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福島 泰治, 津丸 周三, 平田 研, 讃岐 英子, 松本 勇次, 隅岡 正昭, 熊本 隆, 春間 賢, 佐野 宏一, 隅井 浩治, 大江 ...
1983 年 80 巻 5 号 p.
1105-1110
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
非潰瘍群及び十二指腸潰瘍における前庭部粘膜内ソマトスタチン量を測定した. 非潰瘍群においては, 加齢と共に前庭部粘膜内ソマトスタチンは低値を示した. 他方十二指腸潰瘍では, 若年群においても低値であつた. 非潰瘍群では, 前庭部粘膜の萎縮性変化の進展したものにおいて, 粘膜内ソマトスタチンは低値を示し, 萎縮性変化の軽度な群では高値であつた. しかしながら十二指腸潰瘍では, 萎縮性変化の軽度な群においても, 粘膜内ソマトスタチンは低値であつた. この粘膜内ソマトスタチンの低下は, ガストリン分泌との関連から, 十二指腸潰瘍の病因に結びつく可能性のあることが示唆された.
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孝冨士 喜久生
1983 年 80 巻 5 号 p.
1111-1117
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃のIIa様隆起を呈する異型上皮巣21症例22病巣と粘膜固有層にとどまるIIa型高分化腺癌 (以下分化型早期癌と略す) 24症例25病巣について, 酵素抗体法を用いて両者の組織内 carcinoembryonic antigen (CEA) 局在を比較検討した. 異型上皮巣22病巣中19病巣 (86.4%) では, 異型上皮に全くCEAを認めず, 残り3病巣でごく一部の異型上皮が弱陽性反応を示した. 分化型早期癌では, 25病巣中20病巣 (80.0%) が種々の程度に陽性反応を示した. 両者間の組織内CEA局在の著明な差異は, 両者の生物学的相違を示唆するとともに, 異型上皮巣の診断の一助になると思われる.
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江崎 友通, 中谷 勝紀, 宮城 信行, 酒本 和則, 白鳥 常男, 高橋 精一, 小西 陽一
1983 年 80 巻 5 号 p.
1118-1125
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
CEA産生ヒト胃癌2株 (NSC-4, NSC-5) のヌードマウスへの移植継代に成功し, その特性について検討した.
1) 腫瘍NSC-4を採取した患者の術前血清CEA値は41.7ng/ml, NSC-5は27.0ng/mlであつた. 2) NSC-4は18代目, NSC-5は11代目まで継代し, その継代中ヌードマウス皮下での腫瘍の生着率は100%であつた. 3) NSC-4, NSC-5の移植マウスの血清CEA値は双方とも移植後経時的に上昇し, 皮下移植腫瘍の大きさと血清CEA値の間に有意の相関が認められた. 4) NSC-4, NSC-5ともに原発腫瘍は低分化腺癌であり, 継代を重ねても基本的には組織型に変化はみられなかつた. 5) NSC-4, NSC-5ともに, 原発巣と継代腫瘍で, 酵素抗体法により癌細胞の細胞質内にCEAの局在を認めた.
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脱血ラットにおける胃粘膜血行動態, 粘膜局所ヘモグロビン酸素飽和度及び潰瘍係数に対する抗潰瘍剤の効果
李 和泉, 川野 淳, 福田 益樹, 佐藤 信紘, 鎌田 武信, 阿部 裕
1983 年 80 巻 5 号 p.
1126-1131
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
臓器反射スペクトル解析法を用い, 脱血性ショックをモデルとし, 種々の抗潰瘍剤による粘膜血行動態及びヘモグロビン酸素飽和度への影響を検討した. 用いた薬剤はヒスタミンH
2受容体拮抗剤 (ラニチジン, シメチジン), 選択的ムスカリン受容体拮抗剤 (ピレンゼピン) 及びプロスタグランディンE
1誘導体である.
これらの薬剤は脱血前の状態においては胃粘膜血液量, 粘膜内酸素需給動態に影響を与えなかつた. 一方脱血性ショック時には, 全ての薬剤で粘膜血液量及び粘膜内ヘモグロビン酸素飽和度の低下抑制効果がみられ, 潰瘍発生も抑制された.
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宮田 道夫, 有馬 進太郎, 吉沢 章夫, 松沢 裕一, 山下 裕一, 金沢 暁太郎, 井口 和明, 矢内原 千鶴子, 矢内 原昇
1983 年 80 巻 5 号 p.
1132-1137
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
30名の十二指腸潰瘍患者と15名の健常対照群について胃液酸度, 空腹時の血中の Big Gastrin (G34), Total Gastrin (T.G.) および試験食にたいするこれらのガストリンの反応について検討した. 十二指腸潰瘍患者は正酸群と高酸群の2群にわけることができ, 空腹時のG34, T.G. は高酸群において有意に高かつた. また試験食にたいする反応では, 正酸群, 高酸群ともにT.G.の反応が急で食後15分で頂値をむかえたのにたいして対象群では30分後に頂値を示した. 増加率は高酸群で有意に高かつた. しかし, 食後のG34の変化は3群であまり差がなかつた. 以上のことから, 十二指腸潰瘍患者では, 食後早期にG34以外のガストリン (主としてG17) が重要な役割を果していると思われる.
