日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
消化器疾患における血清CA 125測定の臨床的意義
竹森 康弘澤武 紀雄里村 吉威太田 英樹渡辺 弘之河上 浩康岡井 高高橋 豊磨伊 正義服部 信秋山 高儀永川 宅和橋本 琢磨
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キーワード: 膵癌, 胆道癌, 腹水, 腹膜転移
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1987 年 84 巻 10 号 p. 2386-2392

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抄録

各種消化器系疾患 (悪性疾患455例, 良性疾患303例) の血清CA 125値を測定し, 臨床的意義を検討した. 膵癌(66%), 肝細胞癌(51%), 胆道癌(47%)の順で高い陽性率がみられた. CA 19-9, DU-PAN-2, CEA陰性の膵癌でCA 125陽性例がかなりみられた. 胃, 大腸癌での陽性例はほとんど stage IV以上または非切除例で, 特に腹膜転移群では他のマーカーに比して明らかに陽性率が高かつた. 一方, 良性疾患での偽陽性率は一般に低かつたが, 腹水を有する肝硬変, 劇症肝炎, 重症の膵炎では本抗原の上昇がみられ, その増減は腹水の消長に一致していた. 以上より, 血清CA 125は膵, 胆道癌の診断のみならず, 腹水や腹膜転移の有無を把握するのに有用と考えられた.

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