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数種薬剤の胃粘液に対する影響
鳥居 明, 有泉 雅博, 岩崎 仁, 野沢 博, 鬼沢 信明, 川村 忠夫, 亀田 治男, 高山 昭三
1984 年 81 巻 7 号 p.
1529-1538
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
組織化学的方法を用い, 胃粘膜防御機構の第一関門ともいえる被覆粘液と粘膜内粘液との両者の性状を同時に, しかも胃の部位別に観察を行つた. さらにその変化を一層比較し易くするため, 粘液の厚さと粘膜の厚さとの比を求め, 粘液の増減を数量化して検討した. ラットに indomethacin, prednisolone を投与したところ, 粘膜損傷と粘液の減少が認められ, 潰瘍の発生機序の一つが示唆された. これに対し prostaglandin E
2, pirenzepine, L-glutamine では粘液の増加が観察され, 防御機構の増強が確認された. 本法は, 従来困難とされてきた被覆粘液の観察が可能となり, 防御因子として重要な胃粘液を研究する上で極めて有用と考えられる.
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永井 賢司, 早川 哲夫, 矢内原 昇
1984 年 81 巻 7 号 p.
1539-1546
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
gastrin の病態生理学的意義を解明する一環として, big gastrin (G34) N端特異抗血清を用いた radioimmunoassay 法によつて, 上部消化器疾患患者の胃前庭部粘膜組織中のG34N端 fragment 様免疫活性 [IR-G34 (1-15)] を測定した. 胃角前庭部潰瘍群の前庭部IR-G34 (1-15) 値は, 対照群より低値であつた (p<0.05). 20~29歳の若年者では, 胃体部潰瘍群の前庭部IR-G34 (1-15) 値は, 他の部位の潰瘍群に比し高値であつた (p<0.05). 胃癌患者では, 低分化型腺癌の前庭部IR-G34 (1-15) 値は, 高分化型腺癌に比し高値であつた (p<0.01). 前庭部粘膜内 gastrin 含量は, 潰瘍の部位, 年齢, 癌の組織型などにより異なることが示唆された.
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坂口 潮
1984 年 81 巻 7 号 p.
1547-1553
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Peutz-Jeghers 症候群にみられる胃ポリープについて病理組織学的に検討した. 大きさが2mm以下の微小なポリープでは, 組織学的に腺窩上皮の過形成のみから成つていた. 2mm以上5mm以下のポリープでは, 腺窩上皮の過形成に加えて粘膜筋板の挙上および分岐増生が認められた. 大きさが5mm以上のものでは前記の所見に加えて粘膜下層の脈管の増生と腺管の嚢胞状拡張が認められ, これはP-J症候群のポリープの典型的組織像を示した. 以上の結果から Peutz-Jeghers 症候群のポリープの成り立ちは, 腺窩上皮の過形成が先行して, 続いて粘膜筋板の分岐増生を惹起し典型的な Peutz-Jeghers 型ポリープへと発育して行く過程が推定された.
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2-Benzyloxycarbonylphenyl traps-4-guanidinomethylcyclohexanecarboxylate hydrochloride の β-cyclodextrin 包接化合物 (TA903) の内因性PGsにおよぼす影響
荒川 哲男, 中村 肇, 佐藤 博之, 蝶野 慎治, 山田 博明, 福田 隆, 樋口 和秀, 小野 時雄, 小林 絢三
1984 年 81 巻 7 号 p.
1554-1558
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
最近, 胃粘膜に含まれる内因性 prostaglandins (PGs) による adaptive cytoprotection が明らかにされ, 内因性PGsの生理的意義の重要性が認識されるに至り, 胃粘膜PG生合成系を刺激する要素が注目されている. 本研究では, 各種実験潰瘍を抑制する2-Benzyloxycarbonylphenyl trans-4-guanidinomethylcyclohexanecarboxylate hydrochloride のβ-cyclodextrin 包接化合物 (TA903) のラット胃粘膜PGE
2およびPGI
2量におよぼす影響を indomethacin および拘束水浸ストレス負荷実験において検討した. その結果, TA903は, indomethacin あるいは拘束水浸による胃粘膜PGE
2およびPGI
2の減少を抑制する傾向を示した. このことは, TA903の抗潰瘍作用の機序のひとつとして, 胃粘膜PG合成系を介する経路の存在が示唆された.
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志沢 喜久
1984 年 81 巻 7 号 p.
1559-1568
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
消化性潰瘍の治癒過程と凝固XIII因子の関連を知る目的で, 潰瘍症例55例の血中XIII因子活性 を, また14例の手術材料でのPAP法による胃組織XIII因子局在を検討した. 血中XIII因子活性は, 内視鏡のA
2およびH
1 stage 群がA
1群に比し有意に高値を示した(p<0.05). 入院症例の経過では, 平均7~13病日, 腹痛出現より2~3週後にゆるやかなピークを認めた. XIIIa陽性細胞は, 潰瘍底の肉芽組織内で新しい線維化の加つた時期のものに増加しており, 線維芽細胞やマクロファージに局在していた. 線維化の高度な潰瘍瘢痕例では既に目立たなかつた. これらの成績より凝固XIII因子は消化性潰瘍の治癒過程, 特に潰瘍底の線維化に何らかの関与を示していることが示唆された.
