日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝組織酸素分圧および肝局所血行動態からみたアルコール性脂肪肝の意義
鎌田 武信佐藤 信紘目連 晴哉井上 敦雄笠原 彰紀吉原 治正佐々木 裕林 紀夫房本 英之阿部 裕岸田 隆高木 俊和加藤 真三石井 裕正土屋 雅春
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1984 年 81 巻 4 号 p. 1019-1023

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抄録

Lieber らの方法に準じて作成したラットの脂肪肝を用い肝組織PO2, 肝局所血行動態を組織酸素電極, 臓器反射スペクトル法にて解析した. エタノール群の肝組織PO2は7.1±2.9mmHgと対照群の16.6±8.8mmHgに比し有意に低く, 肝局所血液量はエタノール群で対照群の80.4%に低下していた. エタノール急性経口負荷により対照群では肝局所血液量は代償的に8.4%増加し, 肝組織PO2は1.5~2倍に増加したが, エタノール群では肝局所血液量の増加は4.9%と少なく, 肝組織PO2は一過性に低下した後上昇したがその程度は低かつた. 慢性エタノール投与ラットでは脂肪肝の段階で肝はすでに hypoxia に陥つており, エタノール急性経口負荷による肝血流の代償的増加は不充分であつた.

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