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山本 裕
1985 年 82 巻 5 号 p.
1293-1299
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
N-methyl-N-amylnitrosamine によるラット食道癌発生過程における glucose-6-phosphate dehydrogenase (G-6-P-DH), reduced nicotinamido adenine dinucleotide dehydrogenase (NADH-DH), aldolase 及び alkaline phosphatase (Al-Pase) の四酵素の変化を組織化学的に検索した. 正常上皮ではG-6-P-DHの活性は, 表層に, NADH-DHと aldolase は基底層にみられた. 過形成上皮と乳頭腫ではこれら三酵素活性は正常上皮とほぼ同じ局在を示した. 早期扁平上皮癌ではG-6-P-DHと aldolase は強く広範な活性を示したがNADH-DHは消失し, 進行癌ではG-6-P-DHのみ活性が増強し, 他の酵素は認めなかつた. Al-Pase は正常上皮および癌にはみられなかつた. 以上の結果はラット食道癌の発生過程で酵素活性に変化が起きていることを示唆している.
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夜間食道胃運動と食道内pH
松崎 勉, 杉山 雅, 西岡 利夫, 関口 利和
1985 年 82 巻 5 号 p.
1300-1307
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
進行性全身性硬化症(PSS)患者の咽頭, 食道体部, LES, 胃の運動および食道内pHを夜間に同時測定し, 健常人と比較した. 運動などについては既に第1報として報告したので, 今回は食道内pHを中心に検討し, 第1報の結果と合わせてPSSの逆流性食道炎発症の要因について考察を加えた. PSS患者のGER発生頻度は健常人に比し減少傾向がみられた. acid clearing time は健常人に比し有意に延長し, とくに逆流性食道炎合併PSS患者ではその傾向が著しかつた. PSS患者ではGER発生時食道一次蠕動発生頻度の低下がみられた. PSSの逆流性食道炎発症には, 食道一次蠕動の減弱, GER発生時の嚥下運動発現減少による acid clearing time の延長が重要と考えられた.
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小林 英治, 中澤 三郎, 塚本 純久
1985 年 82 巻 5 号 p.
1308-1317
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃の重要な防御因子の1つである高分子糖蛋白質量測定の目的で, 手術標本の胃粘膜中の高分子画分の hexose 量の検討を行つた. その結果, 無処理群は15.6±1.4μg/mgで, chloroform-methanol 1回処理群, 5回処理群とは差がなかつた. 従つて, この画分には糖脂質成分は殆ど存在せず, 高分子糖蛋白質量の指標になることを示した. 更に高分子画分の hexose 量は内視鏡的生検標本でも測定可能であり, 対照群の9.4±1.0μg/mgに比し, 胃潰瘍群の活動期6.6±0.7μg/mg, 胃十二指腸併存潰瘍群の胃部の潰瘍の活動期5.5±1.6μg/mgと, 共に有意に低値であつた(p<0.05). これらの検討より, 本研究は臨床面での消化性潰瘍の病態の解明に有用であると思われた.
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田中 淳一, 高橋 俊雄, 山口 俊晴, 尾形 直人, 坂東 一彦
1985 年 82 巻 5 号 p.
1318-1326
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃癌•大腸癌の代謝•増殖におよぼす消化管ホルモンの影響を検討した. はじめに癌組織の蛋白合成におよぼすガストリンの影響を in vitro で検討した.
14C-標識蛋白の培地中への産生,
14C-標識アミノ酸の癌組織内への取り込みは, ガストリン添加で促進された. つぎにヌードマウス移植ヒト胃癌•大腸癌の増殖におよぼすガストリン•セクレチンの影響を検討した. 腫瘍の増殖はガストリン投与で有意に促進されるものがあり, セクレチンを同時投与するとガストリンの増殖促進作用がある程度拮抗された. 以上の結果より, ヒト胃癌•大腸癌にはガストリンなどの消化管ホルモンによつて, その代謝や増殖が強く影響されることがわかつた.
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大草 敏史
1985 年 82 巻 5 号 p.
1327-1336
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
高分子デキストラン硫酸 (DSS; 分子量54,000) の5及び10%溶液を飲水としてハムスターに連日投与することにより, 盲腸, 大腸, 直腸に病理組織学的にヒト潰瘍性大腸炎類似病変を作成しえた. 5%DSS投与群 (10匹) では投与後平均9.1日, 10%DSS投与群 (10匹) では平均4.6日で全例に下痢, 粘血便, 下血が出現し, 病理所見では全例にびらん又は潰瘍, 16匹に腺窩膿瘍を認めた. 粘膜間質の炎症性細胞浸潤はいずれも中等度~高度であった. 腸内菌叢の変化を検討した結果, Bacteroidaceae, Enterobacteriaceae の有意な増加, Lactobacilli の有意な減少を認めた. 他の偏性嫌気性菌群が減少又は不変であつたにもかかわらず, Bacteroidaceae のみ有意に増加したことは, 潰瘍性大腸炎様病変発生に本菌群がDSSと協同的に関与する可能性を示唆した.
