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依岡 省三, 土橋 康成, 児玉 正, 谷 俊男, 丸山 恭平, 芦原 司, 藤田 晢也, 瀧野 辰郎
1986 年 83 巻 5 号 p.
931-938
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト胆汁をラットに反復投与し, その胃粘膜に対する作用を調べた. Meulengracht 500~800及び60~80のヒト胆汁を2グループのラットに各10週間反復投与後屠殺, 胃粘膜の病理組織学的変化をH-E及び Concanavalin A paradox 染色を行ない調べると共に, 形態計測学的に腺構築変化の定量的解析を行なつた. 胃底腺領域では腺管全長の延長, 腺窩上皮の過形成, 副細胞の増加, 固有腺の減少が起こり, 特に腺管全長, 副細胞, 固有腺の変化の程度は投与胆汁濃度に依存した. 幽門腺領域では腺管腺部が増生し, その程度は投与胆汁濃度に依存した. これらの変化は従来報告されて来たENNG投与ラット胃癌の背景粘膜に生ずる変化に類似することが明らかになつた.
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大坊 昌史
1986 年 83 巻 5 号 p.
939-950
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
内視鏡的ポリペクトミー材料を対象に, 胃過形成性ポリープ内の異形成巣 (dysplastic focus) の出現とその癌化について研究した. 全532病巣中, 過形成性ポリープは477病巣 (89.7%) であつた. 過形成性ポリープ内癌共存病巣は10病巣 (2.1%) で, この癌巣周囲には腺腫に相当する異型を示す異形成巣を認めた. 又, 癌巣を伴わない過形成性ポリープのうち19病巣(4.0%)にも同様の異形成巣を認めた. そこで異形成巣共存病巣, 癌共存病巣を臨床病理学的に検討し, 胃過形成性ポリープ癌化の形態組織発生については, ポリープの増大と共に, 異形成巣が出現し, その病巣内に癌が発生するという多段階の過程をふむことが示唆された.
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山本 達也
1986 年 83 巻 5 号 p.
951-958
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト正常胃の肥満細胞 (M.C.) 顆粒の超微形態を検索し, 基本的に構造上 scroll/crystal と particulate/filamentの2つに大別できた. 粘膜筋板から漿膜に存在する connective tissue M.C.は90%がscroll 優位型の非脱顆粒M.C.であつた. 一方, 胃粘膜固有層中の mucosal M.C.は56%が particulate 優位型で比較的顕著な脱顆粒は特に胃内腔に近い領域で認められた. しかし,残り44%は scroll 優位を示した. 以上よの mucosal/connective tissue M.C.の顆粒は heterogeneity に富み形態のみからそれぞれ同定, 両者を鑑別することは難しいと考えられた. また顆粒には scroll から particulate への連続性移行をなす生理的緩徐型脱顆粒と fusion を伴う急速型脱顆粒との共存が示唆された.
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cimetidine と Prostaglandin E1誘導体による影響
松井 俊治, 中澤 三郎, 塚本 純久
1986 年 83 巻 5 号 p.
959-966
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
急性低酸素血症時の胃粘膜血流およびそれに及ぼす cimetidine•prostaglandin E
1誘導体 (以下PGE
1誘導体) の作用を検討する目的で, ラットに低酸素ガスを吸入させ, cimetidine•PGE
1誘導体を持続静注し, その際の胃粘膜血流を水素ガスクリアランス法で測定した. 10%酸素ガス吸入で胃粘膜血流は低下した. cimetidine 投与時の胃体部粘膜血流は非投与時に比べ低下の程度が軽度であつたが有意差はなかつた. 一方PGE
1誘導体投与時では特に胃体部粘膜血流の低下が非投与時のそれに比べ有意に抑制された. 更に, cimetidine とPGE
1誘導体併用投与時の胃体部粘膜血流も同程度に非投与時の低下に比し有意に抑制された.
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岩崎 良昭, 中條 忍, 馬場 忠雄, 細田 四郎
1986 年 83 巻 5 号 p.
967-973
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
腸管の水•電解質輸送機序は近年次第に明らかにされつつあるが, 腸管の水•電解質輸送における微小管の役割は不明な点が多い. 今回著者らは微小管の阻害剤であるコルヒチンを用いてラット腸管の水•電解質輸送に及ぼす影響ならびにその機序を検討した. その結果コルヒチン投与による下痢出現機序として, Na
+-K
+ATPase活性低下に基づく水•電解質吸収抑制に加え, 細胞内Ca
2+の上昇およびCa
2+上昇に基づくcGMPの上昇による水•電解質の分泌も関与しており, この分泌はCa
2+拮抗剤投与によつて抑制された. 以上のことより微小管は細胞内のCa
2+濃度の調節を介して, 水•電解質輸送機構において重要な役割を担つていると考えた.
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水谷 謙二
1986 年 83 巻 5 号 p.
