日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
核DNA蛍光測定による胃癌の検討
芳野 裕明曽和 融生蔡 栄若加藤 保之紙野 建人梅山 馨
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キーワード: 胃癌, 核DNA蛍光
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1986 年 83 巻 9 号 p. 1960-1967

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抄録

胃内視鏡時生検新鮮標本32例と手術時の摘出胃癌10%ホルマリン固定パラフィンブロック標本71例を対象とし胃癌細胞核DNA蛍光を測定し検討した. えられたヒストグラムからI, II, III型のDNApattern に分類しえた. 深達度の進行とともにIII型が増加し, リンパ節転移陽性率もI<II<IIIの順に高く, 肝転移, 腹膜播種陽性例もII, III型に多く認めた. また予後はI, II, IIIの順に不良の傾向がみられた. polyploid cell (4c<) 出現率は組織型との相関は認めなかつたが, 進行癌に高率に認められ, リンパ節および肝転移陽性例では陰性例より有意に高率に認めた. これらの結果胃癌の核DNAの測定はその生物学的悪性度を推測する上に有用と思われた.

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