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島田 一彦, 藤倉 信一郎, 野尻 裕之, 小島 隆, 田中 三千雄, 佐々木 博
1985 年 82 巻 5 号 p.
1337-1347
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
正常ヒト終末回腸および十二指腸球部における孤立型リンパ小節 (solitary lymphatic nodule: 以下SLNと略す) の形態, 特に T cell subsets の分布を比較検討した. リンパ小節に占める胚中心の割合は十二指腸球部の隆起型SLNが同部位の陥凹型SLNおよび終末回腸SLNに比し大きかつた. Leu 2a
+細胞と Leu 3a
+細胞の分布頻度を検討すると, 終末回腸において上皮細胞間では Leu 2a
+細胞の頻度が高かつた. 十二指腸球部SLNにおいても同様な分布傾向を認めたが, 濾胞域の Leu 2a
+細胞, Leu 3 a
+細胞の頻度は終末回腸の同一部位の T cell subsets の頻度より高く, 両部位胚中心相互間の比較でも同様な傾向を示した.
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安永 満, 沖田 極, 佐貫 和俊, 村田 誠, 荻野 昌昭, 新開 泰司, 門 祐二, 名和田 浩, 吉田 智治, 小西 智己, 半田 哲 ...
1985 年 82 巻 5 号 p.
1348-1353
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
消化管出血の治療と予防を目的に, すでに広く使われている H
2-receptor antagonists の肝血流に及ぼす影響を, 水素ガスクリアランス法によるラット肝血流量を測定し検討した. 健常ラットでは, cimetidine 4.0mg/kgあるいは ranitidine 1.0mg/kg投与後の肝血流量に変動を認めなかつたが, それぞれを16.0mg, 4.0mg/kgに増量すると一過性に血流は低下した. 劇症肝炎モデルラットでは, cimetidine 4.0mg/kgおよび ranitidine 1.0mg/kg投与でも一過性の肝血流量低下を認め, その低下率は ranitidine の方がより軽度であつた. 大量投与では, 両者とも早期にかつ著しい血流低下を招いた. 以上より, 劇症肝炎に対して H
2-receptor antagonists の大量投与を行うことはあまり好ましいことではないと考える.
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鋤柄 稔, 高本 真一, 駒崎 敏郎, 古賀 和美, 小林 正幸, 尾本 良三
1985 年 82 巻 5 号 p.
1354-1359
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
リアルタイム断層ドップラー血流映像装置を用いて肝疾患例25例と, 肝に異常を認めない10例につき, それらの肝内および肝近傍の脈管の観察を行ない, 同装置にて得られる画像の特性について検討した.
本装置により肝内外の脈管の同定が容易となり, 又, 脈管内の血行動態学的な変化も容易に追究しえた. 一方, 肝硬変例のように遅い門脈血流の場合は, 約半数例で門脈 (枝) のカラー表示が得られたにすぎなかつた. しかし, 肝硬変例では特異的な所見として Werren シャント術後のシャント流や, ヘパトーマを合併した場合は腫瘍内の動脈等のカラー表示を得ることができた. 本装置は肝および肝疾患の観察に於て有用な情報を提供した.
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貫野 徹, 金 鎬俊, 栗岡 成人, 針原 重義, 山本 祐夫, 門奈 丈之, 中塚 春樹, 水口 和夫
1985 年 82 巻 5 号 p.
1360-1368
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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門脈本幹および門脈1次分枝に閉塞を来たした肝癌45例に対し, 肝動脈塞栓術 (TAE), 抗癌剤 one shot 動注, マイトマイシンCマイクロカプセル (MMC-mc) 投与および保存的治療を行ない, 治療効果ならびに予後を比較検討した. 本幹閉塞例27例中26例が5カ月以内に死亡した. しかし, MMC-mc投与が著効を示した1例では門脈内閉塞範囲の明らかな縮小が認められ, 3年9カ月生存中である.
門脈1次分枝閉塞例に対するTAEの抗腫瘍効果は良好であつた. しかし, その1年生存率は12.5%であり, 動注例の1年生存率14.3%とほとんど差異が認められなかつた. また, 動注が著効を示した2例では右門脈枝の再開通が認められ, 最長2年3カ月の生存が得られた.
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松崎 靖司, 大菅 俊明, 井廻 道夫, 正田 純一, 三田村 圭二, 小沢 邦寿
1985 年 82 巻 5 号 p.