974-983
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
消化管の血流障害による粘膜の虚血性変化を防御し, 臨床応用の可能性を探る目的で酸素添加 perfluorochemical (以下PFCと略す)乳剤を経腸的に投与する動物実験を行つた. (1) 雑種成犬の上腸間膜動脈を120分間遮断しても, 予め酸素添加PFC乳剤を腸管内に投与してあれば, 粘膜の虚血性変化は軽度であつた. (2) 腸管内に投与された酸素の安定同位体
18Oが門脈血から検出された. (3) ラットの上腸間膜動脈を120分間遮断した後解除した場合, 酸素添加PFC乳剤投与群では declamping shock は軽度であつた. (4) ラットに拘束水浸ストレスを負荷した場合, 酸素添加PFC乳剤投与群ではストレス潰瘍の発生が抑制された. 以上から, 酸素添加PFC乳剤の臨床応用の可能性が示唆された.
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超音波ドップラー法による術中測定および経時的変化の検討
森安 史典, 西田 修, 伴 信之, 中村 武史, 宋 泰成, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 三宅 健夫, 内野 治人, 森 敬一郎, 熊田 ...
1986 年 83 巻 5 号 p.
984-990
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
10例の門脈圧亢進症患者の, 手術前後の門脈血行動態の変化を検討した. 特発性門脈圧亢進症 (IPH) 7例, 肝硬変症3例の計10例に対し, interposition mesocaval shunt (IMCS) 3例, distal splenorenal shunt (DSRS) 3例, gastro-caval shunt (Inokuchi, GCS) 1例, 摘脾術3例が施行された. それらの各手術前後および術中に, 門脈血流量と門脈圧を測定した. 門脈血流量の測定には超音波ドップラー法を用い, 手術前後の門脈圧は経皮経肝的門脈カテーテル法により測定した. 術中測定では術前に比べ, 門脈血流就中脾静脈血流の低下が認められた. Shunt 血流は, IMCSではDSRSより多い傾向にあり, 術後増加傾向を認めた. 門脈圧は, 術中は術前に比べ高い傾向を示し, shunt 例では術後低下傾向を示した.
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水谷 正之
1986 年 83 巻 5 号 p.
991-998
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
部分的肝切除および四塩化炭素肝障害ラットにおいて
15N-グリシン腹腔内投与後3時間の血漿アルブミンへの
15N取込み率を検討した.
部分的肝切除では, 取込み率は40%切除までは殆んど低下せず, これ以上の切除においては残存肝重量の低下に平行して低下した.
四塩化炭素を週2回投与し, 8週間継続した. 2週間投与では取込み率は最低値を示したが, 4週間投与後には最高値を示し, その後は四塩化炭素の投与期間に従つて減少した.
四塩化炭素肝障害における上述の結果は, 肝の組織学的所見及びDNA含量, RNA含量, RNA/DNA 比の変化とよく一致していた.
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上野 隆登, 長田 英輔, 三浦 力, 麻生 重仁, 石井 邦英, 吉武 正男, 野口 和典, 松崎 雅, 和田 達郎, 山内 一明, 安倍 ...
1986 年 83 巻 5 号 p.
999-1005
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肥満にともなう脂肪肝10症例について血清 Type IIIプロコラーゲン-N-ペプチド(P III P) をラジオイムノアッセイ(RIA)法で測定し, 肝生検組織像における肝線維化の部位及び程度と比較検討した. 治療前, 肝細胞の脂肪化のみの症例 (I群) における血清P III Pは8.9±2.7ng/ml (正常値2~13ng/ml) であつたが, 肝細胞の脂肪化に肝線維化をともなう症例(II群)では21.5±7.2ng/mlと高値を認め, II群の方がI群より有意に高値を示した. さらに脂肪肝の治療後, II群の血清P III Pは11.4±1.8ng/mlと正常域まで改善した. 肝生検組織像でも治療前, II群の7例すべてに肝細胞周囲の線維化を認めたが治療後改善を認め, 血清P III Pが肝細胞周囲の線維化をよく反映し, かつ同部位の線維化の指標として有用と思われた.
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多羅尾 和郎, 池田 俊夫, 林 和弘, 桜井 彰, 土屋 豊一, 伊東 達郎, 岡田 哲郎, 苅部 ひとみ, 野本 哲夫
1986 年 83 巻 5 号 p.
1006-1014
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Lactulose の無効な肝硬変症の難治性脳症5例, および, lactulose 投与による激しい下痢のため使用不能となつた1例の計6例に, 嫌気性グラム陰性桿菌は抑え, 好気性グラム陰性桿菌は抑えない非吸収性抗生剤 vancomycin hydrochloride 2, 000mg/dayを投与した. Vancomycin 投与後, 全例で脳症の消失, 血中アンモニア値の下降を来たした. 糞便の細菌叢の変動では, Bacteroides を主とした嫌気性グラム陰性桿菌は, Lactulose 投与後には糞便1g当たり10
8~9個であつたが, vancomycin 投与後には10
3~6個に激減した. 一方, 好気性グラム陰性桿菌数には両剤投与間に変化は無く10
6~9個であつた. Lactulose 無効の肝硬変の肝性脳症に vancomycin は有効である.
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柴田 岳三
1986 年 83 巻 5 号 p.
1015-1024
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
9週齢, 雄性家兎を用いて, 慢性硬化性乳頭炎の実験モデルを作成し, 本症の病態究明を試みた. 方法は, 静脈麻酔下に家兎の総胆管内に経十二指腸的に Vater 乳頭部を通してカテーテルを留置した. その留置期間およびカテーテル抜去時から検索までの期間によりそれぞれを3群に分けた (A
1; n=4, A
2; n=3, A
3; n=3, B
1; n=3, B
2; n=2, B
3; n=5, C
1; n=4, C
2; n=4, C
3; n=7). 検索は総胆管外径, 胆道造影, 総胆管内圧および乳頭部抵抗測定, 血液生化学検査, 胆管および乳頭部の病理組織学的検査につき施行した. その結果, 慢性硬化性乳頭炎は乳頭部より総胆管内腔に留置したカテーテルの慢性刺激により4週後に生じ得ること, またこの刺激を除去した後も Oddi 氏筋の変化は進行性であることが明らかとなつた.
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玉木 一弘
1986 年 83 巻 5 号 p.
1025-1034
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
超音波断層法を用いて, 胆嚢機能の評価を試み, その実際的方法と臨床応用の有用性を検討するため, 健常者, 無症状及び有症状胆嚢内結石症者, 計102例の胆嚢動態を観察した. 胆嚢収縮率曲線を指標とし, 卵黄製剤の経口及び Caerulein の筋注による収縮負荷後120分迄の拡張期を含めた観察により, 胆嚢機能や Oddi 筋を含めた胆汁排出調節機構の定量的評価が可能であると考えられた. 胆石症では, 無症状期から有意な収縮能低下が存在し, Oddi 筋の機能不全に起因すると考えられる拡張の遅延が認められ, この傾向は有症状例で更に高度であつた. これらの結果は, 胆嚢内結石が胆汁の催石性だけでなく, 胆汁排出機能異常の関与により形成される可能性を示唆し, 胆石症の予防•治療上の問題点と考えられた.
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土江 健嗣, 二村 雄次, 塩野谷 恵彦
1986 年 83 巻 5 号 p.
1035-1043
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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慢性膵炎膵切除例19例を対象とし, 膵内動脈の病理組織学的検討を行い, 血管造影所見との対比を試みた. その結果, 12症例 (62.5%) に膵内動脈の内膜に細胞線維性肥厚を認め, 9症例 (47.3%) に炎症性円形細胞の動脈壁浸潤所見を認めた. また内膜肥厚の所見を認めた症例の大部分に膵血管造影上なんらかの異常所見が見られた. また慢性膵炎の血管造影上膵内動脈に見られる径不整, 数珠様変化, なめらかな狭窄などの所見は, 動脈周囲に増生した線維組織による動脈壁のしめつけや内膜の肥厚によるものであると考えられた. 膵内動脈の内膜へ炎症性円形細胞のびまん性浸潤を認め, 血管造影上鋸歯状狭窄を呈した成因不明の慢性膵炎についても言及した.
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井戸 英司, 岡崎 和一, 宮崎 正子, 宮尾 昌宏, 大西 三朗, 伊藤 憲一
1986 年 83 巻 5 号 p.
1044-1048
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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神谷 順一, 二村 雄次, 塩野谷 恵彦
1986 年 83 巻 5 号 p.
1049-1052
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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平野 盛久, 数佐 哲, 飯田 和成, 横沢 禎二, 西野 執, 大村 一夫, 成木 行彦, 松尾 賢二, 水落 勝明, 大塚 幸雄, 野口 ...
1986 年 83 巻 5 号 p.
1053-1058
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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松田 和也, 多田 正弘, 水町 宗治, 柳井 秀雄, Shoiti Suzuki, 岡 紳爾, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良
1986 年 83 巻 5 号 p.
1059
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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荒井 正夫, 奥野 府夫, 平野 芳昭, 小林 利次, 石井 裕正, 土屋 雅春
1986 年 83 巻 5 号 p.
1060
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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ヒト大腸癌移植ヌードマウスについての研究
高橋 豊, 上野 雅資, 磨伊 正義, 草間 悟
1986 年 83 巻 5 号 p.
1061
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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小町谷 恭平, 荻原 牧夫, 横井 幸男, 松崎 研一郎, 保浦 真一, 田島 純子, 黒田 博之, 浪久 利彦
1986 年 83 巻 5 号 p.
1062
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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米田 政志, 玉沢 直樹, 牧野 勲, 武部 和夫
1986 年 83 巻 5 号 p.
1063
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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伊藤 徹, 小菅 智男, 針原 康, 窪田 敬一, 照屋 正則, 竹田 泰, 若山 達郎, 高見 実, 柴山 和夫, 出月 康夫
1986 年 83 巻 5 号 p.
1064
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー