日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵液 trypsinogen の十二指腸内活性化機序に関する研究
第2編 十二指腸採取液中の trypsin/amylase 比の意義
石原 敬夫窪田 孝蔵
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1985 年 82 巻 4 号 p. 654-663

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抄録

膵液 trypsinogen (TG) は十二指腸内で活性化とdegradation を同時にうけて一部分が trypsin (T) となるが, その際に膵液 amylase (A) 活性は変化しないので, 十二指腸採取液中のT/A活性比はTGの活性化度の指標となりうる. 膵瘻症例における膵瘻膵液中のTG/A比 (一定) と十二指腸採取液中のT/A比 (変動する) の同時比較等から, 十二指腸内での膵液TGの活性化度は胆汁濃度に依存し約5~50%と推定された. 十二指腸採取液中の胆汁濃度と calcium 濃度は比例し, 両者の増加と共にT/A比は増加して高濃度域 (MG 150, Ca2+ 1.2mM以上) ではほぼ一定となつた. また胆道機能障害時 (胆摘後, 慢性胆嚢炎, 胆道閉塞) には, TGの活性化度の低下が認められた.

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