1369-1379
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
諸種の胃腸疾患48例の血清胆汁酸分画を高速液体クロマトグラフィー法にて測定した. その結果, 盲係蹄症候群, 広汎腸切除例, 胃切除例において, 血清胆汁酸のうち遊離型分画の相対比率増加, および二次胆汁酸である deoxycholic acid の相対比率の増加を認めた. この現象は腸内細菌過剰増殖による胆汁酸脱抱合, および7α-脱水酸化 (二次胆汁酸生成) 亢進の結果と推測された. 一方腸疾患12例にUDCA300mg経口負荷試験を施行した. その結果, 回盲部疾患4例 (クローン病1例, 回盲部を含む広汎回腸切除1例, 回盲部切除1例, 回盲部潰瘍1例), 広汎小腸障害2例 (広汎空腸切除1例, 蛋白漏出性胃腸症1例) に胆汁酸血中濃度曲線の Area Under Curve (AUC) 低下, 即ち胆汁酸吸収低下を認めた.
従つて血清胆汁酸分画測定は, 腸内細菌過剰増殖を推定する上で有用であり, 一方経口胆汁酸負荷試験は, 回盲部の吸収試験として利用可能と考えられた. この両方法を併用すれば吸収不良症候群と腸内細菌過剰増殖症候群の鑑別診断に利用できる可能性があると考えられた.
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第3編 十二指腸内 enterokinase 活性-測定法の改良と生理的意義
石原 敬夫
1985 年 82 巻 5 号 p.
1380-1388
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
膵液 trypsinogen (TG) の十二指腸内での部分的活性化において, enterokinase (EK) は活性化酵素として作用するが, 本編では十二指腸採取液中のEKの測定法およびその生理的意義を検討した. まず従来のTGを基質とするEK測定法には degradation 反応が併発する点があるため, 反応系を0°C, Ca
2+ 10mM下に維持することによりこれを改良した. 健常者の十二指腸採取液中のEK排出量はCCK-PZ, secretin 刺激直後に著増した. EK濃度はPS試験で secretin 後10分まで高濃度を持続し, この際のTG活性化度 (T/A比) はEK濃度には無関係で胆汁濃度と相関した. すなわち膵外分泌亢進時には十二指腸内腔へのEKの遊離も亢進し, EK濃度はTG活性化に対し充分高濃度となり, TG活性化度は胆汁混入度により規定される.
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岩本 剛人, 飯田 三雄, 富永 雅也, 興梠 憲男, 村井 宏一郎, 藤島 正敏, 藤野 隆博, 石井 洋一
1985 年 82 巻 5 号 p.
1389-1393
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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高田 忠敬, 安田 秀喜, 内山 勝弘, 長谷川 浩, 四方 淳一
1985 年 82 巻 5 号 p.
1394-1397
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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森山 光彦, 池田 裕子, 安田 守秀, 本橋 隆, 鎌田 裕十郎, 大藤 紘一, 石塚 英男, 金田 春雄, 松尾 裕, 本田 利男, 西 ...
1985 年 82 巻 5 号 p.
1398-1401
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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田中 剛史, 藤本 裕一, 岡崎 通, 矢野 隆嗣, 日高 直昭, 鈴木 司郎
1985 年 82 巻 5 号 p.
1402-1405
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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伊吹 康良, 平佐 昌弘, 高鍬 博, 工藤 正俊, 藤見 勝彦, 上田 俊二, 宮村 正美, 冨田 周介, 小森 英司, 藤堂 彰男, 北 ...
1985 年 82 巻 5 号 p.
1406-1411
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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小林 昌明, 亀山 仁一, 星川 匡, 鈴木 康之, 薄場 修, 片桐 茂, 塚本 長, 天谷 達夫
1985 年 82 巻 5 号 p.
1412-1415
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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岡 紳爾, 野田 健一, 村田 誠, 江崎 隆朗, 小田 正隆, 新開 泰司, 柳井 秀雄, 松田 和也, 衣川 皇博, 岡崎 幸紀, 竹本 ...
1985 年 82 巻 5 号 p.
1416
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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岡部 和彦, 宮川 正人, 葛西 登
1985 年 82 巻 5 号 p.
1417
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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胆管閉塞及び胆管炎の影響について
小川 真, 唐沢 英偉, 小林 敏生, 五月女 直樹, 三木 亮, 上野 高次
1985 年 82 巻 5 号 p.
1418
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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血清胆管系酵素値上昇例についてのスクリーニング検査としての役割
山中 修, 川並 允, 尾崎 治夫, 富永 滋, 飯島 敏彦, 山城 雄二, 山下 秀光, 加納 達二, 南部 勝司, 堀内 啓, 石 和久 ...
1985 年 82 巻 5 号 p.
1419
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー