日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝細胞癌と肝転移の診断と治療効果判定における血清グルタミン酸脱水素酵素の評価
矢部 秀樹須田 都三男西野 晴夫佐藤 春喜林 孝祥衛藤 公治田中 照二堀口 正晴
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キーワード: 局所動注療法 (動注)
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1983 年 80 巻 3 号 p. 844-850

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抄録

禁酒状態での血清 glutamic dehydrogenase (GLDH) は, 肝硬変で肝性脳症期を除き正常値であつたが, hepatocellular carcinoma (HCC) を合併すると上昇した. 癌患者で, 血清GLDHは liver metastasis (LM) が合併すると高値を示した. 肝硬変例にHCCの合併の有無や, 癌患者にLMの合併の有無を診断する上で, 血清GLDHは他の血清中の指標と比べると最も診断的価値が高かつた. HCCやLMの局所動注療法 (動注) による血清GLDHの変動を調べると, 血清GLDHは抗腫瘍効果を反映し, 動注の治療効果の判定にも有用であつた.
以上より, 禁酒状態での血清GLDHの測定は, HCCやLMの診断と治療効果を判定する上で, 有用な補助診断法であると示唆された.

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