諸種肝疾患152例における, 3,5,3'-Triiodothyronine (T
3), Thyroxine (T
4), 3,3',5'-Triioiothyronine (rT
3) を測定し, これらの値と肝 microsomes に局在する, 非特異的水解酵素 arylamidase 活性との関連を検討し, 血清T
3/T
4値と肝組織内 microsomal arylamidase 活性は有意の正の相関関係を認め (r=0.71, p<0.001, n=56), T
3/T
4値が最も microsomes 機能を反映した. T
3/T
4値は急性肝炎 (極期), 薬剤性肝炎 (肝細胞障害型), アルコール性肝硬変, 肝炎後性肝硬変では対照に比べ有意に低値で (p<0.01), 無症候性HBs抗原キャリアー, 薬剤性肝炎 (胆汁うつ滞型) では比較的高値を示した. 以上の様に, 血清T
3/T
4値は肝疾患の病態を特徴的に反映し, 肝 microsomes の1指標となり得ることを示唆した.
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