日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
急性胃アニサキス症における血中IgE型アニサキス抗体測定の診断的意義
橘 眞理山本 泰朗
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1986 年 83 巻 10 号 p. 2132-2138

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抄録
急性胃アニサキス症20症例を対象としIgE型アニサキス抗体をRAST法で測定, 85%で陽性成績を得た. 抗体価は感染1~2日後より急上昇し, 3~5週で最高に達し, 以後ゆるやかに低下する. 一方, 横川吸虫症, アレルギー性疾患での抗体陽性率は, 夫々33%, 14%で抗体価は軽度上昇にとどまつた. アニサキス蔓延推定地域での一般住民及び一般外来患者の抗体陽性率は, 夫々26%及び31%であつたが, 短時日での抗体価の変動は認められないので, この数値は一般住民のアニサキス感染既往率, または他の線虫類感染及び既往率を示す可能性が考えられた. これらの成績よりIgE型アニサキス抗体の測定は, 特に経時的な変化を捉えることにより, 急性胃アニサキス症の補助的な診断方法として有用と考えられた.
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