1984 年 81 巻 7 号 p. 1569-1573
過栄養性脂肪肝患者においては, 血清コリンエステラーゼ活性の上昇が肥満の合併の有無にかかわらず認められたが, 脂肪肝を伴わない肥満者ではその上昇はごく軽度であつた. 同活性は非アルコール性脂肪肝症例の79%において当施設における正常上限 (7×103国際単位/L) を越えた. さらに9国際単位を越えるか否かにより42%の非アルコール性脂肪肝症例を1.5%の偽陽性率で慢性肝炎と鑑別する事が可能であつた. 肝生検により脂肪肝と診断された後, 外来でカロリー制限療法を受け, 治療中2回にわたる腹部X線CTにより脂肪沈着の改善をみた症例では, ほぼ全例で血清コリンエステラーゼ活性の減少が認められた.