日本消化器病学会雑誌
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肥満にともなう脂肪肝における血清 Type III プロコラーゲン-N-ペプチドの動態とその意義
上野 隆登長田 英輔三浦 力麻生 重仁石井 邦英吉武 正男野口 和典松崎 雅和田 達郎山内 一明安倍 弘彦谷川 久一
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1986 年 83 巻 5 号 p. 999-1005

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抄録

肥満にともなう脂肪肝10症例について血清 Type IIIプロコラーゲン-N-ペプチド(P III P) をラジオイムノアッセイ(RIA)法で測定し, 肝生検組織像における肝線維化の部位及び程度と比較検討した. 治療前, 肝細胞の脂肪化のみの症例 (I群) における血清P III Pは8.9±2.7ng/ml (正常値2~13ng/ml) であつたが, 肝細胞の脂肪化に肝線維化をともなう症例(II群)では21.5±7.2ng/mlと高値を認め, II群の方がI群より有意に高値を示した. さらに脂肪肝の治療後, II群の血清P III Pは11.4±1.8ng/mlと正常域まで改善した. 肝生検組織像でも治療前, II群の7例すべてに肝細胞周囲の線維化を認めたが治療後改善を認め, 血清P III Pが肝細胞周囲の線維化をよく反映し, かつ同部位の線維化の指標として有用と思われた.

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