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二次元電気泳動法による分析
伊藤 久
1986 年 83 巻 8 号 p.
1435-1443
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
担癌状態にある宿主の血清蛋白成分の変動について, 二次元電気泳動を用いて, 実験的, 臨床的に検討した. また手術およびシゾフィラン (SPG) 投与による影響についても検討した.
一般にLA, LB, LCと呼ばれる血清蛋白成分は, マウスの二次元電気泳動で, さらにいくつかの成分に分析されることが判明した. そしてこれらの成分は, 担癌, 再発およびSPG投与によつて増量することが確かめられた. すなわち担癌症例では急性相蛋白が増量し, 新しい成分である分子量約15万の成分は減量した. そしてこの成分は健常人にも存在し, SPG投与によつてのみ増量することから, 宿主の免疫能を増強する因子としての可能性が考えられ, また疾患の良•悪性の鑑別にも有用性の高いことが示唆された. この事実は, 抗腫瘍作用発現機構解明の上で興味深い.
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稲土 修嗣, 田中 三千雄, 佐々木 博
1986 年 83 巻 8 号 p.
1444-1454
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト正常十二指腸粘膜の生検材料250例を実体顕微鏡下に絨毛外形の観察, 絨毛サイズの計測を行ない以下の結果を得た. 絨毛外形は指状, 葉状, 尾根状, 旋回状の4型に分類された. 十二指腸の各部位 (球部, 下行部主乳頭口側及び肛門側, 水平部) とも葉状, 尾根状が大半を占めたが球部で旋回状が比較的多かつた. 絨毛の高さは球部では下行部以下に比べ有意に低かつたが絨毛の幅には部位差がなかつた. しかし70歳以上の男性では若年者に比べ球部, 下行部とも指状が多く絨毛の高さは球部で高くなつた. 以上の様にヒト正常十二指腸粘膜の絨毛形態には部位•年齢による違いがあることを明らかにしたが, その機能的意義については今後の検索が必要と考えられた.
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栗原 陽一, 横木 和弘, 鈴木 秀, 和田 敏正, 猪狩 弘之, 小原 勝敏, 五十嵐 勤, 吉田 浩, 粕川 禮司, 佐藤 政男, 長井 ...
1986 年 83 巻 8 号 p.
1455-1460
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
トリクロルエチレン (Trichloroethylene, 以下TE) 暴露と大腸の腸管嚢腫様気腫 (Pneumatosis Cystoides Coli, 以下PCC) との間の因果関係を解明する目的で以下の検討を行つた. TEの慢性低濃度暴露による, と考えられた自験PCC症例3例のうちの1名が勤務する従業員63名の作業所で, 42名(男23名, 女19名)から採尿して, TEの尿中代謝産物である三塩化酢酸(Trichloroacetic Acid, 以下TCA)を測定した. 測定にあたつては, 従来の方法に一部改良を加えた. この作業所ではPCC患者が発生したために, TEを中止し, パークロルエチレン (Perchloroethylene, 以下PE) を使用しはじめてから, 約8カ月が経過していたが, このような暴露条件の変更にもかかわらず, 検診者全員の尿中TCAが陽性(平均2.4mg/l, コントロール平均0.2mg/l)であり, そのうち, TCA有害下限値である3mg/lを上まわる者が12名に見られた. 上記PCC患者 (症例1) は6.7mg/lと検診者中2番目の高値を示した.
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山岡 博之
1986 年 83 巻 8 号 p.
1461-1472
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒトリンパ球表面抗原に対する monoclonal 抗体を用いて, 非特異性炎症性腸疾患の組織内リンパ球, とくにT細胞亜群の分布を比較検討した.
潰瘍性大腸炎の組織内の浸潤細胞はT cell が多く, OKT3陽性細胞数の組織内の全単核球数に対する比率は有意に高く (p<0.01), 同時にOKT4陽性細胞数の比率が高かつた (p<0.01).
これと異なり Crohn 病では組織内の単核球はT cell が多いが, 全単核球数に対するOKT8陽性細胞数の比率が高く (p<0.01), OKT4/OKT8比の減少 (p<0.01) がみられた. 潰瘍性大腸炎と Crohn 病では, それぞれ組織内にT cell が多いが, 優勢なT cell subset は両者間で明らかに異なり, 局所における免疫応答に違いが認められた.
