日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
過栄養性脂肪肝における血清コリンエステラーゼ活性
肥満のその活性に及ぼす影響と慢性肝炎との鑑別における有用性
野村 文夫大西 久仁彦高円 博文大槻 俊夫河野 邦彦桧山 義明斎藤 正之中山 隆雅波多野 等三島 昭彦伊藤 よしみ白井 厚治斎藤 康小林 悟落合 敏中島 征男奥田 邦雄
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1984 年 81 巻 7 号 p. 1569-1573

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抄録

過栄養性脂肪肝患者においては, 血清コリンエステラーゼ活性の上昇が肥満の合併の有無にかかわらず認められたが, 脂肪肝を伴わない肥満者ではその上昇はごく軽度であつた. 同活性は非アルコール性脂肪肝症例の79%において当施設における正常上限 (7×103国際単位/L) を越えた. さらに9国際単位を越えるか否かにより42%の非アルコール性脂肪肝症例を1.5%の偽陽性率で慢性肝炎と鑑別する事が可能であつた. 肝生検により脂肪肝と診断された後, 外来でカロリー制限療法を受け, 治療中2回にわたる腹部X線CTにより脂肪沈着の改善をみた症例では, ほぼ全例で血清コリンエステラーゼ活性の減少が認められた.

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