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経時的観察法の開発
土屋 正彦, 井上 修二, 平林 良樹, 高邑 裕太郎
1983 年 80 巻 5 号 p.
1138-1143
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
従来の反転小腸によるブドウ糖吸収の研究法は1個の反転小腸については1時点の吸収を知りうるに過ぎなかつたが, 著者らはラット反転小腸の上端を開放しメディウム容器に小孔を設置することにより反転小腸の漿膜側と粘膜側の両側から経時的に検体を採取し, ブドウ糖吸収を連続的に観察しうる方法を開発した. 本法により, 8週齢のSD雌ラットの反転小腸のブドウ糖吸収は上部小腸と中部小腸で共に著明でかつその吸収はほぼ等しく, 漿膜側ブドウ糖濃度は84分まで上昇しその後はほぼ一定の値を示すこと, 及び下部小腸のブドウ糖吸収は上部, 中部小腸に比較し非常に弱く, 漿膜側ブドウ糖濃度の上昇は全時点で僅かか又は殆どないことが認められた.
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未治療およびED治療による変動について
鈴木 邦彦, 長崎 明男, 樋渡 信夫, 後藤 由夫
1983 年 80 巻 5 号 p.
1144-1150
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
未治療のクローン病患者5例の糞便菌叢を検索したところ, 健康成人に比べて, 総菌数, および嫌気性菌群では Bacteroidaceae,
Bifidobacterium, Clostridium-other がいずれも有意に減少し,
Eubacterium, Peptococcaceae は検出率も有意に低下した. 好気性菌群では Enterobacteriaceae, Micrococcaceae,
Streptococcus が有意に増加した. 次いで, 同患者中4例に elemental diet を単独で平均55日間投与して糞便菌叢の変動を観察したところ, 糞便量の減少が著しいため, 腸内菌叢全体としては減少すると考えられた. しかし, 同時に有害菌の一つである
Clostridium の有意な増加など菌群レベルで変動が見られた.
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百石 文一, 鬼原 彰
1983 年 80 巻 5 号 p.
1151-1161
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Ethanol (Et) の glucagon 分泌, とくに gut GLIに与える影響をラットを用いて検討した. (1) 1回Et投与群の血中Et濃度は30分に最高を示し, 血糖値は10%Et群で有意に低下, 血中IRIは10および20%Et群で有意に抑制, 一方血中GIは前値に対し両群とも有意に上昇したが対照群とは10%Et群のみ有意差を示した. gut GLIはEt投与後上昇傾向を示したが対照群と差異はなかつた. (2) 慢性Et投与群の arginine 刺激時の血中GI反応は対照群と比べ低い傾向を示すに対し, gut GLIは前値が上昇傾向, 刺激後3および5分目は有意の高反応を呈した. 以上より1回および慢性Et投与に対しGIと gut GLIは異なる変化を示し, アルコールによる消化管障害との間に何らかの関連性が推測された.
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沢井 寛子, 溝口 靖紘, 筒井 ひろ子, 宮島 慶治, 池本 吉博, 新井 孝之, 阪上 吉秀, 東森 俊博, 門奈 丈之, 山本 祐夫, ...
1983 年 80 巻 5 号 p.
1162-1167
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
健常ヒトおよび各種肝疾患患者の血清を Sephadex G-200カラムを用いるゲル濾過によつて分画し, 主として第1および第3分画について, 活性化マクロファージの肝細胞障害性と plasminogen activator 産生に対する影響を検討した. その結果, 慢性活動性肝炎患者の血清第3分画は活性化マクロファージによる肝細胞障害を増強させたが, 第1分画は健常ヒト血清同分画に比べて抑制を軽減した. また, 肝硬変患者の血清第1分画は plasminogen activator 産生を抑制し, 第3分画は健常ヒト血清同分画に比べ活性化マクロファージによる肝細胞障害を低下させ, plasminogen activator 産生を増強させた. 一方, 急性肝炎患者の血清分画は健常ヒト血清分画の影響とほぼ等しい態度を示した. これらの結果から, 活性化マクロファージの肝細胞障害と plasminogen activator 産生は血清因子によつて調節され, 肝疾患の病態によつて血清因子が変動する可能性があることが示唆された.
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松谷 正一, 木村 邦夫, 税所 宏光, 土屋 幸浩, 大藤 正雄, 奥田 邦雄
1983 年 80 巻 5 号 p.
1168-1177
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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門脈圧亢進症 (門亢症) における超音波診断法の有用性を明らかにするため, 門亢症60例に超音波検査を施行し, 門脈各部位の径, 脾の大きさならびに側副血行路の有無につき, 健常者100例を対照として検討した. なお門亢症例には全例に経皮経肝門脈造影を施行し同時に門脈圧を測定した. 門亢症群では対照群に比べ門脈各部位における径の拡張が有意にみとめられたが, 門亢症群における拡張頻度は脾静脈系で最も高率であつた. 超音波による脾の大きさの計測値は血管造影による脾の大きさとよく相関し, 門亢症群の95%に脾腫がみられた. 門脈径と門脈圧, 脾の大きさと門脈圧との間にはいずれも直線的な相関関係はみられなかつた. 超音波により臍傍静脈, 左胃静脈などの遠肝性側副血行路が描出され, 門亢症の超音波による確定診断が可能であつた. 超音波検査は門亢症の異常所見を高率に描出することができ, 門亢症の非侵襲的な診断法として有用であつた.
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稲垣 徹
1983 年 80 巻 5 号 p.
1178-1187
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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胆汁中 bilirubin の分析法として逆相分配法による高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法を検討した. 本法は既報のHPLC法と比較して分離能がよく, 従来検出されなかつた xylose 抱合体を検出しえた. 90分の分析時間内では bilirubin は崩壊せず安定であり, かつ定量性を有しており, 本法は有用な分析方法と思われた. 本法による正常人胆汁中の bilirubin 分画は, bilirubin diglucuronide (75.1%), bilirubin monoglucuronide (10.7%), bilirubin monoglucuronide monoglucoside diester (7.4%), bilirubin monoglucuronide monoxyloside diester (3.0%), 未同定の成分 (2.7%), bilirubin IXα (1.1%) であつた.
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慢性膵炎の初期像およびその進展様式の問題と関連して
滝沢 直樹
1983 年 80 巻 5 号 p.
1188-1197
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
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膵 contact freezing 法による慢性膵炎実験モデルを作成し, これにより膵管像所見と膵管周囲組織所見 (特に線維化) との対比検討を行ない, ERCPによる慢性膵炎診断の裏づけを求めた. freezing により膵管周囲に強い線維化が生ずると, これが膵管を周囲より締めつけて相対的狭窄を生じた. また, 狭窄部より末梢側膵管の拡張とそれに伴なう膵管内圧上昇による二次的膵炎を認める例が得られた. これらの結果は, 線維化による限局性膵管狭窄をきつかけとする膵炎進展様式を実験的に明らかにしたもので, 従つて膵管の限局性狭窄は慢性膵炎初期像として注目すべき所見であり, また狭窄周囲に強い線維化が存在する可能性を念頭におき膵管像を検討すべきである.
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権藤 守男, 高木 國夫, 加藤 洋
1983 年 80 巻 5 号 p.
1198-1207
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
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小さな膵癌切除例4例についてCT所見と組織所見を対比し, 小膵癌のCT診断の手懸りを求めた. 診断にあたつては, (A) 膵実質の中央部に存在する1~2, 3個の小円形で境界が鮮鋭な濃い低吸収域, (B) 軽度の主膵管の拡張の所見に注意することが重要である. (A) の低吸収域の所見は組織学的に癌腫の末梢側の拡張した主•分枝膵管の横断像であり, 癌腫内の壊死によるものではなかつた. (A) (B) の所見は一般に慢性膵炎や膵嚢胞に認められる所見である. したがつて, (A) (B) の所見を認めた場合には, 慢性膵炎や膵嚢胞ばかりでなく小さな膵癌の可能性があることを常に考慮して診断することが重要である. 膵のCT検査時の scan 間隔は5mmで行なう必要がある.
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佐藤 博文, 小島 道久, 山本 和夫, 針金 三弥, 柴崎 洋一, 松本 貞敏, 山田 行雄, 龍村 俊樹, 山本 恵一
1983 年 80 巻 5 号 p.
1208-1211
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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山崎 義亀與, 土井下 健治, 中沼 安二, 羽場 利博, 竹下 治生, 得田 与夫, 太田 五六
1983 年 80 巻 5 号 p.
1212-1216
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
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北野 博嗣, 荒木 一郎, 石塚 巌, 笹谷 守, 竹田 康男, 島崎 英樹, 柳瀬 晴也, 上野 敏男, 竹田 亮祐
1983 年 80 巻 5 号 p.
1217-1220
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
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村上 元庸, 稲田 雅美, 三宅 健夫
1983 年 80 巻 5 号 p.
1221
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
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山中 桓夫, 吉田 行雄, 関 秀一, 酒井 秀朗, 木村 健, 山口 隆子, 清水 英男
1983 年 80 巻 5 号 p.
1222
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
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伊藤 正高, 高田 邦昭, 斎藤 昌三, 青柳 利雄, 平野 寛
1983 年 80 巻 5 号 p.
1223
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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加藤 章信, 佐藤 俊一, 黒沢 照男, 鈴木 一幸, 海藤 勇
1983 年 80 巻 5 号 p.
1224
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー