日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ケノデオキシコール酸投与による肝毒性発現機構に関する研究
八尋 克三
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1986 年 83 巻 9 号 p. 2014-2021

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抄録

ケノデオキシコール酸 (CDA) 経口投与によるウサギにおける肝毒性発現機序を研究した. ウサギにCDAを投与すると, 胆汁中リソコール酸 (LA) 組成比が著明に増加するが, 喰糞防止でその増加は有意に抑制され, 盲腸•虫垂切除を行なうと殆ど増加しなかつた.
胆汁中LA組成比と肝組織障害との間に有意の相関を認め, 胆管増生, 肝細胞壊死, 門脈領域の炎症性細胞浸潤, 肝線維化や肝構築異常等の肝組織障害の程度は, 胆汁中LA組成比が高い程有意に強かつた.
以上の結果から, CDA経口投与によるウサギにおける肝組織障害は, 盲腸•虫垂における旺盛な胆汁酸の7α-dehydroxylation と, 喰糞という習性による2次胆汁酸の経口的再付加の結果増加するLAに起因するものと推論した.

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