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高良 健司, 大藤 正雄, 吉川 正治, 江原 正明, 奥田 邦雄, 伊丹 純, 有水 昇
1986 年 83 巻 8 号 p.
1473-1482
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝細胞癌24例に腫瘍部を選択的に照射する放射線療法を行い, その治療効果を臨床的並びに病理組織学的に検討した. 1年生存率は全体で58%, 門脈1次分枝または本幹に腫瘍塞栓の無い例では68%であつた. 腫瘍の縮小は90%に得られ, 特に腫瘍径10cm以下の例で顕著な縮小がみられた. AFP値の低下は90%に, 腫瘍濃染像の低下は75%にみられた. 門脈腫瘍塞栓に対しても60%の例で効果がみられた. 治療後病理組織学的には, 腫瘍に広範な凝固壊死と線維化がみられた. 重要な合併症として, 照射野の肝萎縮, アルブミン•コリンエステラーゼの低下がみられた. 高度肝硬変例を除く腫瘍径10cm以下の肝細胞癌例が放射線療法の良い適応と考えられる.
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貫野 徹, 金 鎬俊, 栗岡 成人, 塩見 進, 斉藤 忍, 黒木 哲夫, 針原 重義, 小林 絢三, 門奈 丈之, 小林 伸行, 中塚 春 ...
1986 年 83 巻 8 号 p.
1483-1488
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝動脈塞栓術施行肝癌のうち門脈1次および2次分枝開存例40例を2年以内 (〓2yr) 死亡群26例と2年以上(>2yr) 生存群14例に分け, 2群判別に有用な予後因子を検討した. 性, 年齢, 肝機能検査, 腹水および食道静脈瘤の15項目について両群間で有意差検定を行い, これらのうち2群判別に有用と思われる7項目を選び, 数量化理論II類を用いて解析した. その結果, 食道静脈瘤, ヘパプラスチンテスト, ICG試験および血清アルブミンの偏相関係数が特に大きく, 2群判別に特に重要であつた. また, これら4因子により40例中35例 (87.5%) が正しく判別された.
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野ツ俣 和夫
1986 年 83 巻 8 号 p.
1489-1497
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
門脈圧亢進症に対するプロプラノロールまたはニトログリセリンの効果を検討するため, 門脈圧亢進症患者26例, コントロール7例を対象に, 肝静脈圧勾配, 心係数, 奇静脈血流量を測定した. 肝静脈圧勾配, 心係数, 奇静脈血流量とも門脈圧亢進症患者で有意に高値を呈した. 奇静脈血流量は, 肝静脈圧勾配と正の相関 (r=0.65) を示したが, 食道静脈瘤ステージとの相関はなかつた. プロプラノロール, ニトログリセリン投与にて, 肝静脈圧勾配, 心係数はいずれも有意に減少したが, 奇静脈血流量は,プロプラノロールで減少し, ニトログリセリンで増加した. ニトログリセリンは, 門脈圧降下剤として有用であり, 門脈血流量を保つ利点がある可能性が推測された.
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カテーテル自然逸脱防止の一方法として
〓 桂植, 金 貞孝, 中作 修, 金 義哲, 藤堂 泰三, 青木 豊明, 梅山 馨
1986 年 83 巻 8 号 p.
1498-1503
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
左胆管は比較的一定した走行を示し, また, 肝内胆管のうちでは最も太く, しかも肝外胆管が閉塞された場合にも最も早期に太くなる特徴がある. 一方, 肝鎌状間膜は脊椎右縁線上にみられる. そこで, PTCDカテーテルの自然逸脱の防止を目的として, カテーテルが肝鎌状間膜を通過する脊椎右縁線上の一定の穿刺目標を設定し, 選択的経皮経肝左胆管ドレナージ法を試みた.
閉塞性黄疸179例に対する本法による成功率は99%であり, カテーテルの自然逸脱は3例 (1.6%) のみであつた. 本法による胆道ドレナージは比較的簡単, 確実で, カテーテルの自然逸脱も少なく, 閉塞性黄疸症例には有用なPTCDの一方法と考えられた.
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佐藤 俊介, 安達 秀樹, 野口 正人, 青木 悦雄, 本田 豊彦, 大西 秀一, 鳥塚 莞爾
1986 年 83 巻 8 号 p.
1504-1508
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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ラット膵遊離腺房を用いて cholecystokinin (CCK)及び carbachol によるアミラーゼ分泌作用に対して, 抗 phospholipase A
2(PLA
2)剤であるCDP-choline の及ぼす影響を検討した. CCK, carbacholによるアミラーゼ分泌は低濃度域では用量依存的に増加し高濃度域では減少するという2相性の用量反応曲線を示した. CDP-choline はこのうち低濃度域の分泌を特異的に抑制した. 一方, CDP-choline はCCK受容体結合及びCCK刺激による Ca outflux に影響を与えなかつた. これらの事実はCDP-choline による分泌抑制作用が刺激物質の受容体結合以後の細胞内機構を介して作働している事を示しており, 生理的濃度とされる低濃度域のCCK, carbachol の分泌作用に膜PLA
2活性の関与する可能性が示唆された.
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岡 徹, 大槻 眞, 末広 逸夫, 谷 聡, 藤井 正俊, 中村 隆彦, 馬場 茂明
1986 年 83 巻 8 号 p.
1509-1514
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
腎不全患者血清膵分泌性トリプシン•インヒビター (PSTI) の性状を検索し, 血清PSTI異常高値を示す機序を解明しようとした. 腎不全患者血清にはPSTI-radioimmunoassay 系を阻害する物質はなく血清PSTI値を正確に測定し得たし, 腎不全患者血清PSTIの分子量に変化はなかつた. 腎不全患者では膵からのPSTI逸脱亢進はないことから, 腎からの排泄障害が高PSTI血症の主たる原因と考えられた. しかし, 尿中PSTI排泄量はクレアチニンクリアランス値と負相関して増加しており, 単に腎からの排泄障害だけでは腎不全患者における高PSTI血症を説明することは困難である. 腎不全状態では腎でもPSTIが産生されている可能性も考えられた.
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森合 哲也, 建部 高明, 大山 公三
1986 年 83 巻 8 号 p.
1515-1519
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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膵癌に対する抗癌剤の局所注入療法の効果を検討するために, われわれは di-isopropanol nitrosamine 誘発膵癌の皮下移植 hamster を対象として, MMC水溶液やMMC吸着炭素懸濁液の腫瘍内注入, MMC徐放針の腫瘍内刺入, MMC水溶液の腹腔内注入を行つた. その結果, 生食水の腫瘍内注入に比べて, MMC水溶液やMMC吸着炭素懸濁液の腫瘍内注入は腫瘍の成長を有意に抑制した. しかし, MMC徐放針の局所刺入やMMC水溶液の腹腔内注入の場合, 有意の抑制効果が得られなかつた. 観察された抗腫瘍効果の差は, 腫瘍組織内のMMC濃度の差に由来すると考えられた.
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千葉 満郎, 伊藤 良, 大高 道郎, 五十嵐 潔, 井上 正則, 荒川 弘道, 正宗 研, 岩崎 斉, 成沢 富雄
1986 年 83 巻 8 号 p.
1520-1523
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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中元 秀友, 丸山 健行, 池田 史彦, 神谷 知至, 鈴木 修, 大川 日出夫, 桐生 恭好, 安村 和彦, 中川 自夫, 長村 義之
1986 年 83 巻 8 号 p.
1524-1529
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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荒牧 琢己, 岩原 信一郎, 赤池 正博, 滝口 芙由子, 奥村 英正, 会田 邦晴, 高井 淳, 金 徳栄, 恩田 昌彦
1986 年 83 巻 8 号 p.
1530-1534
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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松田 博人, 平井 圭彦, 伊部 直之, 京井 優典, 吉光 康平, 大家 他喜雄, 林 守源, 神川 繁, 上野 敏男, 竹田 亮祐
1986 年 83 巻 8 号 p.
1535-1539
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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大西 真, 方 榮哲, 児玉 龍彦, 森山 貴志, 井廻 道夫, 高久 史麿, 青山 弘, 洲之内 広紀, 和田 祥之
1986 年 83 巻 8 号 p.
1540-1543
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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高田 忠敬, 安田 秀喜, 内山 勝弘, 長谷川 浩, 土屋 繁之, 三須 雄二, 四方 淳一
1986 年 83 巻 8 号 p.
1544-1547
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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田岡 大樹, 岩崎 誠, 世古口 務, 水本 龍二
1986 年 83 巻 8 号 p.
1548-1553
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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芦田 豊, 村上 元庸, 水野 雅博, 保津 真一郎, 斉田 宏, 三宅 健夫
1986 年 83 巻 8 号 p.
1554
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー