1986 年 83 巻 3 号 p. 663-668
insulin-like growth factor-I (IGF-I) が急性肝炎の病態にどのように関与しているかを検討するため, 血清IGF-I濃度をRIA法にて測定した. 発症初期における早期空腹時のIGF-I値 (mean±SD fmol/ml)は, 対照群257±67に比して急性肝炎群158±78, 劇症肝炎群69±61と肝障害の重症度に従つて有意に低下した (p<0.005). また肝予備能の指標であるヘパプラスチンテスト値との間に正の相関を認めたことより, IGF-Iが急性肝炎の重症度を反映するとともに肝予備能と密接に関連していることが示された. さらに劇症肝炎生存例では, 回復に従つてIGF-I値の増加傾向がみられたことより, IGF-Iが急性肝炎時の肝再生とも関連性を有する可能性が示唆された.