1983 年 80 巻 5 号 p. 1138-1143
従来の反転小腸によるブドウ糖吸収の研究法は1個の反転小腸については1時点の吸収を知りうるに過ぎなかつたが, 著者らはラット反転小腸の上端を開放しメディウム容器に小孔を設置することにより反転小腸の漿膜側と粘膜側の両側から経時的に検体を採取し, ブドウ糖吸収を連続的に観察しうる方法を開発した. 本法により, 8週齢のSD雌ラットの反転小腸のブドウ糖吸収は上部小腸と中部小腸で共に著明でかつその吸収はほぼ等しく, 漿膜側ブドウ糖濃度は84分まで上昇しその後はほぼ一定の値を示すこと, 及び下部小腸のブドウ糖吸収は上部, 中部小腸に比較し非常に弱く, 漿膜側ブドウ糖濃度の上昇は全時点で僅かか又は殆どないことが認められた.