担癌状態にある宿主の血清蛋白成分の変動について, 二次元電気泳動を用いて, 実験的, 臨床的に検討した. また手術およびシゾフィラン (SPG) 投与による影響についても検討した.
一般にLA, LB, LCと呼ばれる血清蛋白成分は, マウスの二次元電気泳動で, さらにいくつかの成分に分析されることが判明した. そしてこれらの成分は, 担癌, 再発およびSPG投与によつて増量することが確かめられた. すなわち担癌症例では急性相蛋白が増量し, 新しい成分である分子量約15万の成分は減量した. そしてこの成分は健常人にも存在し, SPG投与によつてのみ増量することから, 宿主の免疫能を増強する因子としての可能性が考えられ, また疾患の良•悪性の鑑別にも有用性の高いことが示唆された. この事実は, 抗腫瘍作用発現機構解明の上で興味深い.