつていた. 3) cimetidine 15mg/kgと atropine 50μg/kgを同時併用したときの潰瘍抑制率は各単独投与時のそれより著明に低下した (p<0.02). 4) cimetidine 15mg/kg投与時の胃酸分泌抑制効果は有意に認められた (p<0.02). しかし, atropine 50μg/kg投与では弱いか又は認められなかつた. cimetidine のそれは atropine 同時投与により著明に減殺された. 5) cimetidine 15mg/kg投与時の幽門部潰瘍抑制率は atropine 50μg/kgを同時投与することにより, 又 atropine 投与時のそれも cimetidine を同時投与することにより著明に低下した (p<0.001).
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白鳥 敬子, 渡辺 伸一郎, 丸山 正隆, 大田 由己子, 黒川 きみえ, 竹内 正
1983 年 80 巻 2 号 p.
156-159
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
食後の血中 secretin の上昇と胃酸の関連を十二指腸潰瘍11例を対象に検討した. 早朝空腹時, 有線ガラス電極を胃前庭部に挿入し胃内pHを連続モニターし, 試験食を摂取させた. 1週間後, cimetidine で胃酸分泌を抑制した状態で再検し, 比較した. 血中 secretin はすでに我々の報告した高感度の radioimmunoassay 系で測定した. cimetidine 非投与時の空腹時胃内pHは3.6で食後は1.5, 血中secretin は空腹時5.0±0.7から食後8.9±1.8pg/mlと有意に上昇した. cimetidine 投与時空腹時胃内pHは7.3, 食後も4.1~6.3と高く血中 secretin は食後も有意な変動を認めなかつた. 以上より, 食後の血中 secretin の上昇には, 十二指腸内へ流入してくる胃酸が重要な役割りを有すると考えられた.
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武久 一郎
1983 年 80 巻 2 号 p.
160-168
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
雑種成犬を用い, 大腸組織内の"Enteric Nervous System"について, 蛍光組織化学法と組織化学法を応用し検討を加えた. その結果, (1) 神経支配は部位別におのおの特色ある分布像を呈し, とくに近位大腸と直腸間での myenteric plexus には差異が認められた. (2) 大腸組織内輪状筋層に deep muscular plexus を観察しえた. (3) 粘膜下層内の submucous plexus は2つの動脈血管との間で形成され, 粘膜筋板を貫通し, 筋板上で樹枝状に発達し粘膜内の mucosal plexus に連繋している. (4) 酵素抗体法による somatostatin の大腸粘膜内の同定では, きわめて乏しいがこれを確認しえた.
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回腸灌流法による D-xylose 吸収試験
樋口 茂樹
1983 年 80 巻 2 号 p.
169-177
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
糖質の消化吸収能はその出納試験が不可能であるため血中濃度や尿中排泄率で表現されてきた. 近年, 全小腸の消化吸収能測定のため回腸灌流法が考案されたが, 経口的チューブ挿入の手技を心要とし, かつ回腸終末部へのチューブ留置まで24~36時間を要し, また小腸内にチューブが存在する点で非生理的であるなどの欠点がある. 著者はこれらの方法の短所を補うため, 逆行性に経肛門的にチューブを回腸末端に留置し, 回腸灌流法を行なつた. 本法によりD-xylose の小腸吸収率を直接的に求めると, 5時間値で69%であり, 従来その代謝から推定されていた値とよく一致した. 又, 本法は大腸において分解, 変性する種々の物質の小腸における吸収動態を知る上で有用な方法と考えられる.
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今井 信行, 中目 千之, 長崎 明男, 赤井 裕輝, 豊田 隆謙, 後藤 由夫
1983 年 80 巻 2 号 p.
178-184
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Prostaglandin F
2α (PG F
2α) の胃排出能, 小腸通過時間, 消化管ホルモン, 血糖におよぼす影響を検討した. PG F
2αは早朝空腹時に, 0.25, 0.50, 0.75μg/kg/minの量を60分間にわたり静脈内投与した. PG F
2α投与により, 小腸通過時間は用量反応性に短縮し, 同時に血漿 gut GLI濃度, 血糖の用量反応性の増加が認められた. PG F
2α投与後120分間の血漿gut GLI濃度, 血糖の増加量と小腸通過時間の間には負の相関が認められた. 胃排出能, 血漿ガストリン濃度, 血漿モチリン濃度は有意の変動を示さなかつた. 以上の結果から, PG F
2αはモチリンを介せず, 直接小腸通過時間を短縮すること, 小腸通過時間の短縮が糖の吸収, 血糖の上昇を促進し, これが, 血漿 gut GLI濃度上昇の一因となつている可能性が想定された.
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土屋 聖二, 三島 昭彦, 斉藤 正之, 中山 隆雅, 波多 野等, 桧山 義明, 岩間 章介, 野村 文夫, 大槻 俊夫, 河野 邦彦, ...
1983 年 80 巻 2 号 p.
