日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
炎症性腸疾患における胆汁酸吸収障害
経口的胆汁酸負荷試験を用いての検討
佐々木 英
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1984 年 81 巻 5 号 p. 1191-1200

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抄録

経口的胆汁酸負荷試験を腸疾患 (特に回盲部疾患, 回盲部切除例) に応用し, 胆汁酸の吸収障害を検討した. まず健常者10例において負荷胆汁酸を検討すると酵素法にて血清総胆汁酸濃度を測定する場合遊離型 ursodeoxycholic acid 600mg負荷が有用であり, 次にこれを回盲部疾患7例, 回盲部切除5例に負荷すると, 負荷後の血清総胆汁酸濃度は, 平担な pattern を示し, 特に負荷後120分値がそれぞれ9.5±2.0μM/l, 7.6±0.6μM/lと健常者の20.9±3.4μM/lに比して有意に低値であつた.
また各疾患の個々の症例での負荷後のピーク値を比較すると, 回盲部疾患, 回盲部切除例は, 健常者に比して有意に低値であつた. これらのことより, 遊離型 ursodeoxycholic acid 600mgを使用した経口的胆汁酸負荷試験は, 回盲部疾患における胆汁酸吸収障害をよく反映した

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