1986 年 83 巻 1 号 p. 1-6
胃局所の低酸素状態が内因性PGに及ぼす影響を, in vivo 及び in vitro の実験系にて検討した. in vivo にては, ratに胃瘻を造設し, 胃内貯留液中へのPG遊離量を測定した. PGE2, PGI2遊離量はともに, 貯留開始直後は高値を示すが, その後低下し, 60分以降では安定化した. その安定期において, 左胃動脈を結紮して胃を虚血状態に置くことにより, 胃内PGE2遊離量は増加した. in vitro にては, 単離胃壁よりのPG遊離量を測定したが, incubate medium を anoxic gas にて bubbling することにより, PGE2, PGI2遊離量は減少した. これらの結果より, 胃局所の低酸素状態は, 生体においては, 何らかの系を介して間接的に, 胃粘膜PG生合成を促進させると考えられた.