185-193
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
9例の門脈腫瘍塞栓例を含む切除不能肝細胞癌20例に対し Mitomycin C Microcapsules (MMCmc) 20mgを肝動脈内に注入し, その抗腫瘍効果について検討した. 血管造影及びCTで腫瘍縮小の判定可能な16例中, 6例 (38%), 3例 (19%) にそれぞれ50%以上, 25-50%の腫瘍縮小効果を認めた. 又, 血清 α-Fetoprotein (AFP) 値が, 治療前に300ng/ml以上の13例で検討すると, 10例 (77%) にAFP値の明らかな減少を認めた. 全症例での3カ月及び6カ月生存率は, 75%及び63%で, 初回に高度の門脈内腫瘍塞栓を認めない13例では, 6カ月生存率は83%と良好であつた. 副作用としては, 一過性の食欲不振, 軽度の肝機能悪化と骨髄抑制作用を認めたが重篤な副作用は一例も認めなかつた.
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自験12例について
高山 哲夫, 加藤 活大, 佐野 博, 柴田 時宗, 本多 康希, 小川 裕, 小山 泰生, 武市 政之, 妹尾 知己, 神崎 正紀
1983 年 80 巻 2 号 p.
194-202
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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当院で経験された石灰乳胆汁12例を対象としその臨床像, 超音波検査像及びCT像について検討を加えた. 12例の男女比は1:11と女性優位であり平均年齢は48.8歳であつた. 12例中8例に結石嵌頓が1例は癌による胆のう管の閉塞が認められた. 残り3例は胆のう管の閉塞はまつたくなかつた. しかしそのうち1例は総胆管末端に結石嵌頓が認められた. 石灰乳胆汁の成分は全例が炭酸カルシウムであり乳嵌結石はコレステリン結石が多かつた. 石灰乳胆汁は超音波検査上やや弱い acoustic shadow を伴う胆のう内 strong echo として描出されたが結石との鑑別は容易ではなく本症の診断には石灰乳胆汁を胆のう内高吸収域として描出するCTが有用であると思われた.
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アルギニン負荷試験成績の面から
本間 憲治
1983 年 80 巻 2 号 p.
203-213
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
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閉塞性黄疸と膵内分泌能との関連性をアルギニン負荷に対する血漿グルカゴン動態の面から検討した. T•B値20mg/dl以上の高度黄疸例では減黄処置前のIRG反応は明らかに低反応性であつたが, 減黄処置後の反応性の回復は良好であつた. 減黄率b値の面からIRG反応をみると, I群では減黄前後とも反応性は良好で前後間に有意差はなかつた. II群では減黄前に有意の低反応性を示したが, 減黄後は反応性の回復がみられた. IIIおよびIV群では減黄前後ともに最高値は200pg/ml以下で, 反応性の回復傾向はみられなかつた. 以上より, 高度閉塞性黄疸は膵内分泌機能を障害し, その障害の程度は閉塞性黄疸の重症度に関与していると推察された.
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大木 篤
1983 年 80 巻 2 号 p.
214-222
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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ラットに合成トリプシンインヒビター (T.I.) を1日1回10日間経口投与した. T.I. 投与により膵重量は増加し, 膵DNAあたりの蛋白含量とDNA含量が増加した. 膵の trypsin と lipase 含量は著明に増加したが, amylase の増加は少なかつた. T.I. 処置膵の caerulein (Cn) 刺激に対する外分泌の容量反応曲線は対照群と差がなかつたが, 10倍高濃度側に移動した. T.I. 処置膵の外分泌反応量は増加したが, 各酵素の膵含量に対する放出率は対照の1/5に低下した. 本研究では, T.I. をラットに経口投与すると膵は肥大増生し酵素含量も増加するが, Cn 刺激に対する膵外分泌反応の感受性と反応性 (酵素放出率) が低下することを示した.
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原口 増穂, 別府 千賀子, 小森 宗治, 井手 孝, 市村 経敏, 福田 博英, 森 理比古, 井手 秀水, 谷岡 一, 冨田 伸一, 村 ...
1983 年 80 巻 2 号 p.
223-227
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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和田 偉将, 南部 勝司, 崎田 隆一, 上山 洋, 今井 康允, 上田 英雄, 前田 昭太郎
1983 年 80 巻 2 号 p.
228-231
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
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2症例の検討
貫野 徹, 門奈 丈之, 針原 重義, 池田 明世, 岡 博子, 塩見 進, 山本 祐夫, 丸毛 俊明, 中村 健治, 中塚 春樹, 佐藤 ...
1983 年 80 巻 2 号 p.
232-236
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
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胃瘻を用いた電極固定法
今野 喜郎, 亀山 仁一, 佐々木 巌, 宮川 英喜
1983 年 80 巻 2 号 p.
237
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
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松崎 靖司, 井廻 道夫, 三田村 圭二, 大菅 俊明, 崎田 隆夫, 小沢 邦寿
1983 年 80 巻 2 号 p.
238
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
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動脈中残存水素濃度の影響について
梅森 眞理, 笹島 耕二, 恩田 昌彦, 代田 明郎
1983 年 80 巻 2 号 p.
239
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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川本 智章, 井戸 健一, 堀口 正彦, 木村 健, 間中 研一, 高岡 聰子
1983 年 80 巻 2 号 p.
240
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー