日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ラット胃粘膜 Prostaglandins (PGs) に関する研究 (第11報)
低酸素状態による影響
福田 隆荒川 哲男重本 達弘佐久間 裕之中村 厚樋口 和秀佐藤 博之中村 肇山田 博明蝶野 慎治小野 時雄小林 絢三
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1986 年 83 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

胃局所の低酸素状態が内因性PGに及ぼす影響を, in vivo 及び in vitro の実験系にて検討した. in vivo にては, ratに胃瘻を造設し, 胃内貯留液中へのPG遊離量を測定した. PGE2, PGI2遊離量はともに, 貯留開始直後は高値を示すが, その後低下し, 60分以降では安定化した. その安定期において, 左胃動脈を結紮して胃を虚血状態に置くことにより, 胃内PGE2遊離量は増加した. in vitro にては, 単離胃壁よりのPG遊離量を測定したが, incubate medium を anoxic gas にて bubbling することにより, PGE2, PGI2遊離量は減少した. これらの結果より, 胃局所の低酸素状態は, 生体においては, 何らかの系を介して間接的に, 胃粘膜PG生合成を促進させると考えられた.

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