禁酒状態での血清 glutamic dehydrogenase (GLDH) は, 肝硬変で肝性脳症期を除き正常値であつたが, hepatocellular carcinoma (HCC) を合併すると上昇した. 癌患者で, 血清GLDHは liver metastasis (LM) が合併すると高値を示した. 肝硬変例にHCCの合併の有無や, 癌患者にLMの合併の有無を診断する上で, 血清GLDHは他の血清中の指標と比べると最も診断的価値が高かつた. HCCやLMの局所動注療法 (動注) による血清GLDHの変動を調べると, 血清GLDHは抗腫瘍効果を反映し, 動注の治療効果の判定にも有用であつた.
以上より, 禁酒状態での血清GLDHの測定は, HCCやLMの診断と治療効果を判定する上で, 有用な補助診断法であると示唆された.