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肥満のその活性に及ぼす影響と慢性肝炎との鑑別における有用性
野村 文夫, 大西 久仁彦, 高円 博文, 大槻 俊夫, 河野 邦彦, 桧山 義明, 斎藤 正之, 中山 隆雅, 波多野 等, 三島 昭彦, ...
1984 年 81 巻 7 号 p.
1569-1573
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
過栄養性脂肪肝患者においては, 血清コリンエステラーゼ活性の上昇が肥満の合併の有無にかかわらず認められたが, 脂肪肝を伴わない肥満者ではその上昇はごく軽度であつた. 同活性は非アルコール性脂肪肝症例の79%において当施設における正常上限 (7×103国際単位/L) を越えた. さらに9国際単位を越えるか否かにより42%の非アルコール性脂肪肝症例を1.5%の偽陽性率で慢性肝炎と鑑別する事が可能であつた. 肝生検により脂肪肝と診断された後, 外来でカロリー制限療法を受け, 治療中2回にわたる腹部X線CTにより脂肪沈着の改善をみた症例では, ほぼ全例で血清コリンエステラーゼ活性の減少が認められた.
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笠島 眞
1984 年 81 巻 7 号 p.
1574-1581
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
B型慢性肝疾患129例のe抗原, e抗体をRIA法で測定し, その臨床的意義を検討した. キャリア発症急性肝炎 (AH-C), 持続性肝炎 (PH) および慢性肝炎活動型 (CAH) ではe抗原陽性率がきわめて高く, e抗原の陰性化ないしは seroconversion 例も多くみられた. 特に前二者では, ほとんどすべての症例が比較的速やかに seroconversion を示し, 病態はほぼ終息する近似の病型であると考えられた. 一方, CAHはe抗原陰性化までの期間が比較的長く, 高齢者でもe抗原陽性例が少なくなく, AH-CおよびPHとは明らかに異なつた発症機序が関与している病態と考えられた. なお, e抗体陽性の女性2例で経過観察中にHBs抗原の消失が認められた.
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湯本 泰弘, 神野 健二, 徳山 勝之, 藤田 保男, 荒木 康之, 森田 稔, 石光 鉄三郎, 森脇 昭介, 三谷 健, 塩田 哲也
1984 年 81 巻 7 号 p.
1582-1591
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
1) 組織学的に確定診断を下した肝細胞癌48例, 肝内胆管癌4例, 肝血管腫3例, 転移性肝癌44例を含む肝疾患202例を対象とし single photon emission CT (SPECT), 超音波 (US), 急速静注X線CT (bolus XCT) による原発性肝癌の存在診断をすぐれた順に並べると, 3者併用, US, XCT, SPECTとなつた. そして3者併用によつて有病正診率, 無病正診率と正確度の向上をもたらし得た. 又3者併用より直径3cm以下の小肝癌13例を検出した. 2) 原発性肝癌の質的診断率がUS単独に比較して, 3者併用によつて向上した.
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トリプシンインヒビター投与量と膵肥大 増生作用の容量相関
大木 篤, 大槻 眞, 岡林 克典, 坂本 長逸, 末広 逸夫, 岡 徹, 馬場 茂明
1984 年 81 巻 7 号 p.
1592-1597
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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体重230~250gの Wistar 系雄性ラットに合成トリプシンインヒビター (TI:20, 50, 200mg/kg) を1日1回10日間経口投与し, TI投与量と膵肥大•増生との関係を検討した. ラットの体重増加量はTI投与群と対照群で差がなかつた. 膵重量および膵蛋白含量の増加はTI投与量0<20mg<50mg=200mgであつた. 膵DNA含量はTI投与量50mg以上でのみ有意に増加したがやはり50mgと200mgでは有意差がなかつた. 膵酵素含量増加の程度をみると, トリプシノーゲンは膵の肥大増生の程度より大きく, リパーゼは膵の肥大増生の程度とほぼ一致していたが, アミラーゼは膵の肥大増生の程度より小さかつた. TIの膵肥大増生使用には一定の限界があり各酵素含量に及ぼす作用も異なつていた.
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本田 昇司, 小森 宗治, 早田 正典, 椛島 淳, 船津 史郎, 福嶋 弘道, 赤司 文広, 田中 義人, 中村 憲章, 牧山 和也, 原 ...
1984 年 81 巻 7 号 p.
1598-1606
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
合成基質である Poly Cを用いて, 血清 ribonuclease の性状を調べるとともに, その臨床的意義について検討を加えた. 血清 ribonuclease は Poly Cを基質とした場合, 至適pHは7.4, 至適温度は55°Cで熱安定性であつた. また緩衝液や陽イオンの影響により, 至適pHおよび活性値に変動がみられたが,これらの酵素学的性状は, 血清を用いた場合癌患者と正常者との間に差を認めなかつた. 血清 ribonuclease は, 癌患者や良性の消耗性疾患で高値を呈したが膵癌に特異的なものではなく, 膵全摘とも無関係の変動を示した. 入院患者の血清 ribonuclease と尿中BUN/creatinine との間には正の相関がみられ, 本酵素は尿中BUN排泄の増減, すなわち体組織の蛋白エネルギー代謝(同化作用や異化作用)や腎からの排泄障害などとの関連が示唆されたが推測の域を出ず, 本酵素の上昇機序は不明であつた.
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片岡 慶正, 加嶋 敬, 衣笠 勝彦, 稲田 安昭, 堀居 雄二, 森永 理, 山根 行雄, 瀧野 辰郎
1984 年 81 巻 7 号 p.
1607-1616
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
新たに開発されたRIA法により血清PSTIを測定し, 膵疾患を中心に臨床的検討を行つた. 本RIA法はヒトPSTIに特異的であり, 精度, 再現性に優れていた. 健常者の血清PSTIは12.16±5.32ng/ml(mean±2SD)であつたが, 加齢に伴う血清PSTIの有意な上昇が認められた. 急性膵炎全例が血清PSTIの高値を示し, 疑診を含めた慢性膵炎や膵癌でも有意な高値を示した. 急性膵炎での血清PSTIの経過は, 他の膵酵素と必ずしも平行せず, 正常化が遷延した. 膵外分泌機能の高度障害例では血清PSTIの高値はみられなかつた. 血清PSTIは膵疾患診断, 経過観察における新しい指標として有用であると思われた.
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竿代 丈夫, 井上 昇, 中島 尚登, 正木 尚彦, 井上 十四郎, 島野 毅八郎
1984 年 81 巻 7 号 p.
1617-1622
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
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全国19国立病院より, アンケート調査で得られた184例の65歳以上HBs抗原陽性者について検討した. 男性99例, 女性85例で, 疾患内訳は, 無症候性保有者 (以下ASC) 92例, 慢性肝障害59例, 肝細胞癌27例, その他6例. HBe抗原陽性者は, ASC28.6%, 慢性肝障害21.7%, 肝細胞癌66.7%であつた. 肝硬変による死亡12例に対し, 肝細胞癌による死亡22例と1.8倍で, 肝細胞癌はすべて肝硬変を合併していた. そのほかに, 高齢者HBs抗原陽性者の特徴として, ASCが約半数を占める一方, 60歳以上でも carrier からと思われる発症例も多い. またHBe抗原陽性者は, 肝細胞癌の合併が高率であつた.
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その難治性潰瘍に対する Famotidine の効果について
白鳥 敬子, 渡辺 伸一郎, 丸山 正隆, 足立 ヒトミ, 伊藤 弥生, 黒川 きみえ, 竹内 正
1984 年 81 巻 7 号 p.
1623-1627
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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清水 幸裕, 田中 三千雄, 渋谷 隆, 藤倉 信一郎, 佐々木 博, 穂苅 市郎, 笠木 徳三, 田澤 賢次, 藤巻 雅夫
1984 年 81 巻 7 号 p.
1628-1633
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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小島 義久, 加藤 道夫, 奥山 卓正, 益澤 学, 松尾 重雄
1984 年 81 巻 7 号 p.
1634-1637
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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松田 博人, 五十嵐 陽子, 大石 誠, 辰己 靖, 荒木 一郎, 石塚 巌, 笹谷 守, 竹田 康男, 島崎 英樹, 上野 敏男, 竹田 ...
1984 年 81 巻 7 号 p.
1638-1641
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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品川 孝, 磯村 伸治, 広田 勝太郎, 宇梶 晴康, 北川 和利, 石塚 正治, 上沢 邦子, 土屋 幸浩, 大藤 正雄, 竜 崇正, 小 ...
1984 年 81 巻 7 号 p.
1642-1646
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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小関 秀旭, 笠貫 順二, 今泉 照恵, 木村 亮, 金子 良一, 富岡 玖夫, 徳政 義和, 吉田 尚
1984 年 81 巻 7 号 p.
1647-1651
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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満谷 進, 郡山 俊昭, 織野 彬雄
1984 年 81 巻 7 号 p.
1652
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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青野 充, 森賀 本幸, 水田 和彦, 鳴澤 博昭, 内野 治人
1984 年 81 巻 7 号 p.
1653
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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造影CT像における辺縁低吸収領域の意義
村松 幸男, 森山 紀之, 高安 賢一, 志真 泰夫, 石川 勉, 後藤 裕夫, 牛尾 恭輔, 松江 寛人, 笹川 道三, 山田 達哉, 広 ...
1984 年 81 巻 7 号 p.
1654
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー