日本消化器病学会雑誌
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血中 group 1 pepsinogen (PG 1) に及ぼす各種食事負荷の影響ならびに胃液分泌能との対比
川村 武石森 章佐藤 恒明小泉 文明
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1984 年 81 巻 3 号 p. 811-816

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抄録

血中PG 1は胃底腺機能を反映する指標のひとつとして知られているが, これまで胃液分泌能の指標として繁用されてきた胃液検査成績と比較してみると, 血中PG 1は確かに基礎酸分泌量 (BAO), 最高酸分泌量 (MAO), 基礎ペプシン分泌量 (BPO), および刺激後ペプシン分泌量 (SPO) とのあいだに有意の相関を示すことが認められた. しかし生理的胃液分泌刺激である食事については標準的和食負荷試験において血中PG 1値は上昇傾向を認めたものの有意ではなく, また蛋白食および脂肪食負荷試験においても著変を認めなかつた. 更に sham-feeding 試験においては負荷後5分で1過性の上昇を示し, アトロピン投与によりその上昇が抑制される傾向を認めたが, いずれも有意の変動ではなかつた. 以上の成績から粘膜内PG 1が血中に移行する機序の詳細に関しては明らかではないが生理的胃液分泌刺激である食事以外にも有力な要因が関与しているものと考えられる.

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