日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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消化性潰瘍患者における胃粘膜中高分子糖蛋白質の定量的検討
小林 英治中澤 三郎塚本 純久
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1985 年 82 巻 5 号 p. 1308-1317

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抄録

胃の重要な防御因子の1つである高分子糖蛋白質量測定の目的で, 手術標本の胃粘膜中の高分子画分の hexose 量の検討を行つた. その結果, 無処理群は15.6±1.4μg/mgで, chloroform-methanol 1回処理群, 5回処理群とは差がなかつた. 従つて, この画分には糖脂質成分は殆ど存在せず, 高分子糖蛋白質量の指標になることを示した. 更に高分子画分の hexose 量は内視鏡的生検標本でも測定可能であり, 対照群の9.4±1.0μg/mgに比し, 胃潰瘍群の活動期6.6±0.7μg/mg, 胃十二指腸併存潰瘍群の胃部の潰瘍の活動期5.5±1.6μg/mgと, 共に有意に低値であつた(p<0.05). これらの検討より, 本研究は臨床面での消化性潰瘍の病態の解明に有用であると